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間章 勇者と森妖精の泡沫の鎮魂歌
第336話 魔王の思いつき
しおりを挟む『ん…』
何かを見ていたような気がするがぼんやりとしている。気分もあまり治らなかった。そんなふうに自己分析をしていると反応して起きたのかファルーグが話しかけてきた。
「起きたか勇者。調子はどうだ?」
『あと一晩欲しい。受け答えは楽だが表に立つのは無理だ。』
「ふむ…そうだな…」
ファルーグは少し考え込むように腕を組んだ。
『なんだよ。』
「フッ…」
そしてニヤッと笑った。
「温泉にゆくぞ!」
『…』
「風呂に浸かれば気分もリセットでき、ここの温泉は呪いなどにも効く!入らない手は無いだろう!」
『本音は?』
「混浴で美少女と会いたい!」
『正直でよろしい。』
「だがこれくらいは我の欲を通させてもらっても良くないか?」
『別にいいぞ。』
「…いいのか…?」
『風呂に浸かりたいのは俺もだしな。』
「よしそれでは着替えを持ってゆくぞ!」
鼻歌を歌いながら着替えを鞄から取り出し(魔法で仕舞えるのだがファルーグがどうしても着替えは鞄に入れて行きたいと言ったため入っている。)、混浴風呂へと向かった。
そしてその風呂の前に辿り着いた二人はルールが書いてある看板を読み始めた。
『バスタオルぽい湯着を着て入るみたいだな。』
「うむ、間違いがあってはならぬしな。」
『あとは…体を洗うスペースは別々みたいだな。』
「まあ、そこでは湯着を脱がなくてはならないからな仕方ない。」
流し読みをしてみた二人だったが重要そうなのはそれくらいだった。そして周りを見渡して見ると案外女性や女の魔物が多い。
『むしろ、これ女湯の方が空いてるだろ。』
「まあ、それでも有名だな。なにせ混浴の湯には肌に良い成分が多いらしくてな。」
『なるほど。それならそうかもな。』
「では、入るとしよう!」
『…声とテンションは落としていけよ。』
そうして二人は中に入っていくのだった。
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