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128 ライトの頑張り。
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――ライトside――
次の朝、兄とリディア姉さんがお楽しみと言う事もあり、私とロキシーは王太子領の【サルビア布製造所】へとやってきた。
時間は既に9時を過ぎていたが、新しい工場でも沢山の若い女性達が働き始めたようで、ノマージュさんの声が良く響いている。
「サーシャさん、宜しいでしょうか?」
「まぁ! ライトさんどうなさったんですか?」
「大口依頼の品が出来たと言う報告を受けましたので、疲れて倒れた兄の代わりに私が担当することとなりました。品物は既に梱包済みでしょうか?」
「はい、こちらに250セットのガーゼシリーズが出来上がっています。追加分の250枚も近々できる予定ですよ。王太子領では今も尚、ガーゼシリーズの売れ行きがそれなりにありまして、少し多めに作っておこうと言う話なのですが、カイル様から昨夜王太子領での大口依頼で【ほっかりシリーズ】が450セット欲しいと言う案件を頂きましたので、リディア様から頂いていた布が早速役に立っております」
「半数はガーゼシリーズ、そのまた半数がほっかりシリーズ作成ですね」
「はい、急ぎ用意できるよう頑張って作らせています」
「助かります。急な大口依頼でしたのでどうしたものかと思いましたが、何とかなりそうですね」
「そうですね、ほっかりシリーズの在庫も十分になれば、ほっかり肌着に移行しようと思っている所です。半数はやはり、ほっかりシリーズ担当にはなりますが」
「それでいいと思います。ダンノージュ侯爵領でも、ほっかりシリーズは大口依頼で入ってくる事になる可能性が高いですから」
「ですよね。出来るだけ多めに作り、一般市民から冒険者まで幅広く使えるようにいたしますので、暫くお待ちください」
「宜しくお願いします。ではガーゼシリーズを頂いていきますね」
こうしてアイテムボックスにガーゼシリーズ250個を入れ込むと、ロキシーと共に箱庭経由でダンノージュ侯爵領へと向かいました。
ダンノージュ侯爵領も少しずつ寒くなってきているような気がしますが、王太子領程ではまだ無いのでしょう。
「しかし、良かったのかい、ライト。アンタだって休みは欲しいだろうに」
「私はまだ兄よりは若いですから多少動けますよ。それに、シッカリと睡眠はとれていますから問題はありません」
「全く、弟がシッカリと仕事をしているってのに、カイルの下半身には困ったものだね」
「ですが、私もいずれそうなるのだと思います。兄の事はアレコレと言える立場ではありませんからね」
「それ、相手がアタシって解ってて言ってるのかい?」
「私の相手は死んでもロキシーだけですよ?」
「何をそんな当たり前の事をみたいな顔してんだい!」
「その時の為に、今は頑張って働こうと思います。成人する日が待ち遠しいものですね」
にっこりと微笑んでロキシーを見ると、頬を赤く染めて「はいはい」と返事をしてくれるところが可愛い所です。
もう少し早く生まれたかったと言う気持ちは無くはないですが、それこそ無いもの強請りですから、きっと今だからこそ良いのだと考えています。
大人になった自分がロキシーとそう言う事をするのは、多少なりと興味はありますが、今はシッカリとやるべきことをし、ダンノージュ侯爵領や王太子領で不幸がない人生を歩める人が増えることを祈るばかりですね。
商業ギルドへと入ると、兄ではなく私が入ってきたのでギルドマスターは驚いていましたが、兄が最近の疲れでダウンした事を告げ、代わりに私が来たことを告げると、既に集まっている宿屋協会の面々とお会いすることが出来ました。
「初めてお目に掛かります。私はダンノージュ侯爵の孫の一人、ライト・ダンノージュです。こちらは婚約者のロキシーです。今日は兄が仕事の疲労で倒れてしまいましたので、代わりに私が商品を収めにやってきました。検品も済ませてあります」
「これは有難い。挨拶が遅れました、宿屋協会会長のズノーと申します。以後お見知りおきを。若い者たちが道具店サルビアで大口依頼をしてきたと聞いたときはどうなるかと思いましたが、こうして商品を快く用意してくださったこと、感謝の念しかありません」
「そう言って頂けると幸いです。布製造所を二か所、王太子領で作りましたので、何とか間に合いました」
「それはそれは……」
「まだダンノージュ侯爵領は温かいですが、後に寒くなってくる事でしょう。その時は、王太子領で既に大口依頼が来ている【ほっかりシリーズ】と言う温かい商品もご用意できますので、是非必要の際は早めに依頼をお願いします」
「それは良い事を聞きました。魔物の羽で作った布団と言うのは臭いがどうしても気になりましてな。是非、そちらのほっかりシリーズを寒くなり始める前に依頼したく存じます」
「有難うございます。では先に言われていた250枚のガーゼシリーズです。追加分の250枚はもう暫くお待ち頂けると助かります」
「ええ、そちらも大口依頼ばかりで申し訳ありませんが、是非お願いします。また、宿屋協会は年に1度、品物を新しく変える規定が御座いますので、その時はまた大口依頼となりますが宜しくお願いします」
「畏まりました」
「アイテムボックスは次の品を頂きに伺う際にお返ししても宜しいでしょうか」
「はい、是非そうして頂けると助かります。出来上がり次第またご連絡を入れさせていただきますので」
「ええ、宜しくお願いします」
こうして、見事に予定よりも早くガーゼシリーズを渡すことが出来た事に、少しだけホッとした。
そして、心ばかりにと会長さんから金貨50枚が支払われ、此れから長い付き合いになりそうだと思いました。
次の朝、兄とリディア姉さんがお楽しみと言う事もあり、私とロキシーは王太子領の【サルビア布製造所】へとやってきた。
時間は既に9時を過ぎていたが、新しい工場でも沢山の若い女性達が働き始めたようで、ノマージュさんの声が良く響いている。
「サーシャさん、宜しいでしょうか?」
「まぁ! ライトさんどうなさったんですか?」
「大口依頼の品が出来たと言う報告を受けましたので、疲れて倒れた兄の代わりに私が担当することとなりました。品物は既に梱包済みでしょうか?」
「はい、こちらに250セットのガーゼシリーズが出来上がっています。追加分の250枚も近々できる予定ですよ。王太子領では今も尚、ガーゼシリーズの売れ行きがそれなりにありまして、少し多めに作っておこうと言う話なのですが、カイル様から昨夜王太子領での大口依頼で【ほっかりシリーズ】が450セット欲しいと言う案件を頂きましたので、リディア様から頂いていた布が早速役に立っております」
「半数はガーゼシリーズ、そのまた半数がほっかりシリーズ作成ですね」
「はい、急ぎ用意できるよう頑張って作らせています」
「助かります。急な大口依頼でしたのでどうしたものかと思いましたが、何とかなりそうですね」
「そうですね、ほっかりシリーズの在庫も十分になれば、ほっかり肌着に移行しようと思っている所です。半数はやはり、ほっかりシリーズ担当にはなりますが」
「それでいいと思います。ダンノージュ侯爵領でも、ほっかりシリーズは大口依頼で入ってくる事になる可能性が高いですから」
「ですよね。出来るだけ多めに作り、一般市民から冒険者まで幅広く使えるようにいたしますので、暫くお待ちください」
「宜しくお願いします。ではガーゼシリーズを頂いていきますね」
こうしてアイテムボックスにガーゼシリーズ250個を入れ込むと、ロキシーと共に箱庭経由でダンノージュ侯爵領へと向かいました。
ダンノージュ侯爵領も少しずつ寒くなってきているような気がしますが、王太子領程ではまだ無いのでしょう。
「しかし、良かったのかい、ライト。アンタだって休みは欲しいだろうに」
「私はまだ兄よりは若いですから多少動けますよ。それに、シッカリと睡眠はとれていますから問題はありません」
「全く、弟がシッカリと仕事をしているってのに、カイルの下半身には困ったものだね」
「ですが、私もいずれそうなるのだと思います。兄の事はアレコレと言える立場ではありませんからね」
「それ、相手がアタシって解ってて言ってるのかい?」
「私の相手は死んでもロキシーだけですよ?」
「何をそんな当たり前の事をみたいな顔してんだい!」
「その時の為に、今は頑張って働こうと思います。成人する日が待ち遠しいものですね」
にっこりと微笑んでロキシーを見ると、頬を赤く染めて「はいはい」と返事をしてくれるところが可愛い所です。
もう少し早く生まれたかったと言う気持ちは無くはないですが、それこそ無いもの強請りですから、きっと今だからこそ良いのだと考えています。
大人になった自分がロキシーとそう言う事をするのは、多少なりと興味はありますが、今はシッカリとやるべきことをし、ダンノージュ侯爵領や王太子領で不幸がない人生を歩める人が増えることを祈るばかりですね。
商業ギルドへと入ると、兄ではなく私が入ってきたのでギルドマスターは驚いていましたが、兄が最近の疲れでダウンした事を告げ、代わりに私が来たことを告げると、既に集まっている宿屋協会の面々とお会いすることが出来ました。
「初めてお目に掛かります。私はダンノージュ侯爵の孫の一人、ライト・ダンノージュです。こちらは婚約者のロキシーです。今日は兄が仕事の疲労で倒れてしまいましたので、代わりに私が商品を収めにやってきました。検品も済ませてあります」
「これは有難い。挨拶が遅れました、宿屋協会会長のズノーと申します。以後お見知りおきを。若い者たちが道具店サルビアで大口依頼をしてきたと聞いたときはどうなるかと思いましたが、こうして商品を快く用意してくださったこと、感謝の念しかありません」
「そう言って頂けると幸いです。布製造所を二か所、王太子領で作りましたので、何とか間に合いました」
「それはそれは……」
「まだダンノージュ侯爵領は温かいですが、後に寒くなってくる事でしょう。その時は、王太子領で既に大口依頼が来ている【ほっかりシリーズ】と言う温かい商品もご用意できますので、是非必要の際は早めに依頼をお願いします」
「それは良い事を聞きました。魔物の羽で作った布団と言うのは臭いがどうしても気になりましてな。是非、そちらのほっかりシリーズを寒くなり始める前に依頼したく存じます」
「有難うございます。では先に言われていた250枚のガーゼシリーズです。追加分の250枚はもう暫くお待ち頂けると助かります」
「ええ、そちらも大口依頼ばかりで申し訳ありませんが、是非お願いします。また、宿屋協会は年に1度、品物を新しく変える規定が御座いますので、その時はまた大口依頼となりますが宜しくお願いします」
「畏まりました」
「アイテムボックスは次の品を頂きに伺う際にお返ししても宜しいでしょうか」
「はい、是非そうして頂けると助かります。出来上がり次第またご連絡を入れさせていただきますので」
「ええ、宜しくお願いします」
こうして、見事に予定よりも早くガーゼシリーズを渡すことが出来た事に、少しだけホッとした。
そして、心ばかりにと会長さんから金貨50枚が支払われ、此れから長い付き合いになりそうだと思いました。
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