ゲーム世界で推し活中！～ハーレムルート限定の推しのために全ヒロイン攻略します～

第5話 新しい日常

下駄箱の前で桜子と別れた後、圭は突然立ち止まった。

（そういえば、俺の家はどこだ？）

プロちゃんが現れ、圭の困惑した表情を見て首を傾げた。

「どうしたの？」

「プロちゃん、俺の家はどこにあるんだ？」

プロちゃんは驚いた表情を浮かべ、すぐに微笑んだ。

「あら、説明し忘れていたわね。ごめんなさい。案内するわ」

プロちゃんの導きで、圭は学校を出て住宅街へと歩き始めた。

「あなたの家は学校から徒歩10分のアパートよ。両親はいないの。両親が残したお金で独り暮らしをしているという設定なの」

圭は目を丸くした。

「へえ...知らなかった」

プロちゃんはうなずいた。

「そうね。ゲームでは主人公の家庭環境はあまり重要視されなかったから。でも、この世界では生活の細部まで存在しているのよ」

歩いていると、小さなコンビニエンスストアが見えてきた。

「あ、コンビニだ」圭が言った。

プロちゃんは笑顔で説明を始めた。「ここは現実世界と同じ24時間営業よ。急な買い物には便利ね」

圭は中をのぞいてみた。店内では数人の客が買い物をしており、アルバイトの店員が笑顔で接客していた。

プロちゃんは続けた。「ここから少し歩くと、スーパーマーケットもあるわ。日用品や食材はそこで買うといいわね」

二人はさらに歩を進め、大きなスーパーマーケットに到着した。

「ここね。生鮮食品から日用品まで、ほとんどのものが揃うわ」

圭は興味深そうにスーパーの中を見渡した。野菜売り場、香り豊かな惣菜コーナー、そして日用品が並ぶ雑貨売り場。買い物客で賑わう店内に、圭は新鮮な驚きを覚えた。

「コンビニはゲームにもあったけど、スーパーでのシーンはなかったな」

プロちゃんはくすりと笑った。「そうね。この世界では、あなたの日常生活も大切な要素なの。ヒロインたちとの関係だけでなく、一人の高校生としての生活も送ることになるわ」

さらに10分ほど歩くと、こぢんまりとした3階建てのアパートに到着した。

「ここよ。2階の201号室があなたの部屋」

鍵を渡され、圭は部屋に入った。シンプルながら清潔な1Kの部屋。ベッド、机、クローゼット、そして小さなキッチンがある。

プロちゃんが説明を続ける。

「食料品や日用品は一通り揃っているわ。使ったら買い足す程度でOKよ」

圭は嬉しそうに部屋を見回した。

「ここが新しい自分の部屋か...なんだか不思議な感じだな」

簡単な夕食を作り終えた後、圭はプロちゃんと向き合った。

「プロちゃん、ハーレムルートについてもっと詳しく教えてくれないか？存在自体はしてるんだな？」

プロちゃんは真剣な表情で説明を始めた。

「ハーレムルートは、この世界の隠されたシナリオよ。全てのヒロインの好感度を最大にし、特定のイベントをクリアすることで解放されるはずよ」

「具体的には？」

「まず、桜子、みなみ、あおいの3人のメインヒロインの好感度を最大にする必要があるわ。それぞれのヒロイン固有のイベントをクリアし、彼女たちの心を完全に掴むの」

圭は頷きながら聞いている。

「そして、3人全員の好感度が最大になった状態で、学園祭のイベントを特定の方法でクリアする。そうすると、ハーレムルートが解放されると言われている。でも誰も解放したことがないから詳細はわからないの」

「なるほど...」

「でも注意して。ハーレムルートは非常に難しいわ。一人のヒロインの好感度を上げすぎると、他のヒロインの好感度が下がってしまうこともある。バランスが重要よ」

圭は真剣な表情で頷いた。

「わかった。慎重に進めていくよ」

プロちゃんは微笑んだ。

「そうね。焦らずじっくりと関係を築いていきましょう。明日からが本番よ」

圭はベッドに横たわり、天井を見つめた。窓から漏れる街灯の光が、静かな部屋に影を落としている。

（レイ...必ず君に会いに行くよ）

新しい生活への期待と決意を胸に、圭は静かに目を閉じた。