竜の契約者

2章 捕らわれと解放

第43話 作戦

「魔王様門では大変失礼致しました！今後は魔力を感じとる力が強いものを門番にしますのでどうかご容赦を！」
「別によい。あやつらの解任もしなくてよい。一発では分からないような見た目ではあるしな。」
「ありがたき幸せ。いえいえ魔王様は竜人となられても実に誇り高い姿でございます。光を全てを飲み込むような黒き髪、魔王様の深き海のような心の広さを表したかのような青き瞳そのどちらともお美しゅうごさいます。」
「ふむ……そうかそうかハッハッハッ！」
案内された会議室で始まったのは門番に関する謝罪だった。どうみてもこの町のトップであろう魔物達が土下座の姿勢で待っていたのだ。
特段気にしていなかったファルーグはあっさりと許しむしろ自分が悪いんだと言った。。そこからはファルーグを褒め称える時間となってしまった。ここで声を出すわけにはいかないニイは静かに待った。

そして約30分後
「さて我を称賛するのはそこまでにして問題の話を聞こうか」
「了解しました。」
あっという間にシリアスな空気へと入り話し合いを始めるファルーグ達にニイは少し驚きつつ話を聞き始めた。

要約するとこんな感じだ。
人間達が町に侵入してきて魔物達を捕らえ始めたので戦闘能力のある魔物達が戦闘を始めたが予想を遥かに越えた力で魔物達を制圧し殺されたくなければ魔力の強い魔物を差し出せと言ってきた。命が惜しかった魔物達は家族をまたは自分自身を差し出し命を保留にして貰ったが身を差し出した魔物達を助けたいと思い魔王が今滞在しているキャスニアへと出発したどり着いたんだと言う。
なぜボロボロだったかと言うとこのノースウィーには転移魔法を使えるものが連れていかれた者の中にしかおらず歩いて行くしかなくその道中でボロボロになったんだろうということらしい。

「ふむ……」
「なので助け出すのを手伝っていただきたいのです。」
「手伝うとは？」
「我々は魔王様におんぶにだっこでいてはダメなのです。」
「なるほど。で、どのような計画なのだ？」
「はい、まずは人間達の警備がどれくらいかを試すためにこの中で最も慧眼であらせられる魔王様に突入していただき構造を把握うまくいけば地図を入手していただきたいです。」
「それで？」
「細かい所は構造が分かってからですが大雑把なところを言ってしまうと魔王様に人間を誘い出していただき我々の中で隠密行動に優れたもので突入いたします。」
「それで救出ということか、その後は？」
「はい、全員の拘束を解き放った後は転移魔法で戻りその合図を火の魔法で行い人間達を魔王様に凪払っていただく、これまでが計画となります。」
「中々いい案では無いか。」
黙って聞いていたニイにも悪くない計画だとは思った。これにはあまり口を出すところほ無いのではないかと思う。
「だが……」
「なんでございましょうか」
「我がかなり命を張ることになるな。」
そこだ。この計画であれば一番に中の分からない建物にファルーグが入りそれの構造の把握、本番では人間を圧倒しすぎずに誘きだし最後にそれを凪払わなければならないのだ。他より命を張る量が圧倒的に多い。 
「そこは大変申し訳なく思っております。ですがあの人間達と長い時間戦えるのは魔王様だけなのです。どうかこの計画で納得をしていただけないでしょうか。」
「納得もなにも別に我は良い。今のはこれを言われたらどうするのだろうという純粋な疑問からだ気にするでない。」
「それでは……」
「これより作戦を開始する。作戦名はそうだな……(勇者はなにかあるか？)」
『俺か……シンプルに解放作戦じゃダメか？』
「(ダメだ。)」
『なら……絆の解放戦線ならどうだ？』
「(ふむ、よし)ならば絆の解放戦線とする！総員準備を怠るな！解散！」

そうして魔物達は準備へと走っていった。