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6章 魔王と英雄モドキ
第255話 森の入口
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馬車をとばしてレイスの発生地に着いたディレード達は馬車を遠くに停め森の入口に立っていた。
「うわぁ…本当にレイスが出る森だよ…雰囲気マシマシだよ…」
ガタガタと震えて意識してか意識せずかは分からないがディレードの後ろに隠れているアリスからそんな言葉がこぼれた。
「…そこまで、ダメだったんですね。」
「そうだねもう少し…こう虫こわーいお化けこわーいくらいのテンションかと思ってた」
「やっぱりそれくらいの認識だったんだ…」
物凄く恨みがましい目を向けられる目を逸らしながらディレードとフルルはどこか似通った苦笑いを浮かべた。それにイラッとしたアリスは取り敢えず深呼吸をした。
それの横で、
「エリル様、貴女の方は大丈夫でしょうか。」
「あ、は、はい。少し怖いですけどアリスさん程では無いので…」
「きつくなったら言ってください。目を隠す、目の前の恐怖を遠ざけるなどの対処をしますので。」
「ふふ、はいよろしくお願いしますね。」
そんな感じのやり取りを二人はしていた。
深呼吸をした際にそのやり取りが聞こえたアリスはそちらに話題を変えることにした。
「二人は大丈夫、そうだね…」
「ええ、自分は慣れていますから。」
「私は…少し怖いですけど兄様がいますので。」
「そっか…」
それを見て声をかけようとディレードがした瞬間フルルが袖を三回引いた。
それは二人の間の前方注意の合図だ。
視線を前方に向けると少女が歩いてきていた。フラフラとまるで体調が悪いかのように。顔が隠れているため表情は分からない。
それに気づいたアリスとエリルが動こうとした瞬間ディレードとハリエスが視線を合わせ、次の瞬間魔力を解き放ち悪魔の力でその少女をフルパワーで撃ち抜いた。少女は何本かの木を貫いたところまで吹き飛んだ。
「ちょ、ちょっとなにやってるの!?」
「そうですよ!命からがら逃げてきた人ですよ!」
「よく見なさい。」
「「え?」」
少女を見てみるとそこには悪魔の魔力によって黒く包まれていた少女の姿は溶けるように元のガイコツの姿に戻った。
「あ、あれって…」
「もしかして…」
「ええ、レイスが姿を変えていたようですね。」
「レイスの王の力だね」
「死者を弄ぶように見た目を変えられる力を持っているんだ王は。」
「なんてひどい…」
「…倒さなきゃだね。」
そういったアリスの目の色が変わったのを見てディレードは笑った。
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