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5章 天衣無縫の少女と欲望の町
第212話 二人の役目
しおりを挟む「人形に吸血種、ですか。」
「ええ。私共のショーはどうにも使い捨てがそれこそ性のショーより多いものでして。」
「でしょうね。血の処理とかも大変なのでは?」
「下々の者にやらせていますがある程度落としたらそのままでございます。」
「なるほど。」
「しかも吸血種の方は始祖帰りの者を捕まえたのです!」
「それならばスタイルなども?」
「あ、いえどうやら子供の体型をしているらしくイメージされるものとは違います。」
「それはそれで楽しみにはなりますね。完全に表に出すと捕まりますが。」
「ええ。子供の拷問など想像を実物にするだけで捕まりますからねぇ。」
そうしてお互いに笑みを浮かべながら会話をしているとドアが近づいできた。
「ふふふ、それでは私の自慢のステージをご覧下さい。」
そうしてドアを開けるとそこには涙目で裸に近い布だけを纏って踊らされている少女とそれに熱狂する男達があった。左腕に抱きついているアリスが手に力を込めた。アリスにディレードが目を向けると唇を強く噛み締め、手を強くディレードに絡みつかせ耐えているようだった。アリスの普段の様子からすると見ていられない光景なのだろう。今すぐにでも少女を救い出したい気持ちでいっぱいのはずだ。
(ありがとうございます。耐えてくれて。)
部屋の隅に目を向けると屈強な黒服のサングラスを着けた男性達が腕を後ろに組んでいた。
(私達二人では勝てない。だけど私達の目的は陽動、これにはフルルは向かなかったのでフルルは2つの班のうち一つに入れざるを得なかった。仕方ないですがハリエス、任せましたよ。依頼を受けたなら貴方が彼女達を助け出してみなさい。)
ディレードは笑みを崩さず色々と語り始めたマニビアの話に耳を向け、相槌を打ち始めた。
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