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第一章 国民が飢えることなく、まずはそこを目標に!

23 サトウキビ用の三種の神器をロストテクノロジーで作り上げる!

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【緑の手】と言うレアスキル持ちが数名いる事で作物はスクスク育っている。
 無論レアスキルな上に有益なスキルだ。国お抱えのスキル持ちの中でも若干給料は良い。
 だが、忙しいと言うのはある。
 彼等のお陰で一年中何かしら収穫出来ており、お陰でシュノベザール王国の民の飢えは一旦は落ち着き始めた。

 後はアツシ様から冷房完備の馬車を買うだけだが、外貨をそれなりに稼いでいるとはいえ、馬車の値段はどれ位するか分からない。
 数台は寄付してくれるそうだが、それでバランドス王国とシュノベザール王国を行き来するしかないだろう。

 木材で作る炭も国内では良い感じに夜の暖を取るのに使われている。
 俺のスキルで大分穏やかな温度にはしているが、それでも暖は欲しいのが彼等だ。
 その為、少し肌寒いくらいの気温にして暖を取って貰い、健やかなる夜を過ごして貰っている。

 後は国内の問題はまだ残っているので、一大事業が落ち着いたら取り掛かろうと思う。
 そう――住民税だ。
 これさえ落ち着いてしまえば後は他のギルドを呼んだりできる。
 その為の建物も現在建築中だ。
 さて、俺の為に用意された箱庭師だが、結構意外な人物だった。


「こちらのロスターニャと言う一応男性なんですが……」
「お、おう」
「初めましてぇ~♪」
「こんななりでも男性なんですが」
「失礼ね、男性なのは何度もいわなくても伝わるわよ。ねぇ陛下?」
「この人物しかいなかったのか?」
「残念ながら」
「残念なんて酷い。悪かったわね小屋ばかり並ぶ土地しか持ってなくて。でも秘密は守るわ。男として、この国の者としての義務よね?」


 そう言って現れたのは長い銀髪に垂れた目、細マッチョなスタイルに女性用の服を身にまとったロスターニャと言う男性だった。
 一瞬美女かと見間違うが、どうみても骨格を見れば男性である。
 騙されてはならない。
 リゼルもこれには驚いているようで、「シュライがいいなら良いんじゃないかしら……」と苦笑いしていた。
 だが、背に腹は代えられん。


「分かった、ロスターニャを借りよう。中で作るものに関しては秘密にしてくれ」
「はぁ~い♪」
「俺は仕事が終わって寝る前に作業がしたい。悪いが俺の執務室の何処かに扉を作っておいてくれないか? 入れるのは俺とロスターニャ、後はサファール宰相とテリオット、それにリゼルだ」
「了解よ~」
「先だってやるべき仕事は終えてある。中を見せて貰っても?」
「じゃあ扉作るわね~」


 こうして執務室の俺の後ろに扉を作り、キラキラと輝く入り口が出来る。
 中にはいると確かに広い土地に大きな建物が点在している。
 大きな小屋が並んだだけの土地って感じだな。


「小屋は増やすことは?」
「減らすことも増やすことも可能よ。取り敢えず10個だけ試しに作ってみたの」
「なるほど」
「使わなければ消せばいいだけだもの」
「リゼル、魔石を取り急ぎ各種10個ずつ作ってくれるか?」
「魔石を?」
「ああ、麻袋を用意するからそこに各種の魔石を入れて欲しい。色々作りたいのがあるんだ」
「分かったわ」


 こうしてロストテクノロジーで小さめの麻袋を6つ用意すると、リゼルに頼み中心の小屋で作って貰う事にする。
 俺はと言うと、隣の小屋でロストテクノロジーを使い巨大なサトウキビを切る機械【サトウキビ裁断機】を作って行く。
 均等の長さに切るのだって大変なサトウキビだ、裁断機はあった方が良いだろう。
 更に【サトウキビの皮むき機】を作り、全て風の魔石で動くように作って行く。
 後は、細かく切ってと言う段階をすっ飛ばして搾り汁に出来た筈だ。
 そこで【サトウキビ絞り機械】を作り、これは押しつぶして使う為土の魔石を使う。
 一度試しに作ってみて、使い勝手を聞くのが一番だろう。


「アツシ様が素晴らしい力を得たと仰ってましたが、こういう事でしたか!」
「ああ、ロストテクノロジーの力だな。この三つを使ってどれくらい使い勝手がいいかを聞きたいと言うのもある。力仕事が大分減る筈だ」
「それは良いですね」
「リゼル、風の魔石を四つと土の魔石五つ貰えるか?」
「ええ、いいわよ」


 こうして魔石をセットする場所に置き、アイテムボックスに仕舞いこんでいく。
 これも俺に生えて来たスキルだった為大変驚かれた。
 この三つを持ってサトウキビ専用となった厨房に向かうと、やはり男性陣が苦戦している。
 ある程度砂糖が作れるように放ってきたらしいが、やはり手間暇は掛かるらしい。


「今いいだろうか? ああ、火を使っている者はそのままで」
「シュライ様!」
「どうなさいました?」
「実は使って貰いたい物が出来てな。試作品だが力仕事が大分減って作業効率も上がる筈だ」


 そう言って開けた場所に三つの機械を置くと、一つずつ説明していく。


「まずは【サトウキビ裁断機】だが、多分収穫された奴は長いまま持ってこられるだろう? それを此処に入れてある程度の長さでボタンを押せば簡単に切断してくれる」
「「「「「おおおおお!!!」」」」」
「次に皮むき器は苦労していると思うのだが」
「包丁も気を付けないと刃こぼれしますね」
「寧ろ硬い所でやってても刃こぼれが」
「ああ、そう思って【サトウキビの皮むき機】を作った。この中にサトウキビを入れて行けば皮を綺麗に剝いてくれる。だが剥き切れなかったのも出て来るだろうから、それは包丁で綺麗にしてくれ」
「助かります!!」
「もうこの包丁で5本目だったんですよ」
「それはすまない事をしたな」
「いえいえ、これがあればかなり楽出来そうです」
「それと、問題の細かく切って絞って行く作業だが、大変だろうと思ってな。【サトウキビ絞り機械】を作ったんだ」
「「「「「絞り機械」」」」」
「中にある先ほどの工程がお終わらせたサトウキビを入れて、ここのレバーを回して行けばサトウキビが絞られてここの場所からサトウキビの汁が流れて来る。掃除は大変だが出来るか?」
「今までの苦労を考えれば出来ます!!」
「使わせてください!!」
「色々苦労させたな。これで火加減を女性だけに留まらず男性陣も作れるな?」
「「「「はい」」」」
「最初失敗はつきものだが、ドンドン砂糖を作ってくれ。場所が狭いと言うのなら新しく作る」
「そうですね……ちょっと手狭ではありますね」
「では、近々箱庭師を雇い、大きな建物を作って貰って作業を行う。新しいコンロになるが使い方は教える。それでいいな?」
「「「「はい」」」」


 こうして彼らに【サトウキビ裁断機】【サトウキビの皮むき機】【サトウキビ絞り機械】と言う三種の神器を手渡した事で作業は上がるだろう。
 また、砂糖を入れて置く麻袋もある。本当はビニール袋とか作れたらいいのだが、そういうのはロストテクノロジーを使っても作れなかった。


「サファール宰相、サトウキビ専用の施設となる箱庭師が欲しい。大きな土地と小屋を作れる箱庭師はまだいるか?」
「ええ、いらっしゃいます」
「その人物に即連絡を。俺は作業小屋に必要なモノをドンドン作ってくる」
「畏まりました」


 こうして、三種の神器を更にもう三つずつ作り、その後は移動用のオーブン付きコンロを大量に作り、作業スペースとなる銀で作った机や中央に絞り汁を置けるように銀のバケツの様な物を幾つも作り、出来上がった砂糖を入れる麻袋も大量に作った。
 作った砂糖は別の小屋に持って行って貰う事にするが、流れ作業のように出来るといいが……取り敢えずはこんな所だろう。

 用意された箱庭師に事情説明し、理解して貰ったうえで調理場に扉を作って貰いその中に入ってロストテクノロジーで作ったものを小屋に並べていく。
 後は火の魔石で充分だ。
 翌日、これらの説明を終えて彼らには頑張って貰う事になるが、出来上がった砂糖は暫し空気に晒して乾かし麻袋に入れて保管庫に並べていく。


「もう少し調理師を雇っていいな」
「そうですね、この分だと後50人は入るかと」
「よし、雇おう」


 パートスタイルでもなんでもいい。働ける調理師スキル持ちは雇う事に決め、その後一気に砂糖作りが安定して進んで行くことになる――。

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