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第4章 浮気者は叩き潰してやる

アリア・マークヴィスは変態である

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 結局ジンクという男を拘束したまま、夜になった。
 ジンクが拘束されているのは、お客様用のベッドルーム。
 そして、私は晩御飯をワゴンに乗せお客様用のベッドルーム、つまりジンクが拘束されている部屋へと向かう。

「なぜ私がこんな目に・・・」

 アンナお嬢様は本当にお人好しな方だ。
 殺されかけ、今も尚アンナお嬢様を見る度に睨んでいる男のために、お客様用のベッドルームを貸し、食事まで用意する。拘束されていること以外は本当にお人好しだ。
 そんなアンナお嬢様が時折心配になる。
 いつか助けた相手に裏切られて、心が折れてしまうのではないかと。
 最近そう感じたのは、やはりランガの件だ。

 ふと、そういえばジンクのやつは少しランガに似ているような・・・と思いふけているとジンクの拘束室についた。
 私は軽くノックをして、扉を開く。

「入るぞ、飯だ。喜べ」
「お前・・・あの女の前の時と態度違いすぎないか・・・?」
「あ? 当たり前だろ。なんで私がこんなことをせにゃならん」
「それはあいつに言えよ。俺は別にいたくも無ければ、拘束されているし・・・」
「は? アンナお嬢様にそんなこと言えるわけねぇだろ。頭湧いてんのか?」
「・・・こっわ・・・」

 ワゴンに乗せた晩御飯を近くの机に乗せ、ジンクの元に近寄っていく。

「今から拘束を外す。暴れたりしたら、殺す。以上だ」
「・・・はい・・・」

 手に結ばれていたロープを取り、足は椅子の足にロープで固定されているため、椅子ごと机の前に運び出す。

「ほら、食え」
「・・・いただきます・・・」
「・・・じゃあ、私はもう行くから、脱走なんて考えるなよ?」

 睨みをきかせながら部屋を出ていく。

「・・・怖すぎない?」

 手に握っていたフォークを、怖さのあまりに落としてしまった。

「・・・拾えない・・・」

 足が固定されてしまっている今、1m程離れた場所に、飛んでいったフォークを使うことが出来ない。

「・・・犬食いしろってか・・・」

 結局犬食いしました。




「アリア、ジンクくんの様子はどうだった?」
「晩御飯を出したら、泣いて喜んでおられました」
「そう!」

 アンナお嬢様はニコッと満面の笑みになって、喜んでおられる。
 その姿は、まるで女神のように美しくて、つい鼻から赤い液体が出かけてしまうほど。

「アリア? 鼻を抑えてどうかしたの?」
「いえ、少し鼻が痒いな、と」
「? そう。私達もご飯食べましょ?」
「はい、すぐに持ってまいりますね」

 アリアの綺麗な白い肌は、どうやら今日は鼻の下のみ赤く染っているようだ。



「おっ、この飯上手いな」

 まるで犬のようにご飯を食べている少年。
 白い髪に一部メッシュのように金色の髪が混じっており、瞳は碧眼。
 その姿は、スマートさは無いものの''ランガ・ダイナハウン''に瓜二つの顔だった。
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