竜の契約者

ホワイトエンド

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2章 捕らわれと解放

第45話 覚悟

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記憶について話をしてそれが終わろうとした頃合いに会議が終わったと連絡が来たのでファルーグ達は会議室へと戻った。

「魔王様お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。」
「別によい。作戦を中途半端に練って相手の罠に嵌まったとかになると我が困るのでな。むしろ我は明日になるやもとは思っていたぞ?」
「ははは、寛大なお心感謝します。それでは作戦を報告させていただきます。」

流れは
1.ファルーグが正面から思いっきり攻撃を仕掛け人間達を誘き寄せる(出来るだけ多めが理想)
2.ファルーグが戦っている間潜入部隊が地下の隠し通路から潜入
3.魔物達の中でも転移魔法が使えるから助けていき救出後魔力回復薬により魔力回復次第魔物達を少しずつ送っていき上を目指す。
4.全員撤退完了もしくは潜入部隊が絶体絶命時には伝令の魔物をファルーグの元に向かわせそのことを伝え、人間達に恐怖を与えファルーグが撤退。

「こんな感じなのですがいかがでしょう。」
「失敗時にはお前達はどうするつもりなのだ?」
「救出対象を守るために命を賭けます。」
「具体的には?」
「これを」
そうして見せてきたのは強力な魔力が込められてはいるが発動方向が周り全体、つまり発動させた自分をも巻き込む魔法を込められた紙だった。
「自爆か」
「ええ」
「一度捕らえられ我を待つとかはないのだな。」
「捕まった時点で命はないでしょうからしょうがないです。それに人質にされても魔王様はそれごと殺しに来るでしょう?だからですよ。」
「そうか、了解した。」
そこでファルーグは一瞬困ったかのような表情をした。がそれをニイ以外に悟られる前に表情を真剣な顔に戻した。
「了解した。総員、準備を開始せよ決行は明日の夜日が沈むと同時だ!それまで英気を養うなり、戦闘準備をするなり好きにするがいい!」
「は!」
「解散!」

二人は会議が終わった後部屋へと戻っていた。
部屋のドアの鍵を閉じた後そのままベッドへと倒れこんだ。
「なぜそんな簡単に命を懸けられるのだ……命は大事であろうに……」
『お前への信頼があるからだろ自分達が死のうとお前が皆を助けてくれるって。』
「ならば自分達も助けてもらえると思わないのはなぜなのだ……確実に助けてやると言うのに」
『命惜しさに仲間を売った自分達より売られた仲間達を助けてほしいんだろ。』
「そうなのだがそうなのだが~~」
バタバタと足をベッドに叩きつける。まるで子どものような仕草だ。
『こう言っちゃなんだがな。』
「なんだ?」
『こうしてお前にはあいつらをあそこまで信頼させた責任ってのがある。信頼は呪いにも等しいだろう。』
「ぬぅ……」
『それはお前が背負わなくちゃいけないんじゃないか?俺にはまだ理解できないけどな。』
「確かマリウスの教えだったな。」
『ああ、「王とは民に信頼という呪いをかけるもの。信頼があればあるほど間違いも正して貰えないし、決断を後押しさせてしまう。それこそ呪いは自らに返ってくるもの。信頼を保つために必死にならなければならない。故に王は間違えられないし、決断は自分の意思でしっかりとしなくてはならない。それが解けたときにはかけたものにそこまでの反動が飛んでくる。故に信頼をさせ続けなければならない。王とは全てが呪術師なのだから」ってやつだったな』
「王とはそのような物だったな。……ピンチの時我はすぐにでも助けに向かうそれによって危険が増えるかもしれんがいいか?」
『何を今更、元々作戦に参加すること事態怖いのに今更危険になる可能性が増えたところでだ。』
「それも信頼か?」
『ああ呪いさ。』
「ふっ……」

そこから先にはもうこの件に関して言葉を交わす必要はなかった。
誰一人犠牲など出さないという心のもとベッドで横になったのだった。
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