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第6話 「褒めて育つ薬草と能力の新たな可能性」

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真人とソフィアは、森の中を歩きながら薬草を探していた。木々の間から差し込む陽光が、緑の葉を輝かせている。

「ねえ、真人」ソフィアが立ち止まって言った。「あそこに赤い花が咲いているのが見える? あれが今回の依頼の薬草よ」

真人は目を凝らした。「あぁ、見えました。きれいな花ですね」

二人は薬草に近づいた。真人は少し躊躇いながらも、薬草に向かって話しかけた。

「こんにちは、薬草さん。とってもきれいな赤色をしていますね。きっと大地の養分をたくさん吸収して、一生懸命育ったんでしょう?」

すると、不思議なことが起こった。薬草の周りが淡く光り、花びらがわずかに大きくなったのだ。

「わぁ...」真人は驚いて目を見開いた。

ソフィアも驚きの表情を浮かべながら言った。「信じられない...本当に効果があるのね」

真人は続けて薬草を褒めた。「茎もしっかりしていて、葉っぱも生き生きとしていますね。きっとたくさんの人を助けられる素晴らしい薬草になれると思います」

薬草はさらに光り、茎が伸び、葉が大きくなった。

ソフィアは感心した様子で言った。「すごいわ、真人! あなたの能力、植物にも効くんですね。これなら、より効果の高い薬草が採取できそう」

真人は照れくさそうに頭をかいた。「ありがとうございます。でも、ソフィアさんのおかげですよ。的確なアドバイスがなければ、こんな風に使えなかったと思います」

ソフィアは少し赤面しながら答えた。「そんな...私はただ...」

真人は真剣な表情でソフィアを見つめた。「いいえ、本当にそう思います。ソフィアさんは知識が豊富で、優しくて、頼りになる人です。一緒に冒険できて本当に嬉しいです」

ソフィアの体が淡く光り、彼女の姿勢がより凛々しくなった。「ま、真人...ありがとう」

二人は薬草を丁寧に摘み取り、バッグに収めた。作業を終えると、ソフィアが提案した。

「ねえ、せっかくだから他のものにも試してみない? あなたの能力の可能性をもっと探ってみましょう」

真人はうなずいた。「そうですね。でも、何を褒めればいいでしょうか?」

ソフィアは周りを見渡した。「そうねぇ...あそこの岩はどう?」

真人は指示された大きな岩に近づき、声をかけた。「こんにちは、岩さん。あなたはとても大きくて立派ですね。きっと長い年月をかけて、風雨に耐えながらそこにあり続けたんでしょう。その強さと忍耐力は素晴らしいです」

しかし、岩に変化は見られなかった。

ソフィアは首をかしげた。「効果がないみたいね。じゃあ、次は...あそこの小川はどう?」

真人は小川に向かって褒めた。「こんにちは、小川さん。あなたの水はとてもきれいで澄んでいますね。森の生き物たちに潤いを与え、大地を豊かにする存在だと思います」

すると、小川の流れが少し速くなり、水面が輝きを増した。

「効いた!」真人は驚きの声を上げた。

ソフィアも目を輝かせた。「すごいわ! でも、なぜ岩には効果がなくて、小川には効いたのかしら?」

真人は考え込んだ。「生命力...のようなものが関係しているのかもしれません。植物や水には生命力があるけど、岩にはないですからね」

ソフィアは感心した様子で頷いた。「なるほど、そういう仮説が立てられるわね。これは面白い発見だわ」

二人は森の中を歩きながら、様々なものを褒めて回った。木々は少し背を伸ばし、花はより鮮やかに咲き、小動物たちは元気に飛び跳ねた。

実験を重ねるうちに、真人は自分の能力についての理解を深めていった。同時に、ソフィアとの信頼関係もより強くなっていくのを感じた。

「ねえ、真人」ソフィアが突然真剣な顔で言った。「あなたの能力は本当に素晴らしいわ。でも、同時に危険かもしれない」

真人は驚いて聞き返した。「危険...ですか?」

ソフィアはうなずいた。「そう。もし悪用されたら...例えば、モンスターを褒めて強くしてしまったら...」

真人は背筋が凍る思いがした。確かに、その可能性は考えられる。

「私たちは気をつけないといけないわ」ソフィアは真人の肩に手を置いた。「でも心配しないで。私がついているから」

真人は決意を新たにした。「はい。この力を正しく使えるよう、もっと研究と訓練を重ねます」

夕暮れ時、二人は採取した薬草を抱えてギルドへの道を歩く。
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