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223 新たな商売のタネは――。
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それからというもの、追加になった弟子三人も交えて王都で行う商売を練ることが日課になりましたわ。
販売層は0歳から学園に上がる12歳までの男女を含めた子供をターゲットに絞り、日夜売る物を考える日々。
新しい弟子三人は、商売の基礎を学べるし、一石二鳥にもなる勉強会ともなりましたの。
「女の子ならば、子供用の簡単なお化粧道具とかかしら?」
「でも貴族ならお抱えのメイドが化粧を施すと思いますわ」
「ええ、だから子供用の化粧品を作るの。無添加で肌に優しい負担の少ない簡単な白粉とか、日焼け防止の乳液とか。貴族子女は日焼けを極端に嫌うでしょう? わたくしは健康美の方が好きなんですけれど」
「確かに貴族の女性は、肌が白くて透明度が云々と言うお話は聞いたことがあります」
「それなのよ。大人と同じものを子供に使うなんて言語道断ですわ。子供用の肌に負担の掛からない優しい物を作れば、将来そばかすだのシミなんかに悩む女性が減るんじゃないかしら」
「なるほど」
「それで、図としてはこういう宝石箱のような入れ物に――」
そう言って図も書いて説明するとマリシアは「可愛い!」と叫び、クウカとナウカは「女の子が好みそうです」と口にした。
作るのは子供用のアイシャドウとアイライン、それに無添加の白粉に色付きのリップ。
それらを貴族向けに宝石を使ってケースを作り、中身は入れ替えが何時でも出来る仕様にしたらどうかと言う話になった。
そして宝石箱も、どれも一品物にして可愛らしい物から大きいものまで用意するのと、折り畳みの手鏡と言うのがあれば、お洒落好きな子供にも受けるのではないかと考えましたわ。
それに、可愛らしいリボンやカチューシャ、美しい宝石のついた髪飾り等を提案すると、やはりマリシアは「絶対女の子は欲しがります!」と力強く話してくれた。
「髪飾りには、付与魔法を付けようかと思うの。子供とはいえ、怪我をしたりすることもあるでしょうし、勉強で疲れて手足が痛いと言うのもあるでしょう? 礼儀作法の勉強なんて地獄でしたもの」
「そうですわ。礼儀作法ってなんであんなに女の子は辛いのかしら」
「それで、痛み軽減付与と体力を徐々に回復する付与を付けたアクセサリーを作っておけば、それなりに売れるんじゃないかしら。年齢層はそうね、5歳くらいから使用可能と言う注意書きは必要だけれど」
「そうですわね、大体の貴族子女とは5歳くらいから礼儀作法の授業が始まりますわ」
「丁度良さそうね。時期的にも5歳からなら少し弱めの付与は使えるし、強い付与はちょっとね」
「ええ」
「男の子だと、怪我をするわんぱく盛りでしょう?」
「そうですね、男の子は基本的に何歳になってもわんぱく盛りだと思います」
「オレも父さんたちから少しは大人しくしろって良く怒られてました」
「あらあら、男の子はわんぱく位で丁度いいのだけれど、度が過ぎると大変ね」
「怪我をしやすいのも男の子の特権みたいなところはありますから」
「じゃあ、怪我をした際に直りが良くなる回復付与でもつけておけばお守りにはなるかしら」
「そうですね、騎士の家だと怪我は絶えないと聞きますし」
「回復付与は素晴らしいと思います」
「どこにニーズを合わせて作っていくかはとても大事ですわね……」
そう語り合いながらノートを埋めていくと、大体の姿が見えてきましたわ。
女の子はオシャレに、男の子は動きやすく怪我に対応。
そんなイメージかしら?
「そう言えば……貴族の子供達は体力を思いきり使う際には、どんな事をするのかしら」
「剣術や馬術が主でしょうか?」
「でもそれって、室内で出来る事ではないわよね?」
「そうですわね」
「トランポリンってこちらには無いのかしら」
「トランポリン……ですか?」
「聞いたことありませんね」
「そうなの? こういうものなんだけれど」
そう言って鞄からドンッとトランポリンを取り出すと、皆さんが身を乗り出してみてらっしゃいますわ。
「リディア姉、これは?」
「わたくしが部屋で使っているトランポリンですわ。体幹を鍛え、運動不足解消やスタイルを絞る為に使ってますの」
「「スタイルを絞る……」」
「ほら、女性は美しい姿でいてこそと言う考えはどうしてもありますから、スタイル維持やダイエットのために使ってますわ。一日30分も飛びはねたりしてれば結構痩せますわよ? あとはコレですわね」
そう言って取り出したのはフラフープ。
こちらもわたくしの体型維持には欠かせないアイテムの一つですわ!
「こちらはフラフープ。一日30分回すとそれだけで素敵なウエストを維持できるすぐれものですわ。無論身体を細くするためにも適したアイテムですわよ」
「リディア姉」
「リディア様」
「「売りましょう! コレ!!」」
女子二人の目つきが変わりましたわ……。
「世の女性はどれだけ腰を絞るのに苦労しているとお思いです? 好きなお菓子も我慢して必死に必死にダイエットしているんです!」
「あら、食べないダイエットはリバウンドの元よ?」
「「それでもです!!」」
「年頃の娘と言うのは美しくなるために必死なんです!!」
「私も箱庭に来てから肉付きが良くなって不安なんです! 是非欲しいです!!」
「そ……そうなのね? 作るのは難しくないから、後でお二人にも渡しましょうか? ちなみにトランポリンは男性にも効果的らしいわ」
「「「と言うと?」」」
「詳しくは忘れましたけれど、体幹部分が強くなって馬術と同じだけの効果があるのだとか」
「「素晴らしいですね!!」」
「オレも欲しいです!」」
「わたくしは腹筋が割れませんでしたけれど、割れた人も中にはいるらしいですわ」
「「「是非作りましょう!!!」」」
「これは大人向けでも絶対売れますよ!!」
「でも今回作りたいのは子供向けですから、」
「そこに、あえて置くんです! 子供だけではなく自分の為に成りそうなものを見つければ、プライドの高い貴族は『子供と一緒居使うのも悪くない』とか言って買うんですよ!」
「なるほど、それは素晴らしい案ね!!」
こうして、わたくしが前世で使っていたトランポリンとフラフープは売ることが決定しましたわ。
後は子供向けのバッグとかも考えましたけれど、箱庭の革細工師さんたちは子供向けは余り作りたがらないので無理と言う判断になり、他の商品を考える事になりましたわ。
今出ているのは先ほどの親も買って貰いましょうの二つと、子供用の化粧品や手鏡に宝石箱。宝石箱にはオルゴールを備えつけて売れば特別感が増しますわね。
そう言えば――。
「ねぇマリシア。子供用のお洋服って留め具が結構痛かった記憶があるんですけれど」
「ええ、留め具が当たると痛いのは多いですわ」
「わたくしが着ているような物はなかったですわよね?」
「見せて頂いても?」
そう言うとマリシアはわたくしの背中……ジッパーを見て息を呑んだのが聞こえましたわ。
「わたくしのワンピースやサルビアで売っているワンピースは、このジッパーと呼ばれるもので服を閉めるんですけれど、これでワンピースを作ったら売れると思いませんこと?」
「これは……私も欲しいです……。留め金が結構痛くって」
「まぁ大変! 後で美女三人に作って貰いましょう? 身体のサイズも測らないと!」
「そ、そうですわね……」
「でも、そうね……最近子供服に興味のあるあの三人なら……」
子供服、行けるんじゃないかしら?
デザインはわたくしも案を出してお洒落な物を作りましょう。
それこそ、前世でみたアニメのドレスみたいな奴だったら人気は出そうな気がしますわ!
「幾つか案を出しますから、明日また話し合いましょう。洋服に関しては今からマリシアを連れて裁縫小屋に行ってきますわ! これにて解散で宜しいかしら?」
「私も着いて行きまーす!」
「では、男は男同士で色々会話でもしていましょう。ボクも新しい販路とあって色々話し合いたいですし」
「俺もフォルとの会話は有意義な時間になるからな」
「オレもです!」
「僕はフォルと一緒にいるー!」
「では男女で分かれましょう。色々案を出してきますわ!」
こうして始まった王都での販売活路――これが思わぬ方向に進んでいこうとは、この時は思いもしてなかったですわ……。
販売層は0歳から学園に上がる12歳までの男女を含めた子供をターゲットに絞り、日夜売る物を考える日々。
新しい弟子三人は、商売の基礎を学べるし、一石二鳥にもなる勉強会ともなりましたの。
「女の子ならば、子供用の簡単なお化粧道具とかかしら?」
「でも貴族ならお抱えのメイドが化粧を施すと思いますわ」
「ええ、だから子供用の化粧品を作るの。無添加で肌に優しい負担の少ない簡単な白粉とか、日焼け防止の乳液とか。貴族子女は日焼けを極端に嫌うでしょう? わたくしは健康美の方が好きなんですけれど」
「確かに貴族の女性は、肌が白くて透明度が云々と言うお話は聞いたことがあります」
「それなのよ。大人と同じものを子供に使うなんて言語道断ですわ。子供用の肌に負担の掛からない優しい物を作れば、将来そばかすだのシミなんかに悩む女性が減るんじゃないかしら」
「なるほど」
「それで、図としてはこういう宝石箱のような入れ物に――」
そう言って図も書いて説明するとマリシアは「可愛い!」と叫び、クウカとナウカは「女の子が好みそうです」と口にした。
作るのは子供用のアイシャドウとアイライン、それに無添加の白粉に色付きのリップ。
それらを貴族向けに宝石を使ってケースを作り、中身は入れ替えが何時でも出来る仕様にしたらどうかと言う話になった。
そして宝石箱も、どれも一品物にして可愛らしい物から大きいものまで用意するのと、折り畳みの手鏡と言うのがあれば、お洒落好きな子供にも受けるのではないかと考えましたわ。
それに、可愛らしいリボンやカチューシャ、美しい宝石のついた髪飾り等を提案すると、やはりマリシアは「絶対女の子は欲しがります!」と力強く話してくれた。
「髪飾りには、付与魔法を付けようかと思うの。子供とはいえ、怪我をしたりすることもあるでしょうし、勉強で疲れて手足が痛いと言うのもあるでしょう? 礼儀作法の勉強なんて地獄でしたもの」
「そうですわ。礼儀作法ってなんであんなに女の子は辛いのかしら」
「それで、痛み軽減付与と体力を徐々に回復する付与を付けたアクセサリーを作っておけば、それなりに売れるんじゃないかしら。年齢層はそうね、5歳くらいから使用可能と言う注意書きは必要だけれど」
「そうですわね、大体の貴族子女とは5歳くらいから礼儀作法の授業が始まりますわ」
「丁度良さそうね。時期的にも5歳からなら少し弱めの付与は使えるし、強い付与はちょっとね」
「ええ」
「男の子だと、怪我をするわんぱく盛りでしょう?」
「そうですね、男の子は基本的に何歳になってもわんぱく盛りだと思います」
「オレも父さんたちから少しは大人しくしろって良く怒られてました」
「あらあら、男の子はわんぱく位で丁度いいのだけれど、度が過ぎると大変ね」
「怪我をしやすいのも男の子の特権みたいなところはありますから」
「じゃあ、怪我をした際に直りが良くなる回復付与でもつけておけばお守りにはなるかしら」
「そうですね、騎士の家だと怪我は絶えないと聞きますし」
「回復付与は素晴らしいと思います」
「どこにニーズを合わせて作っていくかはとても大事ですわね……」
そう語り合いながらノートを埋めていくと、大体の姿が見えてきましたわ。
女の子はオシャレに、男の子は動きやすく怪我に対応。
そんなイメージかしら?
「そう言えば……貴族の子供達は体力を思いきり使う際には、どんな事をするのかしら」
「剣術や馬術が主でしょうか?」
「でもそれって、室内で出来る事ではないわよね?」
「そうですわね」
「トランポリンってこちらには無いのかしら」
「トランポリン……ですか?」
「聞いたことありませんね」
「そうなの? こういうものなんだけれど」
そう言って鞄からドンッとトランポリンを取り出すと、皆さんが身を乗り出してみてらっしゃいますわ。
「リディア姉、これは?」
「わたくしが部屋で使っているトランポリンですわ。体幹を鍛え、運動不足解消やスタイルを絞る為に使ってますの」
「「スタイルを絞る……」」
「ほら、女性は美しい姿でいてこそと言う考えはどうしてもありますから、スタイル維持やダイエットのために使ってますわ。一日30分も飛びはねたりしてれば結構痩せますわよ? あとはコレですわね」
そう言って取り出したのはフラフープ。
こちらもわたくしの体型維持には欠かせないアイテムの一つですわ!
「こちらはフラフープ。一日30分回すとそれだけで素敵なウエストを維持できるすぐれものですわ。無論身体を細くするためにも適したアイテムですわよ」
「リディア姉」
「リディア様」
「「売りましょう! コレ!!」」
女子二人の目つきが変わりましたわ……。
「世の女性はどれだけ腰を絞るのに苦労しているとお思いです? 好きなお菓子も我慢して必死に必死にダイエットしているんです!」
「あら、食べないダイエットはリバウンドの元よ?」
「「それでもです!!」」
「年頃の娘と言うのは美しくなるために必死なんです!!」
「私も箱庭に来てから肉付きが良くなって不安なんです! 是非欲しいです!!」
「そ……そうなのね? 作るのは難しくないから、後でお二人にも渡しましょうか? ちなみにトランポリンは男性にも効果的らしいわ」
「「「と言うと?」」」
「詳しくは忘れましたけれど、体幹部分が強くなって馬術と同じだけの効果があるのだとか」
「「素晴らしいですね!!」」
「オレも欲しいです!」」
「わたくしは腹筋が割れませんでしたけれど、割れた人も中にはいるらしいですわ」
「「「是非作りましょう!!!」」」
「これは大人向けでも絶対売れますよ!!」
「でも今回作りたいのは子供向けですから、」
「そこに、あえて置くんです! 子供だけではなく自分の為に成りそうなものを見つければ、プライドの高い貴族は『子供と一緒居使うのも悪くない』とか言って買うんですよ!」
「なるほど、それは素晴らしい案ね!!」
こうして、わたくしが前世で使っていたトランポリンとフラフープは売ることが決定しましたわ。
後は子供向けのバッグとかも考えましたけれど、箱庭の革細工師さんたちは子供向けは余り作りたがらないので無理と言う判断になり、他の商品を考える事になりましたわ。
今出ているのは先ほどの親も買って貰いましょうの二つと、子供用の化粧品や手鏡に宝石箱。宝石箱にはオルゴールを備えつけて売れば特別感が増しますわね。
そう言えば――。
「ねぇマリシア。子供用のお洋服って留め具が結構痛かった記憶があるんですけれど」
「ええ、留め具が当たると痛いのは多いですわ」
「わたくしが着ているような物はなかったですわよね?」
「見せて頂いても?」
そう言うとマリシアはわたくしの背中……ジッパーを見て息を呑んだのが聞こえましたわ。
「わたくしのワンピースやサルビアで売っているワンピースは、このジッパーと呼ばれるもので服を閉めるんですけれど、これでワンピースを作ったら売れると思いませんこと?」
「これは……私も欲しいです……。留め金が結構痛くって」
「まぁ大変! 後で美女三人に作って貰いましょう? 身体のサイズも測らないと!」
「そ、そうですわね……」
「でも、そうね……最近子供服に興味のあるあの三人なら……」
子供服、行けるんじゃないかしら?
デザインはわたくしも案を出してお洒落な物を作りましょう。
それこそ、前世でみたアニメのドレスみたいな奴だったら人気は出そうな気がしますわ!
「幾つか案を出しますから、明日また話し合いましょう。洋服に関しては今からマリシアを連れて裁縫小屋に行ってきますわ! これにて解散で宜しいかしら?」
「私も着いて行きまーす!」
「では、男は男同士で色々会話でもしていましょう。ボクも新しい販路とあって色々話し合いたいですし」
「俺もフォルとの会話は有意義な時間になるからな」
「オレもです!」
「僕はフォルと一緒にいるー!」
「では男女で分かれましょう。色々案を出してきますわ!」
こうして始まった王都での販売活路――これが思わぬ方向に進んでいこうとは、この時は思いもしてなかったですわ……。
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