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257 マリシアの名誉復活への道とお見合い話
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メリンダ事件から三か月後――王都は何時も通りの活気を戻しつつあったわ。
『キッズハウス・サルビア』も『ダイエット・サルビア』も活気を取り戻しつつあり、今日は午前中の『ダイエット・サルビア』にわたくしも出ましたの。
高位貴族が多い午前中は、人も少しだけ疎らではあった者の、気合を入れて身体を絞っている貴族女性も多く、わたくしの登場に驚いている方々も多かったですわ!
「ダンノージュ侯爵家に嫁がれた、リディア様じゃなくって?」
「はい、そうですわ」
「今回の事件大変でしたわね……」
「養女にした家が問題を起こしたのでしょう?」
「あらあら? 養女は関係ありませんわ。例の薬が出る前に母親にわたくしの箱庭に逃がして貰って助かっている子です。例の父親と姉からはとても疎まれていた様で……母親に逃がして貰わなかったら最初の犠牲者はあの子でしたわ」
「「「「「まあ!!」」」」」
「きっと、あの事件を起こした方は、心根の優しいわたくしの養女が気に入らなかったのね……あの子こそ可哀そうな子ですわ」
そう言って悲しそうな顔をすれば、皆さんからは同情めいた言葉を頂きましたわ。
こういうのって、噂の上書きをしていくと良いのよね。
女の口はとっても軽いもの。
「わたくしの養女……マリシアと言うんですけれど、それはそれは優しい子ですのよ? 親に捨てられた小さい子供を相手に勉強を教えたり、お年寄りが困っていると放っておけない子で、まるで聖女のように優しい子ですわ。それなのに件の姉はそんなマリシアを疎んで妬んで……あの子の実家では、相当ひどい扱いをされたのに、泣きながらも前を向いて、今日も幼い子供達やお年寄りの世話をしていらっしゃいますの」
「本当に姉妹で全く違ったのね……」
「確かに此処でわたくしたちに教えてくれている時も、とっても優しく教えてくださいましたわ」
「気立ての良い娘だったのは覚えてますもの」
「そう……嫉妬されて家でも冷遇されて……辛かったでしょうに」
「そう言えばあの家の方々押し寄せてきた時も、とっても怯えた様子でしたわ」
「なんて可哀そうなの!」
「マリシアはわたくしの箱庭に逃げてきて、やっと笑う事が出来るようになったような子なんですのよ? それまでの生活を聞くとわたくし涙が出そうですわ……」
「「「「まあああ!!」」」」
此処まで行っておけば、後は高位貴族の方々が尾ひれを付けて色々お話してくださるでしょうね。
マリシアは素晴らしい子であることに間違いはありませんけれど、勘違いされたまま悪い噂が流れるのだけは阻止しなくては!!
「結婚適齢期なのに、元実家の事があったからと……結婚することを諦め、献身的に誰かの役に立つことをと仰ってましたわ」
「女性の幸せは結婚だと言うのに、その幸せを諦めるんだなんて!」
「なんて子なの……マリシア、可哀そうな子っ」
「ですから、もし悪い事を仰っている方がいらっしゃったら、その様な子ではないと皆さんにお話して欲しいくらいですわ」
「お任せくださいませリディア様」
「まさかそんな可哀そうな子だとは思いもよりませんでしたわ……」
「彼女の名誉の為にも、わたくし茶会などでお話しますわ!!」
「ええ、是非あの子の名誉のためもお願いしますわね!」
そう言うと高位貴族の女性達は「無論ですわ!!」と一人ずつ握手を交わし、運動を再開してくましたわ!
これであとは時間が立てば、マリシアの名誉も回復していくはず。
ホッと胸を撫でおろしつつ運動を教えつつ、今日一日わたくしはマリシアの事を話しながら過ごしましたの。
トレーナーたちもマリシアの事を心配している人たちも多く、彼女たちもまた、聞かれたらわたくしのように答えることを約束してくださいましたわ!
後は時が解決するはず――。
また時が経てば、マリシアは此処で働けるようにもなりますものね!
更に言えば、フェイシャルエステ組もマリシアの事をシッカリと伝えておいたので問題は無さそうですし、噂が上書きされるのも時間の問題と言う事で、わたくしの『マリシアのイメージを復活!』と言う願いはある程度達成されるでしょう。
この問題を片付けておかないと、どうしても次の大口依頼に集中できませんでしたの。
無論マリシアの為と言うのが一番大きいですけれどね!
「――と言う事で、噂の上書きは時間を待てば何とかなりそうですわ!」
「すみませんリディア様……」
「あら、わたくしは本当の事しか伝えていませんもの! マリシアは本当に素晴らしい子なんですから自信をもって!」
「はい!」
「そうですよマリシア様! マリシア様はとってもとってもいい子なんですよ!」
「貴族ならではの視点も素晴らしいですし、ボクたちもとっても助かっているんです」
「僕もマリシア姉様の事大好き!」
「オレもマリシアは良い子だと分かってるよ」
「そ……そうありたいと思っていますわ!」
何時もの面々に褒められて顔を赤くしながらツンとした様子を見せるマリシアに、皆さんも安心したように笑ってますわ。
やはりマリシアも元気がないと、何時のも面々も落ち着かないですものね!
「そそそ……それより! お城に作る大型の御風呂については、もう案は出ましたの?」
「そうでしたわ! 見てくださいませこの図案を!」
「私とリディア様で考えた、画期的な湯屋ですわ!!」
そう、今回お城から依頼されたのは、大型の湯屋を作れないかと言う依頼。
前世の記憶をフル稼働させ、銭湯をイメージしつつ何とか形にしたのは大型の湯屋でしたの!
大きな浴槽は二つあり、熱めのお湯とぬるめのお湯の二種類作って、お湯は上から流し、下から流す形で何時も清潔なお湯を使えるようにして、シャワーも完備! 身体も綺麗に洗える仕組みにしましたわ!
そして一つの席に一枚鏡を置くようにして腰かける椅子を用意すれば、前世で見た銭湯の出来上がりですわ!
無論、ジャグジー風呂なんかは作れそうになかったので諦めましたけれど、大きめの御風呂が二つあれば、ある程度問題は無くなると思いましたの!
「後はこれを王城に持って行って、湯屋を改築する方との話し合いをして、了承を得れば作り始める事になりますわ」
「簡易的な温泉と言うイメージで作ってみたんですが、流石に箱庭師が作る温泉は作れそうにないと言う話し合いの結果なの」
「掃除のしやすさを考えると、ヒノキ風呂なんて無理でしたものね」
「そうなんですよね……せめて温泉の中はいい香りがするようにできればいいんですけど」
「一応温泉に入れるアイテムはあるんですけれど、好き好きがありそうで」
「それにお湯を流しっぱなしにすると言う利点から使えそうになかったんですよね」
「そうなのよねぇ」
「奥が深いんですね……御風呂って」
「特に大浴場となると」
「わたくしの箱庭に、温泉専用の場所が二カ所貸し出し用が出きれば、そこを貸し出したいところですけれどね」
「またまたー! リディア様がそう言うと本当に箱庭の神様が作っちゃいますよ?」
「流石に無理があるんじゃないかしら?」
「そうでしょうか?」
「でも、ファビーの奪い合いが始まるくらいなら、箱庭の神様にお願いして作りたいところよ? 王城にいけばファビーを欲しがる貴族は多いんですから」
「そうなんですか?」
「既にアラーシュ様の元に見合いの話が舞い込んでいますわよ?」
「ひええええええ! 何とかしてください! 私貴族に嫁ぎたくはないです――!! ずっとこの箱庭に居たいんです―――!!」
と、ファビーが怯えていたその時でしたわ!
ズン……と言う音と共に箱庭全体が動き始め、何事かと机にしがみつきつつ揺れを耐えていると、子供達も驚いたのか騒いでいる声が聞こえますわ!
一体何事ですの!?
まさか、まさか―――!!!
『キッズハウス・サルビア』も『ダイエット・サルビア』も活気を取り戻しつつあり、今日は午前中の『ダイエット・サルビア』にわたくしも出ましたの。
高位貴族が多い午前中は、人も少しだけ疎らではあった者の、気合を入れて身体を絞っている貴族女性も多く、わたくしの登場に驚いている方々も多かったですわ!
「ダンノージュ侯爵家に嫁がれた、リディア様じゃなくって?」
「はい、そうですわ」
「今回の事件大変でしたわね……」
「養女にした家が問題を起こしたのでしょう?」
「あらあら? 養女は関係ありませんわ。例の薬が出る前に母親にわたくしの箱庭に逃がして貰って助かっている子です。例の父親と姉からはとても疎まれていた様で……母親に逃がして貰わなかったら最初の犠牲者はあの子でしたわ」
「「「「「まあ!!」」」」」
「きっと、あの事件を起こした方は、心根の優しいわたくしの養女が気に入らなかったのね……あの子こそ可哀そうな子ですわ」
そう言って悲しそうな顔をすれば、皆さんからは同情めいた言葉を頂きましたわ。
こういうのって、噂の上書きをしていくと良いのよね。
女の口はとっても軽いもの。
「わたくしの養女……マリシアと言うんですけれど、それはそれは優しい子ですのよ? 親に捨てられた小さい子供を相手に勉強を教えたり、お年寄りが困っていると放っておけない子で、まるで聖女のように優しい子ですわ。それなのに件の姉はそんなマリシアを疎んで妬んで……あの子の実家では、相当ひどい扱いをされたのに、泣きながらも前を向いて、今日も幼い子供達やお年寄りの世話をしていらっしゃいますの」
「本当に姉妹で全く違ったのね……」
「確かに此処でわたくしたちに教えてくれている時も、とっても優しく教えてくださいましたわ」
「気立ての良い娘だったのは覚えてますもの」
「そう……嫉妬されて家でも冷遇されて……辛かったでしょうに」
「そう言えばあの家の方々押し寄せてきた時も、とっても怯えた様子でしたわ」
「なんて可哀そうなの!」
「マリシアはわたくしの箱庭に逃げてきて、やっと笑う事が出来るようになったような子なんですのよ? それまでの生活を聞くとわたくし涙が出そうですわ……」
「「「「まあああ!!」」」」
此処まで行っておけば、後は高位貴族の方々が尾ひれを付けて色々お話してくださるでしょうね。
マリシアは素晴らしい子であることに間違いはありませんけれど、勘違いされたまま悪い噂が流れるのだけは阻止しなくては!!
「結婚適齢期なのに、元実家の事があったからと……結婚することを諦め、献身的に誰かの役に立つことをと仰ってましたわ」
「女性の幸せは結婚だと言うのに、その幸せを諦めるんだなんて!」
「なんて子なの……マリシア、可哀そうな子っ」
「ですから、もし悪い事を仰っている方がいらっしゃったら、その様な子ではないと皆さんにお話して欲しいくらいですわ」
「お任せくださいませリディア様」
「まさかそんな可哀そうな子だとは思いもよりませんでしたわ……」
「彼女の名誉の為にも、わたくし茶会などでお話しますわ!!」
「ええ、是非あの子の名誉のためもお願いしますわね!」
そう言うと高位貴族の女性達は「無論ですわ!!」と一人ずつ握手を交わし、運動を再開してくましたわ!
これであとは時間が立てば、マリシアの名誉も回復していくはず。
ホッと胸を撫でおろしつつ運動を教えつつ、今日一日わたくしはマリシアの事を話しながら過ごしましたの。
トレーナーたちもマリシアの事を心配している人たちも多く、彼女たちもまた、聞かれたらわたくしのように答えることを約束してくださいましたわ!
後は時が解決するはず――。
また時が経てば、マリシアは此処で働けるようにもなりますものね!
更に言えば、フェイシャルエステ組もマリシアの事をシッカリと伝えておいたので問題は無さそうですし、噂が上書きされるのも時間の問題と言う事で、わたくしの『マリシアのイメージを復活!』と言う願いはある程度達成されるでしょう。
この問題を片付けておかないと、どうしても次の大口依頼に集中できませんでしたの。
無論マリシアの為と言うのが一番大きいですけれどね!
「――と言う事で、噂の上書きは時間を待てば何とかなりそうですわ!」
「すみませんリディア様……」
「あら、わたくしは本当の事しか伝えていませんもの! マリシアは本当に素晴らしい子なんですから自信をもって!」
「はい!」
「そうですよマリシア様! マリシア様はとってもとってもいい子なんですよ!」
「貴族ならではの視点も素晴らしいですし、ボクたちもとっても助かっているんです」
「僕もマリシア姉様の事大好き!」
「オレもマリシアは良い子だと分かってるよ」
「そ……そうありたいと思っていますわ!」
何時もの面々に褒められて顔を赤くしながらツンとした様子を見せるマリシアに、皆さんも安心したように笑ってますわ。
やはりマリシアも元気がないと、何時のも面々も落ち着かないですものね!
「そそそ……それより! お城に作る大型の御風呂については、もう案は出ましたの?」
「そうでしたわ! 見てくださいませこの図案を!」
「私とリディア様で考えた、画期的な湯屋ですわ!!」
そう、今回お城から依頼されたのは、大型の湯屋を作れないかと言う依頼。
前世の記憶をフル稼働させ、銭湯をイメージしつつ何とか形にしたのは大型の湯屋でしたの!
大きな浴槽は二つあり、熱めのお湯とぬるめのお湯の二種類作って、お湯は上から流し、下から流す形で何時も清潔なお湯を使えるようにして、シャワーも完備! 身体も綺麗に洗える仕組みにしましたわ!
そして一つの席に一枚鏡を置くようにして腰かける椅子を用意すれば、前世で見た銭湯の出来上がりですわ!
無論、ジャグジー風呂なんかは作れそうになかったので諦めましたけれど、大きめの御風呂が二つあれば、ある程度問題は無くなると思いましたの!
「後はこれを王城に持って行って、湯屋を改築する方との話し合いをして、了承を得れば作り始める事になりますわ」
「簡易的な温泉と言うイメージで作ってみたんですが、流石に箱庭師が作る温泉は作れそうにないと言う話し合いの結果なの」
「掃除のしやすさを考えると、ヒノキ風呂なんて無理でしたものね」
「そうなんですよね……せめて温泉の中はいい香りがするようにできればいいんですけど」
「一応温泉に入れるアイテムはあるんですけれど、好き好きがありそうで」
「それにお湯を流しっぱなしにすると言う利点から使えそうになかったんですよね」
「そうなのよねぇ」
「奥が深いんですね……御風呂って」
「特に大浴場となると」
「わたくしの箱庭に、温泉専用の場所が二カ所貸し出し用が出きれば、そこを貸し出したいところですけれどね」
「またまたー! リディア様がそう言うと本当に箱庭の神様が作っちゃいますよ?」
「流石に無理があるんじゃないかしら?」
「そうでしょうか?」
「でも、ファビーの奪い合いが始まるくらいなら、箱庭の神様にお願いして作りたいところよ? 王城にいけばファビーを欲しがる貴族は多いんですから」
「そうなんですか?」
「既にアラーシュ様の元に見合いの話が舞い込んでいますわよ?」
「ひええええええ! 何とかしてください! 私貴族に嫁ぎたくはないです――!! ずっとこの箱庭に居たいんです―――!!」
と、ファビーが怯えていたその時でしたわ!
ズン……と言う音と共に箱庭全体が動き始め、何事かと机にしがみつきつつ揺れを耐えていると、子供達も驚いたのか騒いでいる声が聞こえますわ!
一体何事ですの!?
まさか、まさか―――!!!
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