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5章 天衣無縫の少女と欲望の町
第227話 エピローグ3
しおりを挟む「それで彼女はこれからも?」
色々まだあるが取り敢えずリリに彼女のことを聞いて見る。
「あー、このままだとそうなるわね。」
「そうか…」
「どうにかしたい?」
「…」
「自分のものにしたい?」
「っ…」
「他の人のものになるのは嫌?」
「…いま、さらだろ…」
まるで悪魔の囁きだ。怪しい笑みを浮かべた彼女の言うとおりに思ってしまっている自分からすると、恐らく彼女がこれからするであろう提案が怖い。
「なら私から買い取ってみる?そうすれば自分で何でもできるよ?」
「………」
二つ返事で了承するところだった。凄まじく魅力的な提案だ。だからこそ、
「いいや、必要ない。」
拒否をする。だって、
「どうして?」
「俺には彼女を背負う勇気も覚悟も人生経験も無いから。」
何もかもが足りない。全てを背負えたガレルとは違うのだ。彼は三人を纏めて背負ったが自分は一人すらも背負えない。
「そっか。」
「だから、諦めるよ。」
「…何か私にある?」
「え?」
「何か頼み事があるなら聞くよ?」
「別に…いや…」
少し考える。そこで一つ思いつく色んな人が不幸になるだろうがこれは譲れない。願いなので丁寧に。
「彼女をサヤさんのようにメイドとして改めて雇い直して貰えませんか?」
性処理さえ請け負わなければ自分の気持ちは揺れない。これが今取れる中では一番だから。
「いいよ。あとでサヤに頼んでおくよ。」
「ありがとう。」
「これが助けてもらったお礼ってことで。」
「ああ、それならこれで貸し借りは無しってことで。」
「…ええ。」
なにか含みがある感じに彼女は反応したが気にしないことにした。
「それじゃこれから寝るんですよね?」
「うん。昨日は途中で起こされちゃったしね。」
「それじゃおやすみなさい。」
「今日も見ていてくれるの?」
どこか子供のような口調でそう言ってくる彼女に笑顔を浮かべ答える。
「まあ、この町では暇つぶしをしようにもなにも浮かばないですしね。顔のいい吸血種の寝顔でも見つめてさせてもらいますよ。」
「そっ、そっか…」
彼女は顔を赤らめて布団に顔を隠す。
「それじゃあ、お願い。」
「ああ、おやすみ。」
そうして彼女は安心した様子で眠りについた。
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