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第5章 叩き潰す相手は
話の結果は
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「話は以上かい?」
トールさんの気迫に押されて私は何も口にすることが出来なかった。
あのアリアでさえ、一言の反論も出来なかった。
私とアリアはただ目の前の家族思いの女性に、気だけで負けてしまった。
「なにも・・・ないです」
「そうかい。ならば、私は仕事をさせてもらおう」
すると胸ポケットにしまっていた伊達メガネを取り出しまたかける。そして、雰囲気がこの部屋を覆うように変わっていく。
目の前の人は、たったひとつの行動でこの場の空気を変えたのだ。
「失礼しました」
私とアリアは、出入口へと向かった。
「あっ、待ってくれ」
トールさんが、背を向けた私たちに待ったをかけた。
「少し悩み事があってね、聞いてくれないかな?」
トールさんは伊達メガネをかけたまま、少し恥ずかしそうに言った。
「なんでしょう?」
「ヴィンさんがトールさんを恨んでいないか?」
「そうなんだよ。実はね、昔はとてもとても可愛らしい子だったんだ! 今が可愛らしくないっと言う訳では無いんだがね、昔は''おねぇちゃん!''とよく甘えてくれたものでね」
トールさんの悩み事とは、昔は可愛かったヴィンさんが、ここ数年自分に対して嫌悪の視線を向けているっと言う話だった。
なにかしたのか? と聞くと覚えないと言っており、変に聞き出すよりもそっとしておこうっと言う話になったそうだ。
「・・・そう、ですね・・・」
もしかしたら浮気相手の女かもしれない人の姉の相談事に乗るなんて馬鹿らしいとは思うが、それでも他に探れそうなら――
「そういえば、トールさんが結婚し、家を継いだのは15歳の頃ですよね?」
「ん? あぁ、そうだとも!」
「確か、ヴィンさんってもう少しで15歳になりますよね?」
「ふむ、そうだね。誕生日プレゼントはどうしようか」
「いえ、そういう話ではなくてですね。ヴィンさんは家を継ぎたいとかって話は聞いてないんですか?」
「家を継ぎたい? うーむ、確かに昔、家の仕事を手伝いたいとかは聞いているな」
「ここ数年ってもしかして3年前からとかでは?」
「んー、あー、確かにその辺からかもしれない」
3年前、ちょうどトールさんが15歳になり結婚した年だ。
ヴィンさんは家を継ぎたかった、だが長女のトールさんに家を継がれてしまった? なんかしっくり来ないな。
「すみません、お力にはなれそうにないです」
「いやいや、助かったよ。君のおかげで僕個人が嫌われているとかではなさそうだしね」
凄いな、この人。満面の笑みだ。余程嬉しかったのだろうか。
私は頬に妙な汗をかいて、苦笑いをついしてしまう。
アリアは''私は知りません''と言いたげの顔をしたがら、窓の外を眺めていた。
「今日は楽しかったよ。またいつでも遊びに来るといい。待っている」
「今日は急に押しかけてしまって申し訳ございません。今度来る時は、連絡させてもらってからにさせていただきますので」
私たちは、出入口の前で未だ満面の笑みのトールさんに向かって頭を下げ、少し歩き、館を出た。
外は、ちょうど真昼といった頃だった。
トールさんの気迫に押されて私は何も口にすることが出来なかった。
あのアリアでさえ、一言の反論も出来なかった。
私とアリアはただ目の前の家族思いの女性に、気だけで負けてしまった。
「なにも・・・ないです」
「そうかい。ならば、私は仕事をさせてもらおう」
すると胸ポケットにしまっていた伊達メガネを取り出しまたかける。そして、雰囲気がこの部屋を覆うように変わっていく。
目の前の人は、たったひとつの行動でこの場の空気を変えたのだ。
「失礼しました」
私とアリアは、出入口へと向かった。
「あっ、待ってくれ」
トールさんが、背を向けた私たちに待ったをかけた。
「少し悩み事があってね、聞いてくれないかな?」
トールさんは伊達メガネをかけたまま、少し恥ずかしそうに言った。
「なんでしょう?」
「ヴィンさんがトールさんを恨んでいないか?」
「そうなんだよ。実はね、昔はとてもとても可愛らしい子だったんだ! 今が可愛らしくないっと言う訳では無いんだがね、昔は''おねぇちゃん!''とよく甘えてくれたものでね」
トールさんの悩み事とは、昔は可愛かったヴィンさんが、ここ数年自分に対して嫌悪の視線を向けているっと言う話だった。
なにかしたのか? と聞くと覚えないと言っており、変に聞き出すよりもそっとしておこうっと言う話になったそうだ。
「・・・そう、ですね・・・」
もしかしたら浮気相手の女かもしれない人の姉の相談事に乗るなんて馬鹿らしいとは思うが、それでも他に探れそうなら――
「そういえば、トールさんが結婚し、家を継いだのは15歳の頃ですよね?」
「ん? あぁ、そうだとも!」
「確か、ヴィンさんってもう少しで15歳になりますよね?」
「ふむ、そうだね。誕生日プレゼントはどうしようか」
「いえ、そういう話ではなくてですね。ヴィンさんは家を継ぎたいとかって話は聞いてないんですか?」
「家を継ぎたい? うーむ、確かに昔、家の仕事を手伝いたいとかは聞いているな」
「ここ数年ってもしかして3年前からとかでは?」
「んー、あー、確かにその辺からかもしれない」
3年前、ちょうどトールさんが15歳になり結婚した年だ。
ヴィンさんは家を継ぎたかった、だが長女のトールさんに家を継がれてしまった? なんかしっくり来ないな。
「すみません、お力にはなれそうにないです」
「いやいや、助かったよ。君のおかげで僕個人が嫌われているとかではなさそうだしね」
凄いな、この人。満面の笑みだ。余程嬉しかったのだろうか。
私は頬に妙な汗をかいて、苦笑いをついしてしまう。
アリアは''私は知りません''と言いたげの顔をしたがら、窓の外を眺めていた。
「今日は楽しかったよ。またいつでも遊びに来るといい。待っている」
「今日は急に押しかけてしまって申し訳ございません。今度来る時は、連絡させてもらってからにさせていただきますので」
私たちは、出入口の前で未だ満面の笑みのトールさんに向かって頭を下げ、少し歩き、館を出た。
外は、ちょうど真昼といった頃だった。
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