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215 お泊り保育②

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凄い。
物凄く偏っていますわ。
こんなことってありますの……?

今回ロニエルを入れた19人のスキルチェックを行った結果、どうなったかというと。

『絵師』8名。
『物書き師』5名。
『音楽家』2名

もうこの時点で、何と言うか、何と言うか……見た目通りと言うか、人とのお付き合いが苦手そうな方々が揃いも揃って……マルモちゃんの明るい性格の絵師の方が珍しかったのか否か分からない状態ですわ。
そして初めて見る『音楽家』と言うスキルはレアではないのだけれど……とても難しいスキルだと聞いていますわ。

でも欲しかった絵師と物書きさんがいらっしゃるのは嬉しいですわね。
環境を整えて差し上げたらきっと色々と花開くような気がしますわ!

幼い子供達の方はと言うと――。
『錬金術師』『彫金師』『付与師』でしたわ。
幼い三人に関しては、遊びながら勉強を楽しんでもらいつつ成長して貰おうと思いますの。
さて、最後にロニエル君ですけれど、彼のスキルはというと『箱庭師』でしたわ。
やっと見つけた箱庭師!!
私思わず喜びを叫びそうになったのを抑えつつ、笑顔で対応しましたわ。


「さて、絵師8人、物書き師5人、音楽家2人に幼い三人は錬金術師に彫金師、付与師と言う結果になりましたが、丁度絵師と物書き師は大募集してましたの! 是非箱庭で働いて貰いたいですわ!」
「すみません、僕たちってそんなに喜ばれるようなスキルなんですか?」
「妄想が趣味です……娯楽が無くて」
「ノートもペンも買えないから……」
「ご心配には及びませんわ! 原稿用紙だろうが画材道具だろうが羽ペンだろうがガラスペンだろうが、なんでも用意しますわよ!」
「「「「おおおおおお」」」」
「それと、マルモさんをご存じ? 彼女は絵師なのですが、既に絵を何枚か売っているほどの腕のいい方なんですよ!」
「マルモさん……」
「ああ、あの露出の……」
「俺はつつましいくらいのおっぱいの方が、」
「皆さん、妄想から戻ってきてくださいませ。それと女性に失礼ですわよ」
「「「すみません」」」
「解釈の違い等絵師にも物書き師にも色々あるでしょうが、是非頑張って思う存分書きたいことを書いてみるのもお勧めしますわ。何度も何度も書いて、何度も何度も没にして、その中で出来上がった作品はきっと素晴らしいでしょうから!」
「「「「「うっす」」」」」
「作業するなら、個室が良いです」
「そうね、物書き師さんは個室がいいわよね」
「箱庭の風景を絵にして展示会したい」
「それいいな」
「まずは初めての絵の道具だし、練習しまくろうぜ」


こうして、絵師8人は箱庭の風景を描くための道具が欲しいと言う事と、物書き師さん達は、原稿用紙とインクと羽ペンを欲しがり、気になった本を買うか借りるか出来れば嬉しいとのことでしたわ。


「あの……休憩所にあるピアノを借りたいです」
「私は歌を歌いたいです!」
「ええ、好きに演奏して好きに歌を歌うのもアリですわ! 蓄音機と言う物もありますから使ってみて下さいませ」
「前から気になっていたので助かります」
「どんな音が聴けるのかしら!」


と、音楽家の二人は蓄音機にも興味津々。
この二人、きっと大物になる予感がしますわ!!
幼い三人については今後の成長に期待と言う事で――問題はロニエルだわ。


「僕のスキルは箱庭師……リディア様と同じ箱庭師!!」
「ええ、箱庭師ですわ。わたくしは既にファビーと言う箱庭師を弟子にしているんですけれど、貴方も弟子入りします?」
「します!!」
「そう、でしたら色々わたくしのしている事や、周囲の事を観察したりするのが一番いいですわね」
「はい、師匠!」
「師匠……そうね、弟子ですもの、師匠と呼ばれるのは初めてですけれど宜しくね! 箱庭師については色々明日教えますから、今はお泊り保育を楽しんでね」
「はい師匠!」


そう言って飛び出していったロニエルに笑顔で手を振ると、他の方々も各自戻って行かれましたわ。


「リディア、新しい面々は個性豊かだったな」
「そうね、とても個性豊かだったわ……こっちが驚くほどに。でも皆才能あふれる子供達よ」
「そうだな、それは違いない」


こうしてお泊り保育の間の子供達はと言うと、砂の上を走り回って追いかけっこをしたり、普段はダメですよと注意される川に入って遊んだりと、とても楽しそうでしたわ。
オヤツタイムにはシッカリとオヤツを食べて更に遊び、子供の体力とは無限回路でも組み込まれているのかしら? と思う程に遊びますわ。
そして――。

各作業小屋に行っては、仕事の風景を見て楽しんだり、質問をしながら過ごしたりしている女の子たちもとても多かったですわ。


「洋服屋さんになるの夢なの!」
「アタシもー!」
「そうなの? じゃあ裁縫師だったら良いわね!」
「アタシたちが教えてあげたくなっちゃうわ」
「お姉ちゃんたちはこの三人から教えて貰ってるの?」
「そうだよ? とっても素敵なお姉様たちなの!」
「素晴らしい先生よ!」
「最高の先生だし、お化粧の仕方も教えてくれるの!」
「「「いいなー!!」」」


と言う声が裁縫小屋から聞こえれば――。


「パパが付与師で、ママが彫金師なの。こういう仕事ができるのね」
「あら、じゃあお嬢ちゃんのつけているアクセサリーはママが作ってくれたの?」
「うん、迷子防止の付与もついてるよ」
「良いパパとママね」
「商業ギルドに行って、お金を出さないとスキルを見せて貰えないんでしょう?」
「そうらしいわね」
「私もコツコツお小遣い貯めて、何時かスキルをみにいくの!」
「わたしもよ! パパとママが錬金術師だから、きっと錬金術師だろうなって思ってるけど、楽しみなの!」
「でも、商業ギルドに登録しないで進む道もあるって聞いたわ」
「お金がない人がするんでしょう? 私は自分にあった仕事がしたいわ」
「自分に会った仕事をするのは楽しいわよ? でも、身体を壊す程働かされる場所からは逃げなさいね? 身体があってこそのスキルなんだから」
「「「「はーい!」」」」


――と言う声が聞こえたりと、皆さん思い思いに過ごしていらっしゃるようす。
そうよね、身体を壊すほど働かされる場所はダメね。
そう言うのをブラック企業って言うのよ。
私も前世では一度体験があるけれど、アレはダメよ。
身も心もボロボロになるわ!
ブラック反対!!!
そう言う企業って、古い企業だったり、上の面々がお年寄りばかりだとなりやすいのよね。
根性論は時代が古いのよ。
今は効率論にしないとね!
根性で上に上がっていくような世界だったらいいけれど、あの世界はそういうの無かったし。
そう思うと、こっちの方が幸せなような気もするわ。


「どうした? リディア」
「ん? うちはホワイトを目指そうと思って」
「ホワイト?」
「働きすぎはダメってこと」
「俺とリディアとフォルは働きすぎだと思うけどな」
「ロストテクノロジー持ちがあと一人増えたら、随分変わるのですけれどね」
「早々見つからないさ、レア中のレアだからな」
「そうね」


そんな会話をしながらいつの間にか夜になって、子供達にとってはお楽しみの時間が始まりますわ。
さぁ、始めましょう?
『冒険者スタイル』と言うものを!
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