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8章 教皇と魔物退治
第376話 プロローグ ロウガ
しおりを挟む頭の中で仲間達の悲鳴が響く。
脳天気に散歩に行った自分の帰還を待ち望みながら絶望する悲鳴が響き続ける。
自分は一族の英雄だった。
あの魔王ファルーグにすら認められ幹部にならないかと誘われたこともある。だがそのときは自分の力の源は一族、そして群れの仲間達の期待だからと断わった。その返答に満足気な顔をした魔王様の顔を今でも覚えている。
あの日目の前で行われていたのは狩りだった。
人間による一族の狩り。自分達、「狼牙一族」の殲滅だ。
これも戦争だ。いつかはされるとは思っていたことだ。頭では分かっていた。
だけど心では納得できるはずがない。
故に薙ぎ払った。
結果、誰も守れなかった。
そうして自分の一族は自分だけになった。
あれから、どれだけの時が経ったのだろう。いつしか名乗らなくなった自分は名を忘れていた。故に自分を狩りに来る人間達の呼称を名乗ることにした。
我が名は「ロウガ」。
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