異世界転移して仲間にするなら美少女よりもムキムキのオッサンでしょう

近畿ブロードウェイ

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ケーキ屋さんの今年13歳になる看板娘(1)

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 あれからどれだけの時間が経っただろうか。5分かもしれないし、1時間かもしれない。
 案内された応接室のソファで一人、サトウは貧乏ゆすりをしながら待っていた。

「サトウ様、お待たせいたしました」
「!!」

 短いノックの後、アッサラームが扉から顔を覗かせた。
 思わずソファから起立したサトウに、アッサラームは笑顔で返した。

「ふふ、そこまで心待ちにしていただいていると、こちらまで嬉しくなりますな」
「心待ちだなんて、やれやれ。ちょっとだけだよ。リトルビットさ」

「さ、ミルフィーユ。ご挨拶なさい」
「はい」

 ミルフィーユが現れる。
 奴隷という身分だからか相手は酷く薄着だ。というか上半身裸だ。

 しかも身長171cmのサトウが首が痛くなるくらい見上げる必要があるほど背が高い。
 また、露出したミルフィーユの胸の高さにサトウの頭がくるため、恥ずかしくなり目線を外した。

 目の前に突き出された胸を見たせいか、ついつい考えてしまう。
 日本に残してきたアメリカ人美女の義母や、金髪巨乳ギャルより確実に大きい。
 それにしても、たくましい胸筋・・・・・・・だった。

「たくましい胸筋?」
「ほほ、サトウ様。そんなに凝視するものではありませんぞ。ミルフィーユも恥ずかしがっております」

「アッサラームさん。構わんさ。私の胸でよければ、いくらでも見るといい」

 バリトンボイス。
 その声を聞いたサトウは自分の両頬を強く叩くと、改めてミルフィーユの姿を確認する。



 200cm以上あるだろう身長。西洋彫刻のように鍛え上げられた肉体。
 それでいて知性を感じる眼差し、厚い唇と、光り輝くスキンヘッド。
 上半身は右胸から右腕にかけてビッシリとタトゥーが刻まれていた。

「満足したかな、御主人様。私はミルフィーユ。自認・・はケーキ屋さんの今年13歳になる看板娘だ。どうか可愛がってくれ」

 ケーキ屋さんの今年13歳になる看板娘を自称する大男を目の前に、サトウは言葉が出ない。
 強いストレスにさらされたせいかもしれない。

「あぁ。右胸の彼が気になるのかな。彼の名はトップ。挨拶を」
「あ、あの、どうも。サトウです」

「サトウ様。ミルフィーユをお気に召していただけましたかな」

「はは、こんなムキムキのおっさん連れてきて何かの冗談か?」

 サトウの言葉に場が静まり返る。
 ミルフィーユは俯き、肩を震わせている。

 外見だけで人の性別を判断する。これは日本においても度々問題になるセンシティブな話題である。
 身長約200cmのスキンヘッドの外見的特徴が男性である人物に対し、軽率に「ムキムキのおっさん」と言い放ったサトウに問題があると言えよう。

「あ、あんたまさかっ!性差別主義者セクシストか!?」
「え、は?何て?」
「出ていけ!‥‥あんたらみたいなイカれた連中に売る奴隷は、この店には居ない!」
「何か誤解してるって。俺はそのセクシス?とかって人間じゃない」

「犯罪者はみんなそう言うんだ。とにかく早く出ていってくれ!」

 先程まで柔和な笑顔をみせていたアッサラームが捲し立てる。
 その迫力に気圧されていたサトウに助け舟を出したのは、他でもないミルフィーユだった。

「御主人様。君は極東人なんだろう?」
「そう。そうなんだよ。極東からこっちに来たばかりでさ」

 その助け舟にすぐさま同調したサトウを、アッサラームが「黙れ!」と一喝する。

「極東から来たばかりとはいえ、さっきの性差別的な発言は連邦法で死刑でもおかしくないんだぞ!それほどの発言だ!ミルフィーユ、お前はこの男を許せるのか!」

「そうだな、私はどうやったってケーキ屋さんの今年13歳になる看板娘なんだ。それをムキムキのおっさんだなんて到底許せることではないよ」
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