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第二章 次なる政策と、娯楽の甘味

29 懐かしいキャンピングカーで神々の島のジュノリス大国を目指す!

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 キャンピングカーの乗り心地は最高だった!!
 俺は既に体験があるが、炭酸ジュースや炭酸が無理だろうと思われる皆にはオレンジジュースなどのフルーツジュースがペットボトルで用意され、甘味と言うかクッキーなども用意され余りの甘さに全員が言葉を無くし「神々の島凄い」となっていた。
 語彙力が低下するくらいには感動したらしい。


「このまま春の国ノスタルミア王国を抜けてジュノリス大国に入る。ジュノリス大国は夏の国だが君たちのいるシュノベザール王国よりは暑くはない」
「そうなんですね」
「このチョコレイトなるものは美味ですな!!」
「夏の大陸で取れるんだよ。流石にシュノベザール王国では栽培は難しいな」
「そうですね、流石に難しそうです」
「むう……なんと残念な」
「そう言えば、兄上はアツシ様から『燻製』なるものをお願いされたとか」
「ああ、ネバリ王国とバランドス王国から肉となりそうな生き物を……とは思ってる」
「肉ですか……鶏と羊、ヤギなどは多いですが」
「ヤギはなぁ……食べた事ないんだわ」
「俺も無いですね……ただ羊はラムなら癖は無さそうだけどちょっとな。鶏なら是非輸入したい」
「燻製卵」
「燻製鶏肉」
「「うまい」」


 思わずアツシ様と言葉が被ってしまったが、不思議に思われつつ俺は苦笑いした。


「燻製用には木材が必要なんだ。婚姻式が終わって諸々済んだら丁度いい木があるか探そうと思ってる」
「そうなんですね」
「燻製はそう長く持たない。だからこっちに来た時に食べられるおもてなし料理。と言う感じになると思うが、輸出も考えている。冷凍冷蔵保存でね」
「後は国民が増えれば、リゾート地も考えているんだが……」
「「「リゾート地」」」
「そうなる為にはまだまだシュノベザール王国の名声が足りないんだろうな。何せ世界地図の端にあるからな」
「砂漠を越える為の手段も考えないとですね。専用の馬車はありますが、乗合場所を作るとか」
「砂漠の移動手段は作らないといけませんね」
「そうだな……だが国民が足りない」
「「ああ……」」
「気の長い話になりそうだ」


 やりたいことは山ほどあれど、問題は次から次に出て来る。
 胃の痛い問題だと苦笑いしていると、アツシ様も「そりゃ胃が痛い問題だよなぁ」と納得しておられた。


「そう言えばシュライ達は貴族たちとは一線引いてるよな」
「そうですね、俺達兄弟は貴族や王族なら通う筈の学園には通わなかったので」
「は、マジか」
「殆ど兄上の独学なんです。俺はソレを教えて貰って勉強しました」
「読み書きもか?」
「ええ、苦労はしましたが何とかなりました」
「それはまたしなくていい苦労をしたなぁ……余程親が放任だったのか?」
「両親にとっての家族と言うのは、【夫婦】で完結していたので、俺達に気を向けることすら無かったんですよ」
「なるほどねぇ」


 そんな会話をしながら二日も走ればジュノリス大国に到着し、確かに門を潜れば途端に街並みや諸々が変わるなぁと思いながらアツシ様は「もう直ぐカナエに会えるな」と嬉しそうにしていて。


「やはり夫婦と言うものはいいものですか?」
「そりゃ苦楽も共にする運命共同体だろう? 大事にしたいし、何より俺の血を継ぐ子を産んでもらうんだ。大事にしたいって思うのは普通だろう」
「そうなんですね……。俺もリゼルの事は大事にはしていますが、アツシ様ほど大事にしているのかと問われると……」
「そんな事はありませんよ? シュライは民の為に必死ですし、私に出来る事は何でもしています。ピアノも上達しましたし、散々属国の王妃と言われている貴族たちをあっと言わせられそうで楽しみなんですよ?」
「そうか。肝の座った妻を持てて良かったと思うよ」
「ありがとう御座います」
「ははは! 妻の尻には敷かれておけ! 最高に気持ちがいいぞ!」
「そういうものでしょうか?」
「俺はしっかり敷かれてるぞ?」
「ふはは!」


 思わず笑ってしまったが、確かにリゼルの尻に敷かれるのも悪くないが、彼女は聡明でしっかりしていて、それでいて俺の事を尊敬してくれている。
 もっと尊敬出来る男にならないとな!


「俺はリゼルに尊敬される夫になりたいんですが、どうしたらなれるでしょう?」
「それは難しい質問だな。カナエも俺の事は尊敬してくれているが、女性は子供を産むと変わるからな」
「変わりますか」
「変わるんですね」
「ああ、男は倍頑張っても足りないくらいだ。リゼルさんが鬼嫁にならない事を祈るしかないな。後は子供との時間はしっかり作ってやれよ?」
「はい!」


 そうか、子供が出来ると女性とは変わるのか。
 確かに守るべきものが増えれば女性も強くなる。
 俺もそこには思い至らなかった。


「やはりアツシ様は頼りになります」
「パパ友に早くなれるといいけどな? まずは夫婦で過ごすのも大事だぜ」
「はい!」



 子供がいない貴重な時間とも言えるだろう。
 俺も婚姻式が終われば自国で色々と面倒な事はあるが、新婚旅行には連れて行きたい。
 その事もアツシ様に伝えると、ジュノリス王国の避暑地があるからそこに招待すると言って下さった。
 リゼルも楽しみにしているようだし、俺も楽しみだ。
 プールもあるのだとかで、水着も売っているらしい。
 水着か……流石にリゼルは着ないだろうが。


「避暑地も良いですが、ジュノリス大国で過ごしてみたいです」
「そうだな、他国を知る事で新たな発見やひらめきがあるかも知れない」
「国を富ませることに熱心だなぁ。俺もそうだったけど、若いっていいねぇ」
「あはは」
「ふふふ」


 こうして俺達はジュノリス大国にあるジュノリス城へと到着し、手厚いおもてなしを受ける事となる。


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