16 / 28
ふふ、これは必殺技ではなく弱攻撃だよ(2)
しおりを挟む
ゴブリン。
子どものような体格していて、全身は緑色。森や山中の川辺に棲む魔物。
好戦的な性格をしており、背中への攻撃はほぼダメージが通らないともある。
頭頂部に特徴があるらしいが、サトウはよく知っている生き物な気がしていた。
しばらく森の中を歩くと、水の流れる音が聞こえてきた。
加えて「グエッ、グエッ」という鳴き声のようなものも聞こえる。
木の裏に身を潜めながらサトウが鳴き声の正体を確認する。
緑色の生き物が数体、川辺に集まっていた。
「あれがゴブリン?」
「よくやった御主人様。あれが今回の討伐対象のゴブリンだ」
冊子通りの体格をした緑色の魔物。
背中に甲羅を背負い、手足には水掻き、頭頂部には皿を乗せている。
河童だ。
馴染み深い日本の妖怪。河童だ。
実際に見たことはないが日本人ならよく知っている生き物。河童だ。
「河童って実在したんだ」
「カッパ?」
「こっちの話。で、これからどうする?頭の皿をカチ割ればいいのか?」
「皿は討伐証明のため、剥ぎ取る必要がある」
ここで見ていてくれ、とサトウに耳打ちすると、ミルフィーユは両拳を握って河童の群れへ近づいていく。
「ミルフィーユちゃん!武器は!?」
「私の武器はこの肉体さ。さて、長年の奴隷生活で鈍っていないといいがね」
突然現れた上半身裸のムキムキ大男にゴブリンが気づいたようだ。
そのゴブリンはミルフィーユを指さすと「ギャギャッ」とけたたましく吠えた。呼応するようにその他のゴブリンたちも騒ぎ出す。
亀のような甲羅を背負っているわりに動きが素早い。
あっという間にミルフィーユはゴブリンたちに囲まれてしまった。
ゴブリンがミルフィーユに噛みつこうとしたとき、彼女はゴブリンの下顎を握っていた拳で軽く撫でた。
瞬間、ゴブリンの下顎が弾け飛ぶ。そのまま糸の切れた操り人形のように倒れ、数回短く痙攣すると動かなくなった。
ミルフィーユがゴブリンを撫でると次々に弾けていく。北斗の拳かな。
気づけばゴブリンは残り1匹になっていた。
「グロすぎないか、その必殺技!」
「ふふ、これは必殺技ではなく弱攻撃だよ」
「こんな弱攻撃があってたまるか!」
サトウの声に反応した最後のゴブリンが彼に襲いかかる。
咄嗟にパチンコを構えようとするも、そもそも弾にする小石を拾っていないことを思い出した。
とりあえず手に持ったパチンコで引っ叩こうと構えるサトウ。
そんな彼とゴブリンの間に、ミルフィーユの拳が突き刺さる。
先ほどまで身を潜めていた木が大きな音をたてながら倒れた。
「御主人様、怪我はないか」
「助かった。5歳児並みの戦闘力じゃ勝てるか心配だったんだ」
「もう少し下がっていてく、れ‥‥!?ヌゥウアァ!!」
「どうした!どこかやられたのかミルフィーユちゃん!」
先ほどまで軽快にゴブリンを討伐していたミルフィーユが膝をついた。
苦しげな表情を浮かべ蹲った彼女に、思わずサトウも駆け寄る。
ミルフィーユは土下座していた。
木陰を作っていた木を倒してしまったせいだ。
陽の光に晒されている間、彼女はメッカに向けて祈り続けねばならない。
「ヌゥン!御主人様!気をつけろ、トラップだ!」
「いい加減にしろよ!このハゲ!」
子どものような体格していて、全身は緑色。森や山中の川辺に棲む魔物。
好戦的な性格をしており、背中への攻撃はほぼダメージが通らないともある。
頭頂部に特徴があるらしいが、サトウはよく知っている生き物な気がしていた。
しばらく森の中を歩くと、水の流れる音が聞こえてきた。
加えて「グエッ、グエッ」という鳴き声のようなものも聞こえる。
木の裏に身を潜めながらサトウが鳴き声の正体を確認する。
緑色の生き物が数体、川辺に集まっていた。
「あれがゴブリン?」
「よくやった御主人様。あれが今回の討伐対象のゴブリンだ」
冊子通りの体格をした緑色の魔物。
背中に甲羅を背負い、手足には水掻き、頭頂部には皿を乗せている。
河童だ。
馴染み深い日本の妖怪。河童だ。
実際に見たことはないが日本人ならよく知っている生き物。河童だ。
「河童って実在したんだ」
「カッパ?」
「こっちの話。で、これからどうする?頭の皿をカチ割ればいいのか?」
「皿は討伐証明のため、剥ぎ取る必要がある」
ここで見ていてくれ、とサトウに耳打ちすると、ミルフィーユは両拳を握って河童の群れへ近づいていく。
「ミルフィーユちゃん!武器は!?」
「私の武器はこの肉体さ。さて、長年の奴隷生活で鈍っていないといいがね」
突然現れた上半身裸のムキムキ大男にゴブリンが気づいたようだ。
そのゴブリンはミルフィーユを指さすと「ギャギャッ」とけたたましく吠えた。呼応するようにその他のゴブリンたちも騒ぎ出す。
亀のような甲羅を背負っているわりに動きが素早い。
あっという間にミルフィーユはゴブリンたちに囲まれてしまった。
ゴブリンがミルフィーユに噛みつこうとしたとき、彼女はゴブリンの下顎を握っていた拳で軽く撫でた。
瞬間、ゴブリンの下顎が弾け飛ぶ。そのまま糸の切れた操り人形のように倒れ、数回短く痙攣すると動かなくなった。
ミルフィーユがゴブリンを撫でると次々に弾けていく。北斗の拳かな。
気づけばゴブリンは残り1匹になっていた。
「グロすぎないか、その必殺技!」
「ふふ、これは必殺技ではなく弱攻撃だよ」
「こんな弱攻撃があってたまるか!」
サトウの声に反応した最後のゴブリンが彼に襲いかかる。
咄嗟にパチンコを構えようとするも、そもそも弾にする小石を拾っていないことを思い出した。
とりあえず手に持ったパチンコで引っ叩こうと構えるサトウ。
そんな彼とゴブリンの間に、ミルフィーユの拳が突き刺さる。
先ほどまで身を潜めていた木が大きな音をたてながら倒れた。
「御主人様、怪我はないか」
「助かった。5歳児並みの戦闘力じゃ勝てるか心配だったんだ」
「もう少し下がっていてく、れ‥‥!?ヌゥウアァ!!」
「どうした!どこかやられたのかミルフィーユちゃん!」
先ほどまで軽快にゴブリンを討伐していたミルフィーユが膝をついた。
苦しげな表情を浮かべ蹲った彼女に、思わずサトウも駆け寄る。
ミルフィーユは土下座していた。
木陰を作っていた木を倒してしまったせいだ。
陽の光に晒されている間、彼女はメッカに向けて祈り続けねばならない。
「ヌゥン!御主人様!気をつけろ、トラップだ!」
「いい加減にしろよ!このハゲ!」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる