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3章 妖精と勇者の剣舞
第60話 ため息
しおりを挟む「はぁ……」
「もう、ここに来てから30回目のため息よそれ。」
「そんなにしてないぞ……」
ため息をついたのはファルーグだった。
ここはルアグルの服飾店そこにファルーグ達はいた。
『魔王もため息つくぐらいなら強くなるのを許してやればいいのに。』
「汝とフィリアとは関係性が違うのだ!」
『はぁ……これが約60日続いてるんだぞ。助けてくれよルルさん。』
「なんでもっと早くに連れてこなかったのか聞きたいわね私は。」
簡単に言うと原因はあの日リアが強くなりたいと言い出した日なのだが思わず、「ならん!」と父親のようなことを言ってしまったのがきっかけだ。それ以来リアはファルーグとは話さなくなりフィリアと話すようになった。
「それ中々リアちゃんも酷くない?」
『いやな。リアもちょいちょい来るんだけどな。大抵心変わりしたか確認するためだけど。』
「?あれ?話さなくなったんじゃ?」
『話さなくなったのは魔王だよ。意固地になって話してやらないんだ。』
「あらまぁ……」
「我だってちゃんと言い分はあるのだ!」
「へぇ、どんな?」
「我とてリアが強くなりたいと自分の意思を示してくれたのは嬉しい。今までで一番嬉しかったぐらいだ。」
「うんうん。」
「だがあやつが戦場の出て我の目の届かぬ所で死ぬのは嫌なのだ!」
「なんとなーくは分かるわね。」
『俺でも一応は』
「だろ!?ならば守られている方が良いと我は考えてしまうのだ……」
「うーん、間違ってはいないのよね~」
『それなら戦える術を持っていた方が良いだろう?お前がいない間に死ぬことも少なくなるだろうし。』
「あやつの性格だ。少しでも強くなってしまえば我に来た人間やはぐれの討伐を請け負ってしまう可能性がある。」
「あ、確かに話してみた感じやっちゃいそうね~。」
『確かになんとなくは、な。』
ルルがうんうんと頷く。その言葉にニイも同調をする。
「それが怖いのだ……」
「そうは言ってもねぇ。あの娘もいつまでも子供じゃないのよ?」
『そうだぞ、あいつ何歳なんだよ。』
「……200歳だ。」
『予想を越えて高かったがそんな歳ならもう大人だろ、というか人間基準ならおばあさんだぞ。』
「悪魔基準ならピチピチの年頃だぞ……」
「年頃なら尚更ねぇ~そのくらいには保護者から離れて自分で何でも出来るようになりたい頃合いね。」
「そういうものなのか?」
『多分、な。』
「私も色々あったわ~家を飛び出すことを考えたり、好きになった人に突撃したかったり、魔物と初めて仲良くなったのもその頃ね。」
『ちょうど機会だ。一人立ちさせてみたらどうだ?』
「そうなのかもな……」
『よし、話は決まりだ。フィリアに剣術教えるからお前は身体強化を二人に教えろよ?』
「……汝、本当に教えられると思っている……のか?」
『いけるだろ。』
「メニューは?」
『ええと俺との長い時間でのガチ試合?』
「…他は?」
『それを永遠に繰り返すだけだが?』
「汝程はフィリアは強くないのだぞ!心を壊すつもりか!」
『フィリアなら出来る出来る』
「ああ、もう!やはり我等はあやつらの強くなる過程には口を出さんからな!」
結局、口出しが出来ない二人なのであった。
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