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序章 神が降臨した日
EP0−1 最強の傭兵
しおりを挟むとある交流路に罵声が響く。
その輪の中心には5台もの馬車と沢山の商人達が集められていた。
「命が惜しけりゃ商品と金を全部差し出せ!」
そう大きな声で叫ぶのは盗賊団の首領だ。
「ぐぅ……どうか商品だけはお許しを!生きていけなくなってしまいます…」
情けない表情をした商人達のリーダーが命乞いをする。
「ああ?舐めてんのかオラ!」
「グバぁ!」
それが気に障ったのか首領はリーダーを殴り飛ばした。倒れ伏したリーダーを見下ろし言葉を続ける。
「俺は、てめぇらの命を金と商品、だけで交換してやるって言ってるんだ。命あっての物種とはよく言うだろ?」
「そ、それなら商品も私達商人の命だ!金ならいくらでもくれてやるだが商品は!」
「…はぁあ、そのまま頷きゃ馬車にも馬にも手を出さず帳簿にすら手を出さねぇって言ってんだ。」
「なに…?」
「逆に残してやるもんを教えてやる。
・一つ 命
・二つ 馬車と馬のセット
・三つ 帳簿
それぞれがてめぇらに取って何を示すかこれだけの商人を率いてるあんたなら答えられるよな?」
「…命はこれから稼ぐための全て、馬車は商品を集めるための足、そして…」
「帳簿は信用、だ。信用と足と命を助けてやるんだ商品と金ぐらいそこら辺の草や石と同じくらいの価値になるだろ?」
それが分からないリーダーではなかった。後ろをちらりと見る。怯え、竦み、これから先ガラの悪い客の罵声一つで今回の事が蘇ってしまう程に縮こまっている部下の商人達の姿を見てその要求を呑もうとしたその時、高らかに鳴る蹄鉄の音が耳に響く。
その音がした方向に顔を向けると遠くに栗毛の馬が走ってくるのが遠目に見えた。
同じくそちらを見ていた首領は舌打ちをすると3歩程後ろへと下がった。
そして、その空いた場所に勢いをつけ、周りを囲んでいた盗賊達を飛び越え馬が飛び込んできた。
「チッ、またテメェか。」
「おお!君は!」
首領とリーダーが馬に乗る人物に反応を示す。
その人物が馬から降りる。そして辺りを見渡し状況を確認したかと思うと首領へと向き直った。
「またあったな、ロイ・バーシフ。」
「あぁ、そうだな、ハイト・ボーマリス。なんだ巡回か?騎士団の依頼でも請け負ってるのか?」
「ここは故郷の近くでな帰り道なんだよ。」
「チッ、まじで通りがかりかよ。運が悪りぃ。」
現れた人物、ハイト・ボーマリスと首領、ロイ・バーシフが若干緩い会話を繰り広げる中、それを見ていた下っ端盗賊達が笑い口を開く。
「首領!こんなやつやっちまいましょうぜ!」
「オラァ!金も薬も全部ぶちまけやがれ!」
武器を輝かせ十人程の盗賊が襲いかかる。
それを見て、腰の剣に手を当てたハイトが息を一つ吐く。
「『雷光二連』」
そして一瞬の内に剣を抜き十人全員を二回切り裂いた。
体が三つに別れた盗賊達は自分が切られたことに気づかず襲いかかった顔のまま絶命した。
それを見て、各々別の反応を見せたがロイはため息をついた。
「はぁ。ま、実力差が分からねぇ奴なんていつかやらかすだろうし被害を拡大させないだけマシか。」
仲間がやられたことには一切腹を立てずむしろ呆れが溢れ出している。
「どうする?壊滅させてもいいが商人達にトラウマをこれ以上作りたくない。」
「いつもどうり引くさ。」
「そうか、条件はあるか?」
「テメェがいるだけで引く理由になるさ。そんじゃあな、てめぇら!引き上げるぞ!」
「「「「うっす!」」」」
盗賊達がロイの言葉に反応し不満の一つも無く、そのまま彼の後ろについていった。
そして、盗賊達の姿が遠目にも見えなくなった所で商人達のリーダーがハイトに声をかける。
「ありがとうございますハイト殿。」
「一応仕事ではあるからな。」
「報酬はどうしましょう。」
「金を全体の一割くれるか?」
「いいでしょう。」
簡潔にそして短く交渉を済ませる。
そのあまりにも簡単に終わる交渉にいち早く衝撃から立ち直った商人の一人が口を開く。
「あ、あの!リーダー!」
「おや、どうしました?」
「そ、そちらの方は…?」
「ああ、彼はですね。」
一拍、間を開けると笑いながら言う。
「ハイト・ボーマリス、現代最強の傭兵ですよ。」
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