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プロローグ
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さて何を作ったものか。
男がひとり、立ち慣れた台所の前で、持ち慣れた胡椒ミルを手に握る。
年の頃は20代の後半。肩に付かない程度の黒髪を首の後ろで括っていて、やや猫背。平均身長、肉付きは薄い。粗も無い代わりに特徴の薄い顔立ちは、ほんの少しツリ目。
男は、誰に聞かせるわけでもなく呟く。
「肉……肉だな」
冷蔵庫からトレイにたっぷり詰まった鶏モモ肉を選んで取り出し、何の印字も貼ってないラップを剥がしにかかる。
特に何の変哲もない、古びたアパートの一室の出来事。
何ひとつ、不可思議なことはない。
この壁の、窓の、扉の外が。
見知らぬ世界であることを除けば。
男がひとり、立ち慣れた台所の前で、持ち慣れた胡椒ミルを手に握る。
年の頃は20代の後半。肩に付かない程度の黒髪を首の後ろで括っていて、やや猫背。平均身長、肉付きは薄い。粗も無い代わりに特徴の薄い顔立ちは、ほんの少しツリ目。
男は、誰に聞かせるわけでもなく呟く。
「肉……肉だな」
冷蔵庫からトレイにたっぷり詰まった鶏モモ肉を選んで取り出し、何の印字も貼ってないラップを剥がしにかかる。
特に何の変哲もない、古びたアパートの一室の出来事。
何ひとつ、不可思議なことはない。
この壁の、窓の、扉の外が。
見知らぬ世界であることを除けば。
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