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間章 勇者と森妖精の泡沫の鎮魂歌
第355話 戦線
しおりを挟むその頃のホテル防衛ラインの様子は本来なら地獄絵図へと変わるはずだった。
倒しても即座に蘇る軍団、噛みつかれれば仲間に引き込まれてしまう恐怖、どんどんと減っていく仲間に焦る心、そうしてアンデット達の目的、生き物を誘き寄せる餌を取り返す事を簡単に済ませられるはずだった。
だが、現実は悪には傾かなかった。
「うぉぉぉぉぉ!」
「セイヤァ!!!」
警備員達と、腕に自信のある旅人と、暇人の魔物等の実力者達がアンデットへの対抗策である光を受けた武器を振るいアンデットを薙ぎ倒していた。
本来なら蘇る軍団は光により魂が天へと返還され蘇ることはなく、ねずみ算で増やせるはずの数は隣の武器の光を傷口につけることで侵食を止めることができ、仲間が減らないためむしろ彼らには心に余裕があった。
だがそれでも戦線はじりじりと後ろへと下げられていっていた。
その要因となっているのはビーステッドの存在だ。人型もしくはオーク型やゴブリン型を相手取っているあいだに後ろから奇襲され噛まれて後ろに下げられている。
被害は無いが後退させられている。
最も多くのアンデットが投入されているのがホテルの正面入口だ。総勢100を超えるアンデットの大群を補充をしながら突撃してきているのだ。
そんな中で緑色の鱗を輝かせ槍を振るう魔物がいた。
「おらぁ!」
その槍の一振りで群がっていたアンデット達が吹き飛び、ミーリアの力によって付与された力によって浄化されていく。
「おおおおお!!!」
一騎当千の働きを見せる彼がいてもじりじりと後ろに下げられている。このままではじり貧か、と思ったとき後ろから光の鎖が飛び出してきて辺り一面のアンデットを縛った。
それを見た彼は自慢の槍を構え一気に薙ぎ払った。
一気に50以上のアンデットが消し飛んでいく。
そんな彼にビーステッドが襲いかかる。
だがそれも炎の魔法により消し飛ばされる。
彼が後ろをちらりと向くとそこにはミーリアとリアがいた。
頼もしい援軍だと再び彼は前を向く。そしてアンデット達に襲いかかった。
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