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第一章 国民が飢えることなく、まずはそこを目標に!

22 アツシが気に入ったシュライと言う人間像。

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 ――アツシside――


【神々の国の大国の王】と言うのは、中々にこの大陸ではある種の神話めいたものがあるようで、その俺と仲良く会話をするシュライ――元の名、中村キョウスケを見て、大臣たちは目を回していたようだ。
 そもそも、シュライは元日本人。
 俺と気が合わない筈もなく、もし気が合わなければ早々に帰ろうと思っていたが、心からもてなしてくれたのはとても気分が良かった。

 何より、大臣たちの中でシュライを好きに動かそうとするものがいないのが良かった。
 昔大規模に改革をしたと聞いていたがそれが効いているのだろう。
 とても苦労したと苦笑いしていただけに、今いる布陣はシュライの作り上げた布陣と言う事になる。
 彼の手腕の凄さを改めて感じる瞬間だ。


「素晴らしいもてなしをありがとうシュライ」
「アツシ様が喜んで頂けて何よりです」
「これから俺は行き来が可能になる。是非シュライを今度神々の国に連れて行きたい所だ」
「ええ、一大事業が落ち着きましたら是非に」
「ははは、その時は色々案内しよう! 紹介したい人たちも多い」
「ありがとう御座います!」


 こうして俺は拠点から戻る事になったが、使者数名は干物や一夜干しに興味があるらしく購入して帰ってくことにしたようだ。
 贈り物としてこの国の民族衣装なども貰ったりしたが、なんとも素晴らしい品だった。


「妻がとても喜びそうだ」
「それは良かったです」
「着るのは出産後になりそうだがな」
「妊婦用も用意しましょう。誰か持って来てくれ」
「ありがたい」
「いえいえ、俺も後二か月もすれば婚姻式ですから」
「奥方となるのはリゼル殿だったな」
「ええ」
「私です。ジュノリス大国のアツシ様」
「うむ、是非内助の功でシュライを支えてやって欲しい。シュライには支える相手が沢山いてこそ今後きっと輝くだろう」
「はい!」
「大臣の皆もシュライは素晴らしいスキルを得ている。支えてやってくれ」
「「「「はい!!」」」」
「その為にも専用の箱庭師を出来るだけ早く用意してやってくれ」
「作業が出来る小屋があれば問題は無いからな」
「広い小屋が宜しいでしょうか?」
「そうだな、部屋になっているのではなく、小屋がっているだけでも構わない」
「分かりました。一人その様な箱庭師がいましたので、直ぐに手配致します」
「サファール宰相頼んだぞ」


 こうして妊婦用の服を貰うと感謝の礼を伝え、「獣人差別だけはやめてくれ、俺の義理の娘となるものにも獣人がいるんだ」と伝えると驚いた様子で「畏まりました!」と頭を下げてくれた。
 これでシュナイダーやナノリシアを連れて来ても問題なさそうだ。
 ラスカール王も嬉々として来そうだが。
 それはノスタルミア女王陛下もそうか。


「今後は俺が胡椒やコンソメを大量に用意して、アイテムボックス持ちに持って越させよう。無くなりそうになったら遠慮なくジュノリス大国のアツシ向けに手紙を頼む」
「ありがとう御座います」
「シュライ、俺は君の事を気に入っている。ゼロからのスタートだっただろうにここまで発展させた事は素晴らしい事だ。更に新しい事業を、国を挙げてと言うのもいい。君には期待している」
「ありがとう御座います」
「俺の拠点は好きに使ってくれ。君にはそれだけの価値がある」
「光栄です!」


 拠点を好きに使っていいと言うこの申し出に周囲は騒めいたが、俺とシュライは笑顔で握手を交わし、その後二人で拠点に向かうと「堅苦しい挨拶をするのは肩がこるな!」といつも通りに戻ると「俺はある程度慣れましたね」と苦笑いするシュライに彼の苦労を垣間見た気がした。


「今度来る時は甘味も持って来てやろうか?」
「奪い合いが始まりそうです」
「ははは、奥方にたいしての贈り物だよ」
「それは有難いですね」
「是非結婚式には呼んでくれ。それとも新婚旅行に神々の島にくるかい?」
「それもいいですね。実はテリサバース教会が掘っ立て小屋のような教会でして、婚姻式と結婚式は何処でやろうかと悩んでいたんですよ」
「なら、こっちのテリサバース教会であげるといい。作りも凄いがテリサバース教会には聖女がいるし、俺の仲間が司教をしてるんだ。ちょっと風変わりな司教だがきっと祝福してくれる」
「それはいいですね。是非お願いします。国の重鎮達は来そうですが人数を絞ります」
「ああ、そうしてくれ。6人までなら乗れると思うが。なら二か月後には是非、神々の島についでに新婚旅行も兼ねて。ついでに拠点に入って貰っていつでも行き来できるようにして置いてやるから人数を絞っておいてくれ」
「あはは、凄い事になりそうです。ありがとう御座います」
「春の国から入るから驚くだろうが、そこから俺がキャンピングカーで一気に走ってやるよ」
「リゼルが驚きそうですね」
「ははは!」


 こうしてシュライとリゼルの婚姻式と結婚式を掘っ立て小屋でしなくてはならないと言う憂いが無くなり、ホッと安堵出来た。
 テリサバース教会はテリサバース教会の総本山がお金を出さないと立て直しが出来ないらしく、それならと誘ってよかった。
 きっと発展途上国だからと馬鹿にしているんだろう。
 砂糖が出来た時は嬉々として立てそうではあるが。
 無論この事は俺が帰ってから大臣たちとカナエに話したが、最大6人しか行くことが出来ない事を告げていたので、リゼル姉妹とシュリウスと俺、それに宰相であるサファール宰相は確定だろうと話しをしていた。

 こうしてシュライの立ち上げる一大事業が形になる頃には婚姻式だ。
 色々楽しみで仕方ない。


「私も直ぐに会いたいけど、このお腹じゃね。折角だし皆さん呼んでお祝いしてあげましょう?」
「そうだな!」


 ――きっと驚くに違いない。
 そうクスクス笑いつつ俺は各国の面子に手紙を書き、皆が了承してくれたことで楽しみが増えたのはいう迄も無い。




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