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8章 教皇と魔物退治
第384話 近況の話
しおりを挟む酒を飲みながらガレルとロウガの二人は話し始めた。
「お前が教皇ということはあの爺さんは引退したのか。」
「いや、魔王の襲撃で死亡だとよ。」
「…?だが、気配は…」
「分かってる。あのジジイが命の危機を察知できない訳がない。」
「気をつけろよあの爺さんが全ての枷から解放されたんだ。」
「ああ、あいつは誰よりも教えに従うからな。今の冷戦状態を崩しかねない。」
「分かってるならいい。」
そういいながら酒を飲み干し、再び器に注ぐと話を変えた。
「勇者、召喚されたんだろう?どんなやつだ。」
「分からん。会う前に魔王ファルーグに突撃させられた。」
「王国も腐ったのか。」
「いや、そういうわけじゃない。」
「ならなんだ。」
「勇者が敵に対して冷徹すぎたんだ。まるで殺し屋のように。」
「なるほど、博愛主義の勇者を崇める王国なら早く自滅して欲しいと思うのも当然か。」
「爺さんがウキウキしてたからな、確実だろう。」
「最近の勇者はまさに王国が求める勇者って感じだったからな。」
「俺もびっくりはした。まあ、たまにはいるさ、そういうのも。」
「そうだな。…ファルーグと共に勇者はあるのか?」
「息子からの報告ではそうだな。」
「ならしばらくは安全だろう。歴代魔王の中でもあいつはとびきりの博愛主義者だ。保護してくれるさ。」
「ああ、だから今は放置して爺さんを秘密裏に探してる。」
「あの爺さんは隠れるのが得意だからな。獣人でも見つけられん。」
「暗躍されたくないんだがな。」
まるで見てきたかのように世界の色々を話す二人を見てシオンは、
(何の話をしてるんだろうこの人達。)
アルコールが完全に回りきった頭でふわんふわんしながらほぼほぼ無心でお酒を飲み続けていた。
「それで、お前の息子の話だが…」
そう、ロウガが切り出した所でプツンとシオンの意識は途切れたのだった。
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