竜の契約者

4章 聖人と少女と暗殺者

第134話 狩り

その魔術を開放した瞬間、フルルとアリスは膝をついた。
「こ、これは……」
「いつものやつだよ。」
慣れているフルルは動揺もない。そして発動したディレードは。
「む？これは…」
「どうしたの？」
「アリスさん貴女、かなり強めですね。」
「へ？」
「下手な騎士団員より強いですね。中々ですね。」
アリスを置いてきぼりにディレードは腰の剣を二本引き抜く。
そしてその剣で立ち上がった怪物に近づき十字に切り裂いた。
『ぐわぁァァァァァァ』
十字に切り裂かれた怪物は悲鳴を上げる。だがそれはディレード達には人間の声にもう聞こえなくなってきていた。
「もう人ではなくなってきていますね。早めに対処してあげましょう。」
そう言ったディレードは目をを閉じ剣を顔の前に掲げる。
「どうかこの殺戮が彼の罪を許すことになりますよう。」
そうしてディレードは怪物に魔力をこめた、二本の剣を投げつけた。
『ガァァァァ！！！！！！！！！！！！？』
バチバチと魔力を纏った剣が怪物の全身を縛る。
「これは人間には効かない魔法なのですがね…効くのなら容赦はしません。」　
ディレードは残りの二本の剣を引き抜く。
「《神よ、どうかこれより行われることで罪を許し給え！これこそは神聖なる十字！罪を祓う許しの刃！》」
魔力が眩い光となり剣へと集まっていく。
『ガァァァァァァァ！！！！』
「神が許してくれる事を祈っています、我が友よ。」
そうして後ろに足を引き絞り一気に発走する。
フルルの走る速度すらも超える速度を出し一瞬で怪物に辿り着く。
一瞬だけ躊躇をするような表情をした、だが即座にそれを振り切り表情を戻す。
「《神聖技　神十字》」
その言葉のあと、ゆっくりと片腕ずつ刻むみこむように剣で切り裂いた。