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間章 勇者と森妖精の泡沫の鎮魂歌
第367話 軽口
しおりを挟む「今のは…」
「あいつの過去、人生だな。」
まるで水面に立っている様な場所。二人の心の中心で二人はお互いに元の姿で向き合っていた。
ファルーグは竜の姿で、ニイは真っ白な髪の黒い目の青年の姿でお互いを映していた。
「なぜあのような物が流れたのだ?」
「…上手く思い出せないが多分俺のせいだ。」
「ふむ…」
「強い思いを持った相手を殺すとこうなる…はずだ。」
右手で頬を掻きながら頭を悩ませているように見えるニイからは嘘は言っていない事だけは分かったファルーグはそれを追求することは辞めて見えた光景の事を思いだす。
「あれは十国時代の記憶か。我ですら産まれてるかどうか怪しい時代だな。」
「相当年季の入ったリッチーだったわけか。」
「うむ、あの頃の怨念の詰まった魔物は先々代魔王が抑えたはずなのだが、どうやら残っていたようだな。」
「まあ、それを解決出来たんだから良しとしよう。」
「うむ。あと残っているのは、」
「本当にエンドロールくらいか。」
「もしかしたら濡れ場かもしれぬぞ?」
ニイはその言葉を聞いて少しため息をつきながら苦笑いをした。
「今ここでやるにしても森妖精姫と歌姫ぐらいしかいないんだからそれは無いだろ。」
「両方とも普通を超えた美少女のはずなのだが。」
一応一瞬二人とのそういう場面を想像してみたニイだったが一切感情が湧き上がらなかった。
「興味無いな。」
ファルーグはその反応を見て頷く。
「まあ、我もルアーナには欲情は出来ぬ。それにルアーナに見られながらの濡れ場も無理だな。」
「なら言うなよ。」
「欲望と理性は別だからな。」
キリッとした決め顔で言うファルーグに苦笑いし右側しか動かない肩を竦め、その後顔をシリアスに戻した。
「はぁ…それじゃ歌姫、ティアに幕を下ろしてやろう。」
「うむ。」
二人は世界に戻る。
最後の罪人に罪状を告げる為に。
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