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間章 勇者と森妖精の泡沫の鎮魂歌
第361話 巨人討伐
しおりを挟む「『炎よ、雨の如く降り注げ!』、『炎雨』!」
ニイが右腕を上げ詠唱をするとその手より炎が天へと登り結界の外へ雨のように降り注いだ。
巨人にはそれほどのダメージは通らなかったが物陰に隠れ機会を伺っていたビーステッド達を薙ぎ払った。
巨人を通して場面を見ていた者が動揺したのか巨人の体の魔力の保護が崩れた。だがそれはほんの数秒の事だ。それに気づいたのもほんの数名だった。
そのわずかな隙を逃す二人ではなかった。
『愚かなり。』
白と黒が入れ替わる。僅かだった表情が冷酷なものへと変わる。湧き出す魔力が一瞬のうちに闇主体の者から炎主体のものへと変わる。
「『黙示録の炎よ今こそ我に歯向かう愚か者を薙ぎ払え!』、『炎の黙示録』!」
左腕から放たれた炎はまっすぐにに巨人の腹部を貫いた。その衝撃で後ろに倒れこんだ巨人は建物にぶつかるとバラバラぐちゃぐちゃと崩れていく。
それを見て冷酷にファルーグは言葉の続きを語る。
「伏兵を潰されるくらいで動揺するなどな。それが自らを慕ってくれている者達ならともかく無理矢理従わせているものなら犠牲になることも戦略に組み込んでおくがいい。」
それが聞こえたのか聞こえていないのか、崩れた巨人が再構成されていく。巨人が動こうとした瞬間、大量の光の鎖が巨人に巻き付いた。
虚をつかれた巨人は再び動きを止めた。それと同時にニイ達に灰色の援護魔法がかかる。ミーリアとマリウスの魔法だ。マリウスの放った魔法は自らの主ににしか効果が無いものの主には莫大な強化をする魔法だ。
「フッ…この程度の相手のこれほどの強化は過剰とは思うが、与えられたものならば使わせて貰うとしよう。」
『ミーリアもそろそろ魔力が厳しいはずなのにな、…やるぞ。存分に見せてやろう。』
「うむ。」
より出力を増した力が島を包む。それはまるで大きな結界のように島を包み込む。
それを視認した次の瞬間には皆の視界が奪われる。フィリアの結界、そしてミーリアの鎖が消え去る。魔物や人間、その場にいる全員が理解した。これは、光を奪われたのだと。
そんな中で彼等の声が響き渡る。
「「『光すらも奪う漆黒の闇よ。我が力に従い、愚者を滅せよ。一点の光すらも見えぬまま滅び去るがいい。』、『漆黒の終末』」」
皆が光を取り戻した時にはそこには巨人が踏みしめたであろう地面のあとしか残っていなかった。
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