異世界転移して仲間にするなら美少女よりもムキムキのオッサンでしょう

近畿ブロードウェイ

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あいつらのどこが「どこにでもいる普通の高校生」だ(2)

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 何にせよ。異世界転移ものなんて所詮フィクションだったのだ。
 切り替える必要があると頭で分かっていても、しばらく夢に見るだろうとサトウはまた震える。

「御主人様。そろそろ帰らないか」
「ああ」

 気づけばミルフィーユが祈り終え、立ち上がっていた。
 その手にはゴブリンの皿を持っている。

 空が曇り、日光が遮られたことで動けるようになったようだ。
 ゴブリン討伐ノルマは達成済み。2人は森を出て街へ帰ることにした。

 荷車にミルフィーユを載せると、サトウは今朝きた道を引き返す。

「初討伐は繊細な御主人様には辛かったかな。これから冒険者としてやっていけそうか?」
「さあね」

「経験を積むのも大事かと思ったんだがね‥‥。最初はゴブリン討伐でもなく、兎や鹿狩りにすべきだっただろうか」
「あのさぁ、ミルフィーユちゃん。祈ってる最中って喋ってていいの?初日なんかガン無視だったろ」

「‥‥」
「あ、ごめん」
「‥‥」
「ごめんて。八つ当たりだったわ。えーと、玩具パチンコわたされたときは馬鹿にしてんのかと思ったけど。俺の根性や実力的には、これで敵に向かってパチパチするのが限界かも」

「自分の限界や役割を知れただけでも良かったさ。冒険者を続けるなら特にな」
「そうかな」
「となると、御主人様がこれから中・後衛職パチンコメインの冒険者になるとして、前衛が必要になってくるな」
「前衛なんて、ミルフィーユちゃんが居れば事足りるんじゃ」

「おいおい、私は筋肉治癒魔法使いだぞ。確かに私は強いよ。そのため前に出がちだが、どちらかといえば中衛職さ」
「ミルフィーユちゃんで前衛が務まらないのか」

「務まらないわけではないが、13歳の看板娘である私に前衛を任せ続けるのは外聞が悪いだろう」
「君より強く、敵を引き付けられる人間がベターなわけだ。そんなの居るか?」

「むぅ、そう言われると‥‥。私よりも強く、魅力的な冒険者など存在しないかも知れないな。しかしだ御主人様、それなりに強い前衛職を仲間にすべきだということは覚えておいてくれよ」

「まぁ、そうだな。探せたら探そうな」
「そんな行けたら行くみたいな。あまり酷ければ児童相談所に訴えるぞ」
「児童相談所の人も大困りするんじゃないか」

 ミルフィーユと離しているうちに街の門に着く。
 サトウは門番にギルドの認識票を見せ、今回の討伐結果等を軽く伝える。
 その会話中、門番はチラチラと荷車で土下座するおっさんミルフィーユを見ていた。

--



 ギルド前に、ミルフィーユを載せたままの荷車を付けたサトウは、彼女を置いて受付に向かう。
 ミルフィーユが居ると余計なことを言ってまた話が長くなる。サトウは早く宿に帰りたかったのだ。

「サトウさん、お怪我はありませんか?討伐証明はこちらへどうぞ」
「怪我はないけどヘトヘトかな」

 サトウは受付カウンターに、剥ぎ取った河童の皿を6枚置いた。

「ゴブリン6体ですか!初討伐おめでとうございます。報酬は18,000ゴールドになります」

 市場の商品の値段を見る限り、1ゴールド=1円と考えていいはずだ。
 ということはゴブリン1匹で3,000円。ハブの捕獲報酬か何かか?
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