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間章 勇者と森妖精の泡沫の鎮魂歌
第330話 服屋の精霊
しおりを挟む「よしここだ。」
「…そんなに…大きく…ない?」
『元々魔物の方が訪れる事が多い故、人型サイズの店はあまり売れぬのだ。』
「なるほどな。」
辿り着いた店の扉の前でそんな話をして扉を開けた。
すると中から喜びに満ちた声が聞こえてきた。
「あら!?久しぶりのお客様!いらっしゃい!本日はどのようなご要件で!?」
満面の笑みでカウンターから声をかけてきた人物は自らの周りに魔力を感じるのが苦手でも分かるくらいの魔力を漂わせる女性だった。
(魔王、もしかして彼女、精霊か?)
『(うむ、水の精霊のディーネだ。昔は海の底で貝殻を集めるだけだったのだがある日服飾に興味を示したとき我が地上に連れてきたらそのまま住み着いてしまった。)』
(お前が連れてきたのか。)
ニイが気になった事をファルーグに尋ねている間にルアーナがディーネの相手をしていた。
「…うん…この人の体に合う…この島で過ごしやすい服を…ください。」
「了解よ!ふふ、久々のお仕事よ~。」
動き出したディーネは鼻歌を歌いながらニイの体を測定していった。
測定し終わったディーネはうんうんと頷いたあとニイに尋ねた。
「好みの色とか嫌いな色とかあるかしら?」
「好みと言われれば青、嫌いなのは赤だ。」
「了解!じゃあちょっとそこのソファーで待っててね~」
そう言い残しディーネは店の奥に引っ込んで行った。
「…青好きで…赤嫌いなんだ…。」
「ん。いやそこまで好き嫌いは無いんだが強いていうならって感じだな。」
「…そっか…。」
「そうだ。」
『ならば待っているとするか。』
そうして三人はソファーでディーネを待つのだった。
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