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118 カイル、ついに【米】情報をゲットする。

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――カイルside――


店をライトに任せ、次に向かったのは商業ギルドだ。
俺の来店に瞬時に動く商業ギルドに、どうやらダンノージュ侯爵家の孫と言うのは行き渡っているんだなと思うと同時に、これならば多少気楽に対応することが出来るだろうと安堵する。


「カイル様、本日は何をお求めで」
「ええ、実は商店街周辺の空き店舗を纏めて買わせて頂こうかと」
「纏めて……で、御座いますか?」
「ええ、ナカース国王陛下から許可を貰い、王からの人材派遣も決まりまして。酒場より少し大きめの店舗を作って頂けることになったのです」
「それはそれは!!」
「そこで、出来れば広いスペースのある店舗や商店街周辺の店舗を買いたくて来たのですが、空き地が入っても構いません。どうでしょう?」
「あの周辺は軒並み店舗が入っておりませんので、好きに買って頂いて構いませんよ」
「それは良かった。値段はそうですね……周辺を大きく買うとなると、どれくらいの金額になるでしょう?」
「そうですね、空き地も込みとなりますと、金貨1000枚ほどになります」
「では、金貨1000枚一括払いで買わせて頂きます。また、建築士等いらっしゃったら是非契約をして解体や店舗を作ったりと色々して頂きたいのですが、まだ何の店を作るか決めかねているので、決まったら建築士の方々を多めに契約で雇いたいと思っています。解体や建築と忙しいでしょうから」
「分かりました、手配はしておきます」
「助かります。色々店舗が決まり次第、商店街の上に屋根付きの道を作りたいので、そちらを先にお願いすることになるかもしれません。商売に雨は嫌ですからね」
「確かにそうですね、承りました」
「それから、商業ギルドの方なら知っている方が居れば教えて欲しいのですが、実は【米】なるものを探していまして、売っている場所などご存じありませんでしょうか」
「暫くお待ちください」


そう言うと担当者は席を外し、奥へと下がると一人一人に「米と言う物をカイル様が探していらっしゃるのですが」と問いかけている。
誰か一人でも見つかればいいのだがと思っていると、一人が席を立ち、どうやら知っている人物がいるようだ。
すると、二人でやってきたギルド職員は席付き、先程席を立ってやってきた男性職員が口を開いた。


「米を探しておいでだと言う事で。ナカース王国の【アカサギ商店】と言う所が、米を取り扱っていると言う情報を聞いたことがあります」
「【アカサギ商店】ですか。どのような商店でしょう」
「【アカサギ商店】は海を渡った商業を主としておりまして、他国から米を輸入していると聞いたことがありますが、米はあまり売れず困っていると言う情報でした。もし必要でしたら【アカサギ商店】と御取次することは可能ですが」
「お願いします。婚約者が米が欲しいと寝言でもいうもので」
「そうでしたか、では明日にでも米を此方に持ってこれるか聞いてきましょう。あちらも箱庭師を多く雇っていますから直ぐに来れる事でしょう」
「助かります。もしアカサギ商店の方が来られたら、道具店サルビアに連絡をお願いします」
「畏まりました。お時間の方は何時頃が宜しいでしょうか」
「そうですね、商談は朝すると良い結果が出ると聞きますし、朝お願いします」
「畏まりました」
「それと、どの様な商品を取り扱っているのかも聞きたい旨をお伝えください。明日の朝は婚約者と共にお話を聞きにまいります」
「畏まりました。商談でしたら部屋をお貸しすることが出来ますが」
「宜しくお願いします」


それまで席を立っていた最初に周辺を買うと言う話をしていた男性が戻ってくると、大量の書類と土地権利書を手に戻ってくるなり、「ではこちらにサインを」と、大量の土地権利書にサインをすることになった。
全部で10店舗あるが、うち5店舗は潰してナカース国王陛下に技術者を派遣してもらう予定だ。
残り5店舗と間にある広い空き地はどうするか悩むが、休憩所にしても良いし、リディアと相談することにしよう。
全てにサインを終えると、土地権利書は商業ギルドが保管することとなる。


「良き商談となり嬉しく思います。アカサギ商店の事も宜しくお願いしますね」
「畏まりました」


こうして残った金で店舗改装費などに回そうと思いつつリディアに報告に行くと、リディアは暫く固まった後、俺に詰め寄りガシッと今までにない程強い握力で俺の腕を掴んだ!
一体どうしたんだリディア!?

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