異世界転移で巣ごもりごはん

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これからのこと2

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それにしても、俺が言い出さなかったら置き場に困ったあの部屋全部潰されてたんじゃないか? それとも保存とか言ってるし実験場に……いや、情報の塊だろうから、それはないか。
こっちでは神様の言うことは絶対らしいから、そんな無茶もされない……と思いたい。
うかつに手を出せないはずだ。

「って言っても、あの部屋丸ごと移動……当てはあるのか?」

「二等区に空き部屋を用意しました。雑多なところではありますが。中の空間を拡げてそこに入れ込みます」

おっと、話が早い。元々俺の部屋は用意するって言ってくれてたみたいだし、そこのことかな。二等区っていうのは等級とか番地とかそんなんだろうと推測するけど、ちょっと気になったこともある。

「ずいぶん大掛かりに聞こえるけど、コストは……」

勤め人としてつい聞いてしまったんだが、今度はにこっと口許だけで微笑まれた。これはこれで怖かった。

「ご心配なく」

「……ハイ」

まあ、聞かなくて良さそうなことなら聞かなくていい……のか。

「ところで、ひとつお願いがあるんですが」

「お願い?」

さて何だろう。出来ることぐらいなら、と思って促すと……セオドアは小さく頷いた。

「その……部屋の中を見学させて頂いても?」

「部屋?」

見学っておい。言い方。というか見たって何も面白いもんがあるわけじゃない……というのはいつもの感覚で。こっちの世界の人間からしたら、珍しいものたっぷりかもしれない。俺にはあんまり出歩かないほうがいいみたいな空気出しといて、自由だな。
……と言っても別に、することがあるわけじゃないし。世話になるんだったら多少の見返りぐらい渡しておくべきか。
俺が悩んでるのを察しているだろうけど、セオドアは特に何も言ってこない。

「来るのって、セオドアだけだよな」

「ええ、そうです。護衛はもちろん付けさせて頂きますが……部屋の外で待機しているよう伝えましょう」

「……いいって言ったところだけでもOK?」

「もちろん。プライベートな空間には踏み入りません」

あの部屋全体がプライベートだけど!
……ま、いいか。

「いいよ、ちょっと掃除する時間とか貰いたいけど」
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