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鬱陶しいテンション(2)
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「私の秘密も少しずつ伝えていこうと思っていたんだが、まさか三大司教だったことまでバレるとは」
「冒険者だったんだろ。決済機でステータスがバレることは知ってたんじゃ」
「あの決済機も私が奴隷落ちしたあとに導入された機械でね。話には聞いていたが、どういうものかは知らなかった」
「結構浸透してるシステムに見えたけど、いつから奴隷だったのさ」
「13年前だ。そうだな、もし質問があるなら寝る前にお答えするが」
奴隷歴=ケーキ屋さんの看板娘の年齢なのか。
寝る前に質問というが、疲れているサトウはパッと質問が思い浮かばない。
「そうだなぁ。トップオブトップ教は邪教らしいけど、何やらかしたの?」
「やらかし、か。確かに勧誘活動は多少活動かもしれないが、拉致しても首を縦に振らなかった者は開放しているし。御主人様が考えているほど酷い教団ではないはずだ」
「自分で拉致って言っちゃったよ」
「邪教と言われる一番の要因は治癒魔法が使えることだろうか」
「治癒魔法が使えるから教団に勧誘されるって聞いたんだけど」
「それは邪教と呼ばれない一般的な教団の場合だ。邪教の信徒で治癒魔法が使える者は少ない。信仰する神も特殊なことだしな」
「ミルフィーユちゃんだと、トップさんだっけ?」
「あぁ。一般的な教団で信仰しているのは創世神や地母神などだが、トップは少し毛色が違う」
「ただの人っぽいよな」
サトウはミルフィーユの右胸のタトゥーを見る。
坊主頭のニヒルに笑う男。彼が信仰の対象らしい。
「ただの人か。確かにそうだな。彼はまだ存命なんだ」
「本当にただの人じゃん」
「彼が我々から神と崇められるのは、その功績にあるんだ。それを語る前に、御主人様はバフ魔法についてどれだけ理解しているだろう」
「味方を強化する魔法ってことだよな?」
「そうだ。一般的な教団の信徒や、魔法職が使用するバフ魔法が『身体強化魔法』。これは神の奇跡や、魔法の一種とされる」
「何となく分かるよ」
「一方で非魔法職、つまり戦士などが自らの体内エネルギーを使用して発動するバフ魔法を『筋肉強化魔法』と言うんだ」
MPを消費して発動するのが身体強化魔法。SPを消費して発動するのが筋肉強化魔法、ということらしい。
「2つには明確な違いがあり、身体強化魔法は自分にも他者にも効果があるが、筋肉強化魔法は自分にしか効果がない」
「効果範囲に違いがあるのか」
「その通り。ここでやっとトップが出てくる。彼は筋肉強化魔法の派生であるにも関わらず他者も治癒できる『筋肉治癒魔法』を提唱したのさ」
「今日かけてもらった痛くてグロいやつね」
「私たちはトップから筋肉治癒魔法について教えを乞い。それを世に広めるため、彼を信仰の対象とした教団を設立した」
「それだけで邪教にされるか?」
「筋肉治癒魔法を広めることで損をする教団の反発さ。国教である創世神を崇める教団なんて、収入源のほとんどを治療院での稼ぎに頼っている」
「骨折1箇所ごとに100万ゴールドとか言われたやつか」
「そこで安価で治療をする筋肉治癒魔法使いが増えると、奴らの収入が減るだろう?」
「だろうな」
「そういったしがらみもあり、我々は邪教と呼ばれているのさ」
そこまで語るとミルフィーユは就寝の準備を始める。
彼女にも色々あったのか。そう考えながらサトウも布団に入った。
「冒険者だったんだろ。決済機でステータスがバレることは知ってたんじゃ」
「あの決済機も私が奴隷落ちしたあとに導入された機械でね。話には聞いていたが、どういうものかは知らなかった」
「結構浸透してるシステムに見えたけど、いつから奴隷だったのさ」
「13年前だ。そうだな、もし質問があるなら寝る前にお答えするが」
奴隷歴=ケーキ屋さんの看板娘の年齢なのか。
寝る前に質問というが、疲れているサトウはパッと質問が思い浮かばない。
「そうだなぁ。トップオブトップ教は邪教らしいけど、何やらかしたの?」
「やらかし、か。確かに勧誘活動は多少活動かもしれないが、拉致しても首を縦に振らなかった者は開放しているし。御主人様が考えているほど酷い教団ではないはずだ」
「自分で拉致って言っちゃったよ」
「邪教と言われる一番の要因は治癒魔法が使えることだろうか」
「治癒魔法が使えるから教団に勧誘されるって聞いたんだけど」
「それは邪教と呼ばれない一般的な教団の場合だ。邪教の信徒で治癒魔法が使える者は少ない。信仰する神も特殊なことだしな」
「ミルフィーユちゃんだと、トップさんだっけ?」
「あぁ。一般的な教団で信仰しているのは創世神や地母神などだが、トップは少し毛色が違う」
「ただの人っぽいよな」
サトウはミルフィーユの右胸のタトゥーを見る。
坊主頭のニヒルに笑う男。彼が信仰の対象らしい。
「ただの人か。確かにそうだな。彼はまだ存命なんだ」
「本当にただの人じゃん」
「彼が我々から神と崇められるのは、その功績にあるんだ。それを語る前に、御主人様はバフ魔法についてどれだけ理解しているだろう」
「味方を強化する魔法ってことだよな?」
「そうだ。一般的な教団の信徒や、魔法職が使用するバフ魔法が『身体強化魔法』。これは神の奇跡や、魔法の一種とされる」
「何となく分かるよ」
「一方で非魔法職、つまり戦士などが自らの体内エネルギーを使用して発動するバフ魔法を『筋肉強化魔法』と言うんだ」
MPを消費して発動するのが身体強化魔法。SPを消費して発動するのが筋肉強化魔法、ということらしい。
「2つには明確な違いがあり、身体強化魔法は自分にも他者にも効果があるが、筋肉強化魔法は自分にしか効果がない」
「効果範囲に違いがあるのか」
「その通り。ここでやっとトップが出てくる。彼は筋肉強化魔法の派生であるにも関わらず他者も治癒できる『筋肉治癒魔法』を提唱したのさ」
「今日かけてもらった痛くてグロいやつね」
「私たちはトップから筋肉治癒魔法について教えを乞い。それを世に広めるため、彼を信仰の対象とした教団を設立した」
「それだけで邪教にされるか?」
「筋肉治癒魔法を広めることで損をする教団の反発さ。国教である創世神を崇める教団なんて、収入源のほとんどを治療院での稼ぎに頼っている」
「骨折1箇所ごとに100万ゴールドとか言われたやつか」
「そこで安価で治療をする筋肉治癒魔法使いが増えると、奴らの収入が減るだろう?」
「だろうな」
「そういったしがらみもあり、我々は邪教と呼ばれているのさ」
そこまで語るとミルフィーユは就寝の準備を始める。
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