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78 カイルたちの祖父、箱庭視察に来られる。
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「いらっしゃいませ、アラーシュ様に執事のブラウンさん」
「ほお……これはまた見事な」
「リディア嬢、実に素晴らしい箱庭だな。ワシでも此処までの箱庭は見たことがない」
「お褒め頂き光栄ですわ!」
――そう! 本日朝8時。
ついにカイルとライトさんのお爺様であるアラーシュ様と執事のブラウンさんが箱庭に参りましたの!
道具店サルビアはロキシーお姉ちゃんとライトさんが行ってくれているので安心ですわ。
箱庭に住んでいる全員が頭を下げて整列し、子供達はソワソワした様子で見つめていますわ。
「ここの箱庭に住む人数を教えてくれたまえ」
「はい、内部処理班及び、夫の暴力から保護した女性等など、子供を含めて総勢34人となっておりますわ」
「多いな……」
「何かと訳アリの方々が多いんですの。それだけ国が荒れていると言う事でもありますわ」
「ふむ……」
「まずは目に見えますのが香りつけや染料に使う花々と薬草畑となっておりますわ。奥が畑になっておりますが、この箱庭には『植物師』と呼ばれる方がいらっしゃいますので、その方が管理されております。管理は山も含みますわ」
「山までもか。素晴らしい才能の持ち主だ」
「きっと喜びますわ。採掘場は明りがまだ少なく薄暗いですが」
「少し覗くだけでもダメかね?」
「奥まで入らなければ大丈夫ですわ。カイルと共にご案内します」
「行きましょう、お爺様」
「皆さまはそれぞれやるべきことを為さって下さいませね」
「「「「「分かりました」」」」」
こうして皆さんが解散すると、わたくしとカイルはお爺様とブラウンさんを連れて採掘場へと向かいましたわ。
奥まで入らなくとも、採掘場の広さ及び大きさに驚きを隠せないお二人に、思わず嬉しくなってニコニコしてしまいましたわ。
「これだけ素晴らしい採掘場だと、レアな物が掘れるのではないか?」
「はい、前に俺が掘った時はクリスタルゴーレムの腕が出てきました」
「「ほお!!」」
「海岸には時折珍しい物も流れてきます。中々面白い箱庭です」
「素晴らしいですな、アラーシュ様」
「うむ、是非ダンノージュ侯爵家の為に使って欲しい所だ」
「そこは、リディアの心の赴くままにさせるのが一番です」
シッカリ釘をさしておくカイル、グッジョブですわ!
この国に店も置いたままですもの。
そちらを疎かになんてしません事よ!
続いて居住エリアに入ると、余りの広さに驚きを隠さないお二人にわたくしとカイルはニッコニコですわ。
建設中でもうすぐ出来上がる二階建て3LDKのアパートに沢山立ち並ぶ小屋。
壮観ですものね。
「あちらは魔法が使える方々がアパートを作ってくださっています。もう直ぐ完成するのが20部屋ある3LDKのお部屋専用ですわ」
「凄いな……これだけの木材はやはり箱庭産か?」
「はい、箱庭産ですわ」
「質もよさそうだ。価値も高い」
「そう言っていただけると嬉しいですわ。こちらのアパートが終わったら独り身用のアパート建設が始まりますの。魔法を使える三人にはMPポーションを多く支給し、頑張って貰っておりますわ」
そう言って各種の作業小屋の前を通ると、皆さんスキル上げなり洋服を作ったりと、忙しく働いておられます。
その働きぶりにアラーシュ様も満足したようで、最後に秘蔵の紅茶をお出ししてお話となりました。
「素晴らしい箱庭を見せてもらった。ナカース王国にこれほどの箱庭師はおらぬ」
「有難うございます」
「それに、海まである上に温泉に滝と……全く、リゾートに来た気分だ」
「お爺様、温泉は疲労効果の高い温泉ですよ」
「まことに素晴らしい」
「カイルや此処で生活している方々にも好評です」
「リディア嬢」
「はい」
「君が我がダンノージュ侯爵家の跡取りとなるカイルの妻に相応しいと断言しよう。是非、早めに結婚して欲しい」
「は?」
「はい! 是非早めに結婚したいと思います!」
カイル? 順序はどうなさったの??
結婚は色々こう……お付き合いを深めたうえでやるべきことではなくって??
「リディア嬢」
「はい」
「君がカイルと結婚した際、君は他の貴族と違いやらなくて良い事がある」
「それは何でしょうか?」
「社交だ」
「社交」
「ダンノージュの呪いはナカース王国でも知らぬ者はいない。我が妻も社交をさせなかった。理由は分かるかね?」
「他の男性に見られると相手を殺したくなるからですね?」
「カイル、まさにその通りだ。故にダンノージュに嫁ぐ男女は社交を一切せずに済む。結婚式もワシの場合は二人だけでヒッソリとしたものだ」
「それは……良いですね。俺は気心の知れた人たちだけを呼んでやりたいです」
「それもよかろう」
「では、父は意外と呪いが薄かったんでしょうか?」
「いや、あやつは生粋のドⅯだったからな。嫁をみられて殺したい気持ちを抑えつつ、お前たちをまっとうに育て上げたのは、ある意味奇跡だろう」
「「ドM」」
カイルの父親については、余り聞きたくなかった情報ですわ。
でも、カイルもその気が若干ありますわよね?
血は争えないと言う事ですわね……。
「まぁ、国王陛下にくらいは、挨拶は必要だが、一度挨拶をすれば後は呪いを理由に会わなくていい」
「分かりましたわ。結婚については順序を弁えたうえで、飛び抜かしたりせず、最終手段として用いりたいと思います」
「リディア……順序はこの際とばしても」
「順序が大事だと仰ったのはカイルではありませんか」
「う……」
「はっはっは! シッカリと尻に敷かれているなカイル!」
「ええ、最高のお尻です」
「最低ですわ」
「さて、今お前たちが住んでいる国についても話をしよう。各国の話し合いが纏まった」
その言葉にわたくしとカイルは椅子を座り直してアラーシュ様と向き合いました。
今後この国がどう変わるのか、先立って知る事なのです。
出来れば良い方向に変わってくれると良いのですが――。
「ほお……これはまた見事な」
「リディア嬢、実に素晴らしい箱庭だな。ワシでも此処までの箱庭は見たことがない」
「お褒め頂き光栄ですわ!」
――そう! 本日朝8時。
ついにカイルとライトさんのお爺様であるアラーシュ様と執事のブラウンさんが箱庭に参りましたの!
道具店サルビアはロキシーお姉ちゃんとライトさんが行ってくれているので安心ですわ。
箱庭に住んでいる全員が頭を下げて整列し、子供達はソワソワした様子で見つめていますわ。
「ここの箱庭に住む人数を教えてくれたまえ」
「はい、内部処理班及び、夫の暴力から保護した女性等など、子供を含めて総勢34人となっておりますわ」
「多いな……」
「何かと訳アリの方々が多いんですの。それだけ国が荒れていると言う事でもありますわ」
「ふむ……」
「まずは目に見えますのが香りつけや染料に使う花々と薬草畑となっておりますわ。奥が畑になっておりますが、この箱庭には『植物師』と呼ばれる方がいらっしゃいますので、その方が管理されております。管理は山も含みますわ」
「山までもか。素晴らしい才能の持ち主だ」
「きっと喜びますわ。採掘場は明りがまだ少なく薄暗いですが」
「少し覗くだけでもダメかね?」
「奥まで入らなければ大丈夫ですわ。カイルと共にご案内します」
「行きましょう、お爺様」
「皆さまはそれぞれやるべきことを為さって下さいませね」
「「「「「分かりました」」」」」
こうして皆さんが解散すると、わたくしとカイルはお爺様とブラウンさんを連れて採掘場へと向かいましたわ。
奥まで入らなくとも、採掘場の広さ及び大きさに驚きを隠せないお二人に、思わず嬉しくなってニコニコしてしまいましたわ。
「これだけ素晴らしい採掘場だと、レアな物が掘れるのではないか?」
「はい、前に俺が掘った時はクリスタルゴーレムの腕が出てきました」
「「ほお!!」」
「海岸には時折珍しい物も流れてきます。中々面白い箱庭です」
「素晴らしいですな、アラーシュ様」
「うむ、是非ダンノージュ侯爵家の為に使って欲しい所だ」
「そこは、リディアの心の赴くままにさせるのが一番です」
シッカリ釘をさしておくカイル、グッジョブですわ!
この国に店も置いたままですもの。
そちらを疎かになんてしません事よ!
続いて居住エリアに入ると、余りの広さに驚きを隠さないお二人にわたくしとカイルはニッコニコですわ。
建設中でもうすぐ出来上がる二階建て3LDKのアパートに沢山立ち並ぶ小屋。
壮観ですものね。
「あちらは魔法が使える方々がアパートを作ってくださっています。もう直ぐ完成するのが20部屋ある3LDKのお部屋専用ですわ」
「凄いな……これだけの木材はやはり箱庭産か?」
「はい、箱庭産ですわ」
「質もよさそうだ。価値も高い」
「そう言っていただけると嬉しいですわ。こちらのアパートが終わったら独り身用のアパート建設が始まりますの。魔法を使える三人にはMPポーションを多く支給し、頑張って貰っておりますわ」
そう言って各種の作業小屋の前を通ると、皆さんスキル上げなり洋服を作ったりと、忙しく働いておられます。
その働きぶりにアラーシュ様も満足したようで、最後に秘蔵の紅茶をお出ししてお話となりました。
「素晴らしい箱庭を見せてもらった。ナカース王国にこれほどの箱庭師はおらぬ」
「有難うございます」
「それに、海まである上に温泉に滝と……全く、リゾートに来た気分だ」
「お爺様、温泉は疲労効果の高い温泉ですよ」
「まことに素晴らしい」
「カイルや此処で生活している方々にも好評です」
「リディア嬢」
「はい」
「君が我がダンノージュ侯爵家の跡取りとなるカイルの妻に相応しいと断言しよう。是非、早めに結婚して欲しい」
「は?」
「はい! 是非早めに結婚したいと思います!」
カイル? 順序はどうなさったの??
結婚は色々こう……お付き合いを深めたうえでやるべきことではなくって??
「リディア嬢」
「はい」
「君がカイルと結婚した際、君は他の貴族と違いやらなくて良い事がある」
「それは何でしょうか?」
「社交だ」
「社交」
「ダンノージュの呪いはナカース王国でも知らぬ者はいない。我が妻も社交をさせなかった。理由は分かるかね?」
「他の男性に見られると相手を殺したくなるからですね?」
「カイル、まさにその通りだ。故にダンノージュに嫁ぐ男女は社交を一切せずに済む。結婚式もワシの場合は二人だけでヒッソリとしたものだ」
「それは……良いですね。俺は気心の知れた人たちだけを呼んでやりたいです」
「それもよかろう」
「では、父は意外と呪いが薄かったんでしょうか?」
「いや、あやつは生粋のドⅯだったからな。嫁をみられて殺したい気持ちを抑えつつ、お前たちをまっとうに育て上げたのは、ある意味奇跡だろう」
「「ドM」」
カイルの父親については、余り聞きたくなかった情報ですわ。
でも、カイルもその気が若干ありますわよね?
血は争えないと言う事ですわね……。
「まぁ、国王陛下にくらいは、挨拶は必要だが、一度挨拶をすれば後は呪いを理由に会わなくていい」
「分かりましたわ。結婚については順序を弁えたうえで、飛び抜かしたりせず、最終手段として用いりたいと思います」
「リディア……順序はこの際とばしても」
「順序が大事だと仰ったのはカイルではありませんか」
「う……」
「はっはっは! シッカリと尻に敷かれているなカイル!」
「ええ、最高のお尻です」
「最低ですわ」
「さて、今お前たちが住んでいる国についても話をしよう。各国の話し合いが纏まった」
その言葉にわたくしとカイルは椅子を座り直してアラーシュ様と向き合いました。
今後この国がどう変わるのか、先立って知る事なのです。
出来れば良い方向に変わってくれると良いのですが――。
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