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トップハムハット卿みたいな名前の教団(1)
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「教団の教義で、陽の下を歩けないことだけ聞いてるけど」
「私の所属する教団は邪教なんかじゃないさ」
「邪教じゃないってさ。ちなみに邪教徒だとヤバい?」
「過激な信徒が多く、信仰する神も特殊な教団のことを一般的に『邪教』と呼んでいるだけなので邪教徒だとしてもトラブルさえ起こさなければ大丈夫ですよ」
「なるほど。そうだ、怪我も治ったことだし今日のところはパーティー登録だけ済ませたくて」
サトウの怪我が治っていることを確認した受付嬢が小さく拍手した。そして「パーティー登録でしたら受付へ」と言うと受付カウンターへ戻っていく。
2人がカウンター前へ向かうと、すぐに受付嬢が顔を出した。
「お待たせいたしました。パーティー登録には再度ステータス確認が必要になります。順番に決済機へお手をどうぞ」
ギルドを初めて訪れたときのようにサトウは決済機に手をかざした。
モニターに表示されたステータスを受付嬢が確認している。
「今度は何を確認されてるのかな。ただのステータス確認だけ?」
「主にパーティーの二重登録を避けるための確認ですね。サトウさんの場合ですと、結んでいる奴隷契約が違法なものでないか、なども表示されるんですよ」
「そんなことまで分かるんだ」
「お連れの方の場合、所属している教団名や、奴隷区分なども表示されますね」
「教団って奴隷になったら破門になるわけじゃないんだな」
「それは奴隷になった理由にもよるかと」
「そりゃそうか。破門になったら治癒魔法が使えなくなったり?」
「いえ、教団に所属することで治癒魔法が使えるようになるという話ではありませんから」
「治癒魔法が使えるから教団に勧誘されるってこと?」
「ええ。その後、信徒の多くは神殿や治療院勤めになります。意外と無宗教の治癒魔法使いも多いですけどね」
「無宗教でもいいんだ。ミルフィーユちゃんも神殿とかに居たの?」
「まぁそうだな」
「何をしたら神殿勤めから奴隷落ちするんだよ」
「休日には、冒険者として布教活動も行っていたからな。その活動中にちょっとトラブルを」
ミルフィーユは冒険者でもあったらしい。
とはいえ元冒険者だとしても奴隷落ちするまでのトラブルとは一体何なのか。
「サトウさんのステータスに問題はありませんでした。お連れの方もどうぞ」
「ミルフィーユだ。よろしく。ケーキ屋さんの今年13歳になる看板娘だと思って接してくれ」
「ミルフィーユ‥‥さん。はい、決済機へお手を」
「ちゃんだ」
受付嬢はミルフィーユの挨拶を全てスルーすると決済機のモニターを確認し始めた。
流石だ。厄介な冒険者の扱いにも慣れているのだろう。
「ミルフィーユちゃんが何て教団に入ってるのか訊いたことあったっけ」
「言ってなかったかな。トップオブトップ教だよ、御主人様も興味あるか?」
「すげぇ。トップハムハット卿みたいな名前の教団。悪いけど興味はないね」
「残念だな。気が変わったら言ってほしい」
サトウの気が変わることはない。絶対に。
上半身裸のミルフィーユの右胸に刻まれているタトゥーの男の名は「トップ」。
もしかしなくても教団に関係する人物だろう。
「連れ去りミルフィーユ、ですか。とんでもない奴隷を購入されましたね」
「なにそれ」
「彼は二つ名付きの犯罪奴隷です。特別監視下に置かれているとあります」
「ガチ犯罪者ってこと?」
「殺人はしていないようですが。彼は冒険者時代、少なくとも7人の冒険者を再起不能、10人を拉致しています」
「ヤバいって。てか10人も拉致して何したのミルフィーユちゃん。ナニか?」
「私の所属する教団は邪教なんかじゃないさ」
「邪教じゃないってさ。ちなみに邪教徒だとヤバい?」
「過激な信徒が多く、信仰する神も特殊な教団のことを一般的に『邪教』と呼んでいるだけなので邪教徒だとしてもトラブルさえ起こさなければ大丈夫ですよ」
「なるほど。そうだ、怪我も治ったことだし今日のところはパーティー登録だけ済ませたくて」
サトウの怪我が治っていることを確認した受付嬢が小さく拍手した。そして「パーティー登録でしたら受付へ」と言うと受付カウンターへ戻っていく。
2人がカウンター前へ向かうと、すぐに受付嬢が顔を出した。
「お待たせいたしました。パーティー登録には再度ステータス確認が必要になります。順番に決済機へお手をどうぞ」
ギルドを初めて訪れたときのようにサトウは決済機に手をかざした。
モニターに表示されたステータスを受付嬢が確認している。
「今度は何を確認されてるのかな。ただのステータス確認だけ?」
「主にパーティーの二重登録を避けるための確認ですね。サトウさんの場合ですと、結んでいる奴隷契約が違法なものでないか、なども表示されるんですよ」
「そんなことまで分かるんだ」
「お連れの方の場合、所属している教団名や、奴隷区分なども表示されますね」
「教団って奴隷になったら破門になるわけじゃないんだな」
「それは奴隷になった理由にもよるかと」
「そりゃそうか。破門になったら治癒魔法が使えなくなったり?」
「いえ、教団に所属することで治癒魔法が使えるようになるという話ではありませんから」
「治癒魔法が使えるから教団に勧誘されるってこと?」
「ええ。その後、信徒の多くは神殿や治療院勤めになります。意外と無宗教の治癒魔法使いも多いですけどね」
「無宗教でもいいんだ。ミルフィーユちゃんも神殿とかに居たの?」
「まぁそうだな」
「何をしたら神殿勤めから奴隷落ちするんだよ」
「休日には、冒険者として布教活動も行っていたからな。その活動中にちょっとトラブルを」
ミルフィーユは冒険者でもあったらしい。
とはいえ元冒険者だとしても奴隷落ちするまでのトラブルとは一体何なのか。
「サトウさんのステータスに問題はありませんでした。お連れの方もどうぞ」
「ミルフィーユだ。よろしく。ケーキ屋さんの今年13歳になる看板娘だと思って接してくれ」
「ミルフィーユ‥‥さん。はい、決済機へお手を」
「ちゃんだ」
受付嬢はミルフィーユの挨拶を全てスルーすると決済機のモニターを確認し始めた。
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