92 / 274
92 一般的な箱庭と、リディアの箱庭について。
しおりを挟む
商売は保守に回れば成長しませんわ。
常に変化にとんでいなければ勿体ないことこの上なしですわよ!!
「勝算はこちらにどれ程ありますか?」
「道具店サルビアを考えれば……まぁほぼ此方が勝つだろう。だがあちらも必死にはなるだろうな」
「では、徹底抗戦ですわね」
「ははは! リディア嬢は中々好戦的だな!」
「商売は生き残りをかけた戦いですわ。喰うか喰われるか。でしたら、食べてしまいましょう」
「で、新しい商品開発へ進むという訳だなリディア」
「今あるアイテムでも十分勝ちは見えてますわ。ようは停滞している道具屋に勝ち、領民を仲間に引き入れるということですわよね」
「そうなるな」
「でしたら、道具店サルビアで売っている物、業務提携している商品などで何とでもなりませんこと?」
「あー…うん」
「確かにリディアの言う通りかもしれない」
「それに、調理師を新たに雇い入れ研修させ、カフェ・サルビアとは別の形の物を作りましょう。大々的に料理をお出しするお店ですわ」
「カフェ・サルビアはどうするんだ?」
「それはダンノージュ侯爵領の街を見て決めましょう。カフェでしたら王都でも作れますわ」
「では、担当を決めようか。属国となった方のお店の纏め上げはライト、お前に任せる。ロキシーと協力してやってくれないか」
「はい、分かりました」
「あいよ」
「その代わり、ダンノージュ侯爵領と王都は俺がやる」
「頼もしいですわカイル!」
「リディアも激務になるが、大丈夫か?」
「今保護している方々で様々なスキル持ちや錬金術師も増えましたし、何とかなりそうですわ」
「そうか、足りなくなる前に教えてくれ。問題は裁縫師の少なさとネイルサロンだが……」
「それだが、貴族を雇う気はないかね?」
「「「「貴族……」」」」
思わぬ言葉にわたくし達が顔を顰めると、アラーシュ様は苦笑いをしていた。
「流石に貴族は嫌か」
「嫌ですわね。何かと自分の矜持を重んじる方が多すぎますもの。それに貴族の方々が箱庭の方々と仲良くなる率は極めて低いですわ」
「俺もそう思います。没落貴族なら分かりますが」
「では、貴族の路線は止めておこう」
「まずは、領での商売を軌道に乗せるところから始めよう。ダンノージュ侯爵領の道具店サルビアを軌道に乗せ、その後他の店についても検討する」
「そうですわね。まずは着実に一つずつですわね」
「という訳で俺がオーナーをしても?」
「ああ、構わんよ。寧ろカイルにこそオーナーをして領民を見て欲しいし、都度報告は欲しいところだ」
「分かりました」
「問題は店員ですわね」
「一旦持ち帰って、やる気があるものはダンノージュ侯爵領道具店サルビアで一緒に働けるかどうか聞いてみよう」
「女性ばかりだけどね」
「そうだな……」
そう、商売に置いて女性ばかりでは成り立ちませんし、どうしたものかしら。
やはりアラーシュ様に頼んで人を募集して貰おうかしら……。
「……元冒険者の方はダメかしら。ダンノージュ侯爵領にそう言う方はいらっしゃらない?」
「冒険者でも向き不向きはあるさ」
「そうですけれど」
「アタシとしては、最初に雇う人間に関してはダンノージュ侯爵領の人間が良いと思うよ? 勝手がわかってる奴の方が強いからね」
「うううん……」
「商業ギルドで雇うと言う手もある。それまでに店をどこにするかはカイル、任せられるか?」
「はい、領地のどのあたりで商売をするのかにもよりますが」
「遺跡に近い所に大きな街がある。そこにはタウンハウスも置いてあるから、そこから決めればよい。此処から三日ほどの場所だ」
「そうさせてもらいます。どなたかその街までの箱庭経由で行ける方は」
「ブラウンがいける。頼めるかブラウン」
「畏まりました」
こうして話し合いは終わり、タウンハウスにわたくしも道を作るべくブラウンさんに着いて行き、ブラウンさんが箱庭を発動させると、わたくしは初めてブラウンさんが箱庭師であることを知りましたわ。
しかも他人の箱庭に入るのは初めてでしてよ!! 中はどうなっているのかしら!
ワクワクで一杯になりつつブラウンさんの箱庭に入ると――なんか、思ってたのと違いましたわ。
「ンンッ リディア嬢の箱庭が規格外なだけですからね?」
「え?」
「普通の箱庭師の箱庭とはこう言うものです」
そう、ブラウンさんの箱庭はタウンハウスが入る程度の広さに家が建っており、それだけでしたの。
この広さではアパートすら作れません事よ?
そんな事を思いつつ家の中に入ると、中は家というより扉ばかり。
その扉こそが、各移動地点への扉らしく、普通の箱庭師に多い作りなのだとか。
あらあら?
わたくしの箱庭の入り口は一か所だけですけれど、全部思う場所を思い描けば入れますわよ? わたくしの箱庭が可笑しいのかしら?
「納得してないというお顔ですな」
「申し訳ありませんわ……」
「リディアの箱庭は、リディアらしくていいじゃないか」
「まぁ、そうですわね」
個性なんて人それぞれですものね。
それに箱庭師のスキルを持っていると知った瞬間、昔やっていたゲームの箱庭を想像したのも大きいのかしら?
「是非、リディア様の箱庭は、お子様に引き継がれますことを祈りますよ」
「そうなるように育てますわ」
こうしてタウンハウスに到着したわたくし達は、街をぶらりと歩いたんですけれど……。
常に変化にとんでいなければ勿体ないことこの上なしですわよ!!
「勝算はこちらにどれ程ありますか?」
「道具店サルビアを考えれば……まぁほぼ此方が勝つだろう。だがあちらも必死にはなるだろうな」
「では、徹底抗戦ですわね」
「ははは! リディア嬢は中々好戦的だな!」
「商売は生き残りをかけた戦いですわ。喰うか喰われるか。でしたら、食べてしまいましょう」
「で、新しい商品開発へ進むという訳だなリディア」
「今あるアイテムでも十分勝ちは見えてますわ。ようは停滞している道具屋に勝ち、領民を仲間に引き入れるということですわよね」
「そうなるな」
「でしたら、道具店サルビアで売っている物、業務提携している商品などで何とでもなりませんこと?」
「あー…うん」
「確かにリディアの言う通りかもしれない」
「それに、調理師を新たに雇い入れ研修させ、カフェ・サルビアとは別の形の物を作りましょう。大々的に料理をお出しするお店ですわ」
「カフェ・サルビアはどうするんだ?」
「それはダンノージュ侯爵領の街を見て決めましょう。カフェでしたら王都でも作れますわ」
「では、担当を決めようか。属国となった方のお店の纏め上げはライト、お前に任せる。ロキシーと協力してやってくれないか」
「はい、分かりました」
「あいよ」
「その代わり、ダンノージュ侯爵領と王都は俺がやる」
「頼もしいですわカイル!」
「リディアも激務になるが、大丈夫か?」
「今保護している方々で様々なスキル持ちや錬金術師も増えましたし、何とかなりそうですわ」
「そうか、足りなくなる前に教えてくれ。問題は裁縫師の少なさとネイルサロンだが……」
「それだが、貴族を雇う気はないかね?」
「「「「貴族……」」」」
思わぬ言葉にわたくし達が顔を顰めると、アラーシュ様は苦笑いをしていた。
「流石に貴族は嫌か」
「嫌ですわね。何かと自分の矜持を重んじる方が多すぎますもの。それに貴族の方々が箱庭の方々と仲良くなる率は極めて低いですわ」
「俺もそう思います。没落貴族なら分かりますが」
「では、貴族の路線は止めておこう」
「まずは、領での商売を軌道に乗せるところから始めよう。ダンノージュ侯爵領の道具店サルビアを軌道に乗せ、その後他の店についても検討する」
「そうですわね。まずは着実に一つずつですわね」
「という訳で俺がオーナーをしても?」
「ああ、構わんよ。寧ろカイルにこそオーナーをして領民を見て欲しいし、都度報告は欲しいところだ」
「分かりました」
「問題は店員ですわね」
「一旦持ち帰って、やる気があるものはダンノージュ侯爵領道具店サルビアで一緒に働けるかどうか聞いてみよう」
「女性ばかりだけどね」
「そうだな……」
そう、商売に置いて女性ばかりでは成り立ちませんし、どうしたものかしら。
やはりアラーシュ様に頼んで人を募集して貰おうかしら……。
「……元冒険者の方はダメかしら。ダンノージュ侯爵領にそう言う方はいらっしゃらない?」
「冒険者でも向き不向きはあるさ」
「そうですけれど」
「アタシとしては、最初に雇う人間に関してはダンノージュ侯爵領の人間が良いと思うよ? 勝手がわかってる奴の方が強いからね」
「うううん……」
「商業ギルドで雇うと言う手もある。それまでに店をどこにするかはカイル、任せられるか?」
「はい、領地のどのあたりで商売をするのかにもよりますが」
「遺跡に近い所に大きな街がある。そこにはタウンハウスも置いてあるから、そこから決めればよい。此処から三日ほどの場所だ」
「そうさせてもらいます。どなたかその街までの箱庭経由で行ける方は」
「ブラウンがいける。頼めるかブラウン」
「畏まりました」
こうして話し合いは終わり、タウンハウスにわたくしも道を作るべくブラウンさんに着いて行き、ブラウンさんが箱庭を発動させると、わたくしは初めてブラウンさんが箱庭師であることを知りましたわ。
しかも他人の箱庭に入るのは初めてでしてよ!! 中はどうなっているのかしら!
ワクワクで一杯になりつつブラウンさんの箱庭に入ると――なんか、思ってたのと違いましたわ。
「ンンッ リディア嬢の箱庭が規格外なだけですからね?」
「え?」
「普通の箱庭師の箱庭とはこう言うものです」
そう、ブラウンさんの箱庭はタウンハウスが入る程度の広さに家が建っており、それだけでしたの。
この広さではアパートすら作れません事よ?
そんな事を思いつつ家の中に入ると、中は家というより扉ばかり。
その扉こそが、各移動地点への扉らしく、普通の箱庭師に多い作りなのだとか。
あらあら?
わたくしの箱庭の入り口は一か所だけですけれど、全部思う場所を思い描けば入れますわよ? わたくしの箱庭が可笑しいのかしら?
「納得してないというお顔ですな」
「申し訳ありませんわ……」
「リディアの箱庭は、リディアらしくていいじゃないか」
「まぁ、そうですわね」
個性なんて人それぞれですものね。
それに箱庭師のスキルを持っていると知った瞬間、昔やっていたゲームの箱庭を想像したのも大きいのかしら?
「是非、リディア様の箱庭は、お子様に引き継がれますことを祈りますよ」
「そうなるように育てますわ」
こうしてタウンハウスに到着したわたくし達は、街をぶらりと歩いたんですけれど……。
59
お気に入りに追加
431
あなたにおすすめの小説

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!


石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!
うどん五段
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。
皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。
この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。
召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。
確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!?
「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」
気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。
★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします!
★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる