竜の契約者

ホワイトエンド

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間章 勇者と森妖精の泡沫の鎮魂歌

第365話 アンデットナイト

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ニイ達の戦いがあっという間に、それでいて呆気なく終わったのに対してルアーナとアンデットナイトの戦いは目にも留まらぬ速度で行われた事もあり逆に時間がゆっくりに行われた。

元々ルアーナ達はトワエルハードが手下のアンデットを呼び寄せて来ることを予想していた。
だがそれも操っているトワエルハードを倒せば皆動けなくなるだろうとティアの話から確信した三人は役割分担としてニイ達がトワエルハードを仕留める係、そしてルアーナがその間手下を引き付ける及びティアに攻撃がいかないよう守る役だ。

そしていざ護衛役として現れたアンデットナイトと戦闘を始めたルアーナだったが最初に思い描いていた楽勝の戦いなのではなく凄まじい戦いへと変わっていた。

まず、速度が音を超えた。両者とも自分の体に出来る限りの身体強化魔法を使い能力を上昇させた。これによって目にも留まらぬぶつかり合いが発生した。
ルアーナは笑っていく。まさかニイ以外にここまで楽しいと思える相手がいるとは思っていなかったからだ。
アンデットナイトも同じく笑う。彼の大本となっているのは40年前にこの近くの魔物を倒しに来た騎士、王国の騎士団長を努めていた男だ。彼はなにかを守るという思いも持ち合わせていたが何より魔物、亜人関係なく強者との対決を誰よりも望んでいた。だが彼が苦戦もしくは敗北する相手は誰一人としていなかった。だが今目の前にいる。生きている間に出会えなかった強者、精霊の力も持っていない純然たる自分の力のみで戦う剣士、彼は感動に打ち震えていた。
ルアーナの性別等関係ない、喋ることが出来ないのが何よりも悔やまれる。
故に、剣で語り合うことを決めた。

二人の体感時間にして一時間、現実時間だと10秒の間お互いに自分の剣をぶつけ合う。
だがそれもニイ達ががトワエルハードを捕まえたことで終わりとなる。
お互いにもうすぐあちらの戦いが終わる、そう確信を持ち武器を改めて構える。
そしてニイ達が詠唱を始めた瞬間お互いにまっすぐに突撃をした。
一瞬。
交差した二人は音もなく動きもなく剣を振り切った形で静止していた。
そしてニイ達の魔法が完成した瞬間ルアーナの耳にかすかな声が聞こえた。

「見事。」

そうして誇り高きアンデットナイトはみずからを現世に縛り付けたものより先に天へと旅立ったのだった。
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