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狐利と五狸
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昔昔ある山に狐利(こり)と五狸(ごり)という狐と狸がいました。
狐利は美しく賢い狐で、五狸は逞しく優しい狸です。
彼らは友達でこれがよく小さい頃から遊んだものであります。
だけれど彼らには悩みがありました。
最近、狐と狸が喧嘩を始めてしまったのです。
二匹は友達だったから、自分たちの種族が喧嘩をするのをとても悲しく思ったのです。
だけれど仕方ない喧嘩でした。
元々、狐は山に暮らし、狸は麓の湿原で暮らしていました。
両者は互いの縄張りを守っていたから、昔は争いなんて無かったのです。
だけど今は人間たちが「こりゃ水田を作るに都合良い」なんて狸を追い出して湿原を開拓してしまったのですから困ったものです。
狸は山に逃げ込んで、狐と食べ物のとりあいを始めてしまったのです。
狐は縄張りに侵入してきたのは狸なのだから狸が飢え死にしろと言いました。
でも狸も引き下がれません。
人間に縄張りを追い出されて棲む場所も無いのだから食べ物くらい恵んでくれても良いじゃないかと主張したのです。
このままではどうなるか分かりません。
狐利と五狸は心を痛め、何とかできないかと話し合いました。
ですが、それでもどうすれば良いのか分かりません。
五狸は言います。
「そもそも悪いのは人間じゃあないのかね。先にオラ達の縄張りへ侵入してきたのは人間なのだ」
狐利も頷きました。
「全くもってその通り。悪いのは人間なのにあたし達が争うのはおかしいことさね」
二匹は人間を追い出して土地を奪い返そうと計画します。
だけど人間はとても恐ろしい猛獣です。
うかつに近付くとむしろ殺されて食べられてしまうのです。
うんうんと頭を捻って考えましたがどうすれば良いのか分かりませんでした。
「頭のいい狐利が分からんじゃ、オラにも誰にも解決しようが無いのかもしれんなぁ」
五狸がそう諦めたのですが狐利は「あいや。お待ちなさいよ。確かにあたしでもどうしたら分からないけれどね、それならもっと賢い者に相談しようじゃゃないかい」と提案しました。
五狸は狐利よりもっと賢い者とは何者かと聞きます。
「神様さ」
狐利と五狸は山にある小さな洞穴に向かいました。
その洞穴には山のどんな生き物も近付きません。
なぜならこの土地の神様が住んでいるからです。
洞穴はそんなに深くありません。
入口から奥が見えるだけの窪みのような洞穴です。
その洞穴の前で二匹は「神様。神様。どうか人間を追い出す方法を教えてくださいな」と頼みました。
するとどうでしょうか、洞穴から声が聞こえてきます。
『狐利と五狸よ。人間に手を出すのはおやめなされ』
その声は神様の声でした。
神様が言うには人間はとても恐ろしい猛獣なのですから手を出すべきではないと言うのです。
「人間がそら恐ろしいのは分かっております。ですがこのままだと狐も狸も争いを起こしてしまうのです」
二匹がそう訴えると神様は少し悩んでから『では、なぜ狐と狸が争うことになるのか考えなさい』と言いました。
「食べ物がないからです」
二匹が答えると『では夜のうち人間から食べ物を奪いなさい。それを皆で分け合うのじゃ』と神様は答えます。
なるほど確かに、人間を追い出す必要はありません。
むしろ人間は自然の食べ物よりずっとたくさんあるのです。
二匹が良い案では無いかと喜ぶと神様は『くれぐれも余計な欲を出すのはやめなさい』と釘を刺しました。
『人間は恐ろしいのじゃよ』
神様は人間に近付くべきでは無いと本音は思います。
でも二匹の頼みから仕方なく人間の食べ物を盗むよう提案したのでした。
二匹は神様の言う通りにしました。
日がとっぷり暮れると二匹の瞳が大きく開いて闇の中を見えるようにします。
人間は夜の闇が苦手でした。
日が暮れると眠りにつきます。
その間に二匹は畑の土を掘り起こし、稲の実を貪りました。
作物を山に引きずり、隠したのです。
そうして翌朝、二匹は狐と狸の仲間たちに隠した作物を教えました。
仲間たちは喜んで作物を食べます。
でも仲間たち全員に作物を行き渡らせるには足りませんでした。
むしろ、狐利と五狸が盗んできた作物をめぐって喧嘩になりそうになります。
「キツネ達には縄張りの食べ物があるだろう。これは人間に縄張りを追われた我らのものだで」
狸がそう主張すれば狐も「タヌキ達は我らの縄張りを犯したのだから詫びにこれを譲れ」と主張したのであります。
せっかく人間の食べ物を盗んできたのにまた喧嘩になりそうなのです。
狐利と五狸はまだまだ食べ物が足りなかったのだと思いました。
それで、毎晩毎晩、人間の畑からうんとたくさんの作物を盗みました。
その量ときたら狐も狸の一匹にまで至ります。
わあなんてたくさんの食べ物だ。
狐利と五狸のおかげだ。
狐と狸は喜びました。
これでもう安心。
狐利と五狸は安堵します。
食べ物が足りなくなったら人間から奪ってしまおう。
他の狐や狸もそう言いました。
これでもうめでたしめでたし。
狐や狸たちはそう思います。
でも人間たちはそういきませんでした。
人間たちは畑という畑が全部掘り返されたのを見て、とても驚きます。
そしてとても怒りに震えました。
村の男に茂兵衛という男がいました。
彼には病弱な母がいて、採れる作物が無いと母は冬が越せないと思います。
畑に狐と狸の足跡を見つけた茂兵衛はたいそう怒り、「盗人狐と泥棒狸め。一匹残らず始末してやらねばならぬ」と村の者たちに語った。
おおそうだ。
きっと根絶やしにせねば我らが死ぬぞ。
そのように村の者たちも同調しました。
さっそく山狩りをしようということになり茂兵衛は家に帰ります。
山に入るため、足袋を履いて笠を着て、それから狐どもを叩き殺すためにクワを掴みました。
さて、そのような珍妙な出で立ちを訝しんだのは茂兵衛の母であります。
彼女は病床から起き上がり、「山にいる格好で畑仕事をするのかえ?」と聞きました。
「違うよおっかぁ。村の作物という作物を盗みやがる盗人狐と泥棒狸どもを一網打尽にしてやるんだ」
茂兵衛がそう説明すると彼の母はカッと怒りました。
「やめなさいやめなさい。彼らかて生きているのです。生きていればお腹が空くのです。私たちが後から移住してきたのですから、先人である狐と狸に敬意を払おうではありませぬか」
母かそう説得しましたが茂兵衛は聞きませぬ。
「これはな。おっかぁのためでもあるんだ。食べ物が無いとおっかぁは冬を越せねぇ。もう一度作物を植えてもな、きっとまた狐たちに食われちまわなぁ。だからな、だからな、俺ぁ奴らを一匹残らず殺してやらにゃならんのだ」
そう言って茂兵衛は母の制止も聞かずに家を飛び出ました。
山の麓には村の男衆が集まっております。
彼らは茂兵衛を待っていました。
「遅いぞ」と言い、茂兵衛も「あいやすまぬすまぬ」と謝ります。
さてそれでは山狩りに行こうか。
男たちが山へ向かおうとしたその時、山の茂みから鞠が一つポーンポーンと飛び出て来ます。
はて? なんであろうか?
男たちが鞠に目を見やっておると、鞠を追って一人の子供が茂みから現れました。
その子供というのがまた奇妙な出で立ちであります。
歯の高い一本下駄。
薄桃の生地に夏草の模様が描かれた上等な着物。
おカッパ頭に突き刺すような鋭い目の童子なのです。
はて? あのような童子が村におっただろうか?
男たちが奇妙に思っていると、茂兵衛の足もとに転がった鞠を童子が拾います。
「森に入るのはやめなされ」
童子が鋭い目で男たち突き刺すように言いやります。
その目があまりにも鋭いので男たちは反論できません。
「森にはたくさんの生き物がおりますじゃて、この生き物はみぃんな人間を嫌っとる。キツネやタヌキだけじゃありゃせんぞ、イノシシやクマだってお前たちのことを嫌っとるんじゃてな」
森に入ればたちまち皆殺しじゃ。
鋭い目でそのように脅されると男たちはブルりと震え上がりました。
この童子はただの童子にあらず。
ともすれば山の怪かもしれぬ。
おおくわばらくわばら。
こんな怪しい童子に楯突いて呪われでもしたら事だぞ。
男たちは童子に恐れて山狩りをやめようかとしました。
ですが茂兵衛は納得しません。
「俺には病気のおっかぁがおるでな。山狩りするなと言われても作物を獣どもに食われるのならおっかぁは死ぬしか無いじゃないか」
茂兵衛がそのように食ってかかると、男たちは茂兵衛をなだめます。
童子を恐れて、「何か祟られたらどうするのだ」と茂兵衛を抑えたのです。
すると童子は「ではキツネやタヌキが作物を荒らさぬ方法を教えてやろうかのう」と言います。
これには男たちも耳を傾けました。
童子が言うには宴を開くように言います。
夜を徹して宴を開き、鼓(つつみ)を鳴らし、歌い、笑い、踊るのだと。
きっと狐や狸は楽しそうな声に誘われて、山から村へ降りてくるだろう。
そうしたら酒をうんとたくさん山に向かって捧げるのだ。
きっと狐や狸は油断して、その酒を飲むことだろう。
そして酔っ払うことだろう。
「じゃが、そのキツネやタヌキを殺してはならぬ。キツネやタヌキが二日酔いで山に帰れば、きっともう村の作物を奪いには来ないじゃろうて」
童子はそう言うと鞠を抱えて山に向かって歩きだします。
男たちは「本当にそんなことで獣が畑を荒らさなくなるのだろうか?」と半信半疑でした。
「おお、そうじゃ」
ふっと童子が足を止め、振り向きます。
「獣が村に寄り付かなんだら、今まで以上に畑仕事へ精を出すのじゃ。そしてたくさん取れた作物をな、作物をな、土地神のお陰と思うて山の洞(うろ)に捧げるのじゃな」
童子はニヤリと笑うて山に向かって行きました。
カラーンコローン、カラーンコローンと一本下駄の歯が小気味良く鳴ります。
カラーンコローン。
カラーンコローン——
童子が山に姿を消すと、たちまち下駄の音は止みました。
ピタッと止まったものですから男たちは「それ見たことか! きっと山の怪であるぞ!」と震え上がります。
「いやいや! あの童子はこの土地の神様じゃ! 獣の狼藉を見かねてワシらを助けてくれようとしとる!」とも騒ぎました。
それじゃあ一つ、とりあえずは童子の言う通りにしようではないか。
果たして狐や狸が畑に来なくなれば、あの童子を土地神として信じようではないか。
村の人々はそう結論付けて、その夜さっそく祭りを開きます。
木を組んで櫓にして、高く高く火を燃え上がらせました。
鼓を叩いて歌を口にし、皆で踊ります。
そのような騒ぎは山にまで届きました。
「なんだなんだ。どうしたのだ?」
狐や狸たちが集まって山から村を見下ろします。
人間たちが何とも楽しそうにしているじゃありませんか。
アイツら食べ物を盗まれたのに、なぜ楽しそうにしているのだ?
狐と狸は小首を傾げました。
もしかして、何か新しい食べ物でも見つけたんじゃないか?
それで喜んでいるのだろうか。
「ここからだと遠くて分からないなぁ」と狐の一匹が言いました。
「もっと近付いて見てみようぜ」と狸の一匹が言います。
「ちょいとお待ちなさいよ。皆で行ったら見つかっちまう。ここはあたしと五狸が偵察に行こうじゃないか」
狐利が言うと皆も「確かにそうだ」と頷きました。
そこで狐利と五狸は山を降りて人間の村へ入り込みます。
夜の闇に紛れて村の中を一通り見てみましたが、特に何か食べ物があるように思えません。
代わりに人間達が何かを飲んでいるの気付きました。
「あれはなんだろう? 水だろうか?」
五狸が家の影から人間を見て考えます。
「ただの水じゃないだろう。何せあんなに幸せそうじゃないかい」
狐利が答えました。
うーん。飲んでみたい。
人間達がその水を飲んで楽しそうにしているものですから、狐利と五狸はどんな味がするのだろうか興味津々でした。
すると、人間たちはその不思議な水の入った桶を山の麓に運んで積み上げます。
「神様。神様。あなたの言う通りにするでな、どうか獣から我らの村を守ってくだせえ」
そう頼み込むと、再び村に戻って騒ぎ出しました。
これは味見する絶好の好機が来たぞ。
二匹はサササと闇の中を走り、積まれた桶に飛び乗りました。
蓋を鼻先でぐいと押せば、カランカランと小気味良い音を立てて蓋は落ちます。
中には澄んだ水がたっぷりと入っていました。
クンクン。
「わあ。甘い匂いがするぞ」
五狸がクンクンクンクンと匂いを嗅いでいると、狐利も「堪らないよ。飲んでみましょう」と長い口を桶に突っ込みました。
「ああズルいぞ。オラも飲んでやろう」
五狸も顔を桶に突っ込んで、ガブガブと酒を飲みます。
その水はとても甘く、二匹は驚きました。
ああ、なんて甘くて美味しいのだろう!
それはもう夢中でガブガブガブガブ飲みました。
ところがどうしたことでしょう。
やがて世界がぐるぐる回りだしました。
「なあ狐利よい。なあ狐利よい。オラぁなんだか世界がぐるぐる回って来たぞ」
「まあ、奇遇ね。あたしもぐるぐる回ってとても楽しいのよ」
「そうかいそうかい。オラもなんだか愉快だ。愉快だ」
ワハハと大笑いしながら、二匹は桶の上からズデンと落ちてしまいます。
そのままガアガアといびきを立てて寝入ってしまったのでした。
——それから夜も明けて、村人たちは朝日に照らされる空の桶と一緒に狐と狸を見つけます。
「おお、こいつら二匹でよく飲んだものだなぁ」
村人達は狐利と五狸のみごとな鯨飲(げいいん)ぶりに関心しました。
「さて、これでアイツらを見送ってやれば良いのだな」
茂兵衛が呟くと村人達も頷いて、二匹がどうなるか見守ります。
やがて五狸が目を覚ましました。
そして、人間達が村から自分たちを見ていることに気付くと「おい、狐利、狐利。はよう起きろ」と狐利を揺らします。
「うぅん。もう少し寝させておくれよ」
狐利ときたら寝ぼけているのでしょうか。
いつもはしっかり者だというのに、呑気にアクビなんぞしているのです。
「人間どもが見ているぞ! このままじゃ狸鍋にされて食われちまうよ!」
五狸に急かされて狐利はゆっくりと立ち上がりました。
「そんなに押さないでおくれよ。ああ、とても気持ちが悪いわ」
ふらふらと歩く狐利を、やっぱりふらふらとしている五狸が支えながら「早く逃げよう。早く逃げよう」と山に向かいます。
ふらふら帰っていく二匹を見ると、村人達はわっと笑いました。
「狐と狸で『もう狐狸狐狸(こりごり)』とな!」
誰かの言葉にワハハともっと笑い声が上がるのでした。
そんな笑い声を背に狐利と五狸は山を登っていきます。
仲間の狐と狸が、「どうだった?」と姿を見せました。
狐利はたらふく飲んだ酒をゲェゲェ吐き出して「気持ち悪いわ。まるで地震が起こってるみたい」と答えて突っ伏します。
五狸も気持ち悪そうに呻くと「人間どもは恐ろしい。アレは毒だ。毒をぐいぐい飲んどるのだ」、ぶるりと身震いさせて近くの木にもたれるのです。
これは危険じゃないか。
仲間たちは土地神様に助けを乞おうと急いで洞穴に行きました。
そこで狐利と五狸を助けて欲しいとお願いすると『では川に連れていき、うんと水を飲ませなされ』と答えが帰ってきました。
狐と狸は狐利と五狸を川に連れていきました。
五狸はガブガブと水を飲むと「土地神様の言う通りだった。人間なんぞに関わるものじゃない」と言います。
狐利もまた「あんな毒をぐいぐい飲める人間の食べ物なんて怖くて食べられたもんじゃないさね」と言うのです。
そんな二匹の様子を見た仲間たちはすっかり肝を冷やしました。
土地神様の言う通りにしよう。
大人しく生きていこう。
狐と狸はそう思ったのでした。
だから人間達は狐や狸にもう畑を荒らされる心配はありません。
それから翌日になっても、翌々日になっても、狐や狸にもう畑を荒らされないので「あの童子は神様だったに相違あるまい」と村の人たちは思いました。
「俺たちゃ神様に護って貰えてるんだ。だから約束通り、うんとたくさんの作物を作らにゃならねぇぞ」
村の人達は畑を耕し、一生懸命に作物を育てます。
そうして夏の終わりには冬越しに必要か作物よりもずっとたくさんの作物が採れたのです。
村人達は土地神のお陰だと、約束通り余計に採れた作物を山の洞(うろ)に運びました。
それから洞(うろ)に鳥居を建てて、心の底から感謝を捧げたのです。
「これからもどうぞ俺たちを護ってくだせえ。おっかぁを護ってくだせえ」
茂兵衛はそうお願いすると村人達と一緒に山を降りました。
そこにはたくさんの作物だけが残ります。
『うんうん。山の者と里の者、両方から信仰されるとはとてもありがたし』
洞穴の神様は喜んでいました。
神様には信仰が一番大事なのかもしれません。
この土地神は狐や狸から信仰を受けて、オマケに人間からも信仰されました。
神様はとても満足です。
全部、神様の思い描いた通りなのでした。
ふふふと思わず笑っていると、神様は茂みから洞穴を見る者に気づきます。
『そこで見ておらんでちこう寄るが良い。どうせワシは物を食べる口が無いのじゃて。だからこれはお主らの物なのじゃよ』
神様がそういうと、茂みの中から次々と狐と狸が現れます。
狐利が不安げに「人間の食べ物でしょう。きっと毒かも知れませんよ」と聞きました。
すると神様は優しげな声で答えます。
『大丈夫じゃ。大丈夫。この捧げ物はな、大丈夫なんじゃよ』
神様が言うのならばと、狐と狸は人間の捧げ物を腹いっぱいに食べました。
冬の前にたっぷりと脂肪を蓄えるのです。
これからは人間達が毎年、山に捧げ物をたくさん添えるから、きっと狐と狸は争わないで済むでしょう。
きっとそうなるでしょう。
「良かったな。狐利」
五狸が言うと狐利も頷きました。
「良かったね。五狸」
きっとこの山の狐と狸はずっと仲睦まじく生きていくことでしょう。
狐利は美しく賢い狐で、五狸は逞しく優しい狸です。
彼らは友達でこれがよく小さい頃から遊んだものであります。
だけれど彼らには悩みがありました。
最近、狐と狸が喧嘩を始めてしまったのです。
二匹は友達だったから、自分たちの種族が喧嘩をするのをとても悲しく思ったのです。
だけれど仕方ない喧嘩でした。
元々、狐は山に暮らし、狸は麓の湿原で暮らしていました。
両者は互いの縄張りを守っていたから、昔は争いなんて無かったのです。
だけど今は人間たちが「こりゃ水田を作るに都合良い」なんて狸を追い出して湿原を開拓してしまったのですから困ったものです。
狸は山に逃げ込んで、狐と食べ物のとりあいを始めてしまったのです。
狐は縄張りに侵入してきたのは狸なのだから狸が飢え死にしろと言いました。
でも狸も引き下がれません。
人間に縄張りを追い出されて棲む場所も無いのだから食べ物くらい恵んでくれても良いじゃないかと主張したのです。
このままではどうなるか分かりません。
狐利と五狸は心を痛め、何とかできないかと話し合いました。
ですが、それでもどうすれば良いのか分かりません。
五狸は言います。
「そもそも悪いのは人間じゃあないのかね。先にオラ達の縄張りへ侵入してきたのは人間なのだ」
狐利も頷きました。
「全くもってその通り。悪いのは人間なのにあたし達が争うのはおかしいことさね」
二匹は人間を追い出して土地を奪い返そうと計画します。
だけど人間はとても恐ろしい猛獣です。
うかつに近付くとむしろ殺されて食べられてしまうのです。
うんうんと頭を捻って考えましたがどうすれば良いのか分かりませんでした。
「頭のいい狐利が分からんじゃ、オラにも誰にも解決しようが無いのかもしれんなぁ」
五狸がそう諦めたのですが狐利は「あいや。お待ちなさいよ。確かにあたしでもどうしたら分からないけれどね、それならもっと賢い者に相談しようじゃゃないかい」と提案しました。
五狸は狐利よりもっと賢い者とは何者かと聞きます。
「神様さ」
狐利と五狸は山にある小さな洞穴に向かいました。
その洞穴には山のどんな生き物も近付きません。
なぜならこの土地の神様が住んでいるからです。
洞穴はそんなに深くありません。
入口から奥が見えるだけの窪みのような洞穴です。
その洞穴の前で二匹は「神様。神様。どうか人間を追い出す方法を教えてくださいな」と頼みました。
するとどうでしょうか、洞穴から声が聞こえてきます。
『狐利と五狸よ。人間に手を出すのはおやめなされ』
その声は神様の声でした。
神様が言うには人間はとても恐ろしい猛獣なのですから手を出すべきではないと言うのです。
「人間がそら恐ろしいのは分かっております。ですがこのままだと狐も狸も争いを起こしてしまうのです」
二匹がそう訴えると神様は少し悩んでから『では、なぜ狐と狸が争うことになるのか考えなさい』と言いました。
「食べ物がないからです」
二匹が答えると『では夜のうち人間から食べ物を奪いなさい。それを皆で分け合うのじゃ』と神様は答えます。
なるほど確かに、人間を追い出す必要はありません。
むしろ人間は自然の食べ物よりずっとたくさんあるのです。
二匹が良い案では無いかと喜ぶと神様は『くれぐれも余計な欲を出すのはやめなさい』と釘を刺しました。
『人間は恐ろしいのじゃよ』
神様は人間に近付くべきでは無いと本音は思います。
でも二匹の頼みから仕方なく人間の食べ物を盗むよう提案したのでした。
二匹は神様の言う通りにしました。
日がとっぷり暮れると二匹の瞳が大きく開いて闇の中を見えるようにします。
人間は夜の闇が苦手でした。
日が暮れると眠りにつきます。
その間に二匹は畑の土を掘り起こし、稲の実を貪りました。
作物を山に引きずり、隠したのです。
そうして翌朝、二匹は狐と狸の仲間たちに隠した作物を教えました。
仲間たちは喜んで作物を食べます。
でも仲間たち全員に作物を行き渡らせるには足りませんでした。
むしろ、狐利と五狸が盗んできた作物をめぐって喧嘩になりそうになります。
「キツネ達には縄張りの食べ物があるだろう。これは人間に縄張りを追われた我らのものだで」
狸がそう主張すれば狐も「タヌキ達は我らの縄張りを犯したのだから詫びにこれを譲れ」と主張したのであります。
せっかく人間の食べ物を盗んできたのにまた喧嘩になりそうなのです。
狐利と五狸はまだまだ食べ物が足りなかったのだと思いました。
それで、毎晩毎晩、人間の畑からうんとたくさんの作物を盗みました。
その量ときたら狐も狸の一匹にまで至ります。
わあなんてたくさんの食べ物だ。
狐利と五狸のおかげだ。
狐と狸は喜びました。
これでもう安心。
狐利と五狸は安堵します。
食べ物が足りなくなったら人間から奪ってしまおう。
他の狐や狸もそう言いました。
これでもうめでたしめでたし。
狐や狸たちはそう思います。
でも人間たちはそういきませんでした。
人間たちは畑という畑が全部掘り返されたのを見て、とても驚きます。
そしてとても怒りに震えました。
村の男に茂兵衛という男がいました。
彼には病弱な母がいて、採れる作物が無いと母は冬が越せないと思います。
畑に狐と狸の足跡を見つけた茂兵衛はたいそう怒り、「盗人狐と泥棒狸め。一匹残らず始末してやらねばならぬ」と村の者たちに語った。
おおそうだ。
きっと根絶やしにせねば我らが死ぬぞ。
そのように村の者たちも同調しました。
さっそく山狩りをしようということになり茂兵衛は家に帰ります。
山に入るため、足袋を履いて笠を着て、それから狐どもを叩き殺すためにクワを掴みました。
さて、そのような珍妙な出で立ちを訝しんだのは茂兵衛の母であります。
彼女は病床から起き上がり、「山にいる格好で畑仕事をするのかえ?」と聞きました。
「違うよおっかぁ。村の作物という作物を盗みやがる盗人狐と泥棒狸どもを一網打尽にしてやるんだ」
茂兵衛がそう説明すると彼の母はカッと怒りました。
「やめなさいやめなさい。彼らかて生きているのです。生きていればお腹が空くのです。私たちが後から移住してきたのですから、先人である狐と狸に敬意を払おうではありませぬか」
母かそう説得しましたが茂兵衛は聞きませぬ。
「これはな。おっかぁのためでもあるんだ。食べ物が無いとおっかぁは冬を越せねぇ。もう一度作物を植えてもな、きっとまた狐たちに食われちまわなぁ。だからな、だからな、俺ぁ奴らを一匹残らず殺してやらにゃならんのだ」
そう言って茂兵衛は母の制止も聞かずに家を飛び出ました。
山の麓には村の男衆が集まっております。
彼らは茂兵衛を待っていました。
「遅いぞ」と言い、茂兵衛も「あいやすまぬすまぬ」と謝ります。
さてそれでは山狩りに行こうか。
男たちが山へ向かおうとしたその時、山の茂みから鞠が一つポーンポーンと飛び出て来ます。
はて? なんであろうか?
男たちが鞠に目を見やっておると、鞠を追って一人の子供が茂みから現れました。
その子供というのがまた奇妙な出で立ちであります。
歯の高い一本下駄。
薄桃の生地に夏草の模様が描かれた上等な着物。
おカッパ頭に突き刺すような鋭い目の童子なのです。
はて? あのような童子が村におっただろうか?
男たちが奇妙に思っていると、茂兵衛の足もとに転がった鞠を童子が拾います。
「森に入るのはやめなされ」
童子が鋭い目で男たち突き刺すように言いやります。
その目があまりにも鋭いので男たちは反論できません。
「森にはたくさんの生き物がおりますじゃて、この生き物はみぃんな人間を嫌っとる。キツネやタヌキだけじゃありゃせんぞ、イノシシやクマだってお前たちのことを嫌っとるんじゃてな」
森に入ればたちまち皆殺しじゃ。
鋭い目でそのように脅されると男たちはブルりと震え上がりました。
この童子はただの童子にあらず。
ともすれば山の怪かもしれぬ。
おおくわばらくわばら。
こんな怪しい童子に楯突いて呪われでもしたら事だぞ。
男たちは童子に恐れて山狩りをやめようかとしました。
ですが茂兵衛は納得しません。
「俺には病気のおっかぁがおるでな。山狩りするなと言われても作物を獣どもに食われるのならおっかぁは死ぬしか無いじゃないか」
茂兵衛がそのように食ってかかると、男たちは茂兵衛をなだめます。
童子を恐れて、「何か祟られたらどうするのだ」と茂兵衛を抑えたのです。
すると童子は「ではキツネやタヌキが作物を荒らさぬ方法を教えてやろうかのう」と言います。
これには男たちも耳を傾けました。
童子が言うには宴を開くように言います。
夜を徹して宴を開き、鼓(つつみ)を鳴らし、歌い、笑い、踊るのだと。
きっと狐や狸は楽しそうな声に誘われて、山から村へ降りてくるだろう。
そうしたら酒をうんとたくさん山に向かって捧げるのだ。
きっと狐や狸は油断して、その酒を飲むことだろう。
そして酔っ払うことだろう。
「じゃが、そのキツネやタヌキを殺してはならぬ。キツネやタヌキが二日酔いで山に帰れば、きっともう村の作物を奪いには来ないじゃろうて」
童子はそう言うと鞠を抱えて山に向かって歩きだします。
男たちは「本当にそんなことで獣が畑を荒らさなくなるのだろうか?」と半信半疑でした。
「おお、そうじゃ」
ふっと童子が足を止め、振り向きます。
「獣が村に寄り付かなんだら、今まで以上に畑仕事へ精を出すのじゃ。そしてたくさん取れた作物をな、作物をな、土地神のお陰と思うて山の洞(うろ)に捧げるのじゃな」
童子はニヤリと笑うて山に向かって行きました。
カラーンコローン、カラーンコローンと一本下駄の歯が小気味良く鳴ります。
カラーンコローン。
カラーンコローン——
童子が山に姿を消すと、たちまち下駄の音は止みました。
ピタッと止まったものですから男たちは「それ見たことか! きっと山の怪であるぞ!」と震え上がります。
「いやいや! あの童子はこの土地の神様じゃ! 獣の狼藉を見かねてワシらを助けてくれようとしとる!」とも騒ぎました。
それじゃあ一つ、とりあえずは童子の言う通りにしようではないか。
果たして狐や狸が畑に来なくなれば、あの童子を土地神として信じようではないか。
村の人々はそう結論付けて、その夜さっそく祭りを開きます。
木を組んで櫓にして、高く高く火を燃え上がらせました。
鼓を叩いて歌を口にし、皆で踊ります。
そのような騒ぎは山にまで届きました。
「なんだなんだ。どうしたのだ?」
狐や狸たちが集まって山から村を見下ろします。
人間たちが何とも楽しそうにしているじゃありませんか。
アイツら食べ物を盗まれたのに、なぜ楽しそうにしているのだ?
狐と狸は小首を傾げました。
もしかして、何か新しい食べ物でも見つけたんじゃないか?
それで喜んでいるのだろうか。
「ここからだと遠くて分からないなぁ」と狐の一匹が言いました。
「もっと近付いて見てみようぜ」と狸の一匹が言います。
「ちょいとお待ちなさいよ。皆で行ったら見つかっちまう。ここはあたしと五狸が偵察に行こうじゃないか」
狐利が言うと皆も「確かにそうだ」と頷きました。
そこで狐利と五狸は山を降りて人間の村へ入り込みます。
夜の闇に紛れて村の中を一通り見てみましたが、特に何か食べ物があるように思えません。
代わりに人間達が何かを飲んでいるの気付きました。
「あれはなんだろう? 水だろうか?」
五狸が家の影から人間を見て考えます。
「ただの水じゃないだろう。何せあんなに幸せそうじゃないかい」
狐利が答えました。
うーん。飲んでみたい。
人間達がその水を飲んで楽しそうにしているものですから、狐利と五狸はどんな味がするのだろうか興味津々でした。
すると、人間たちはその不思議な水の入った桶を山の麓に運んで積み上げます。
「神様。神様。あなたの言う通りにするでな、どうか獣から我らの村を守ってくだせえ」
そう頼み込むと、再び村に戻って騒ぎ出しました。
これは味見する絶好の好機が来たぞ。
二匹はサササと闇の中を走り、積まれた桶に飛び乗りました。
蓋を鼻先でぐいと押せば、カランカランと小気味良い音を立てて蓋は落ちます。
中には澄んだ水がたっぷりと入っていました。
クンクン。
「わあ。甘い匂いがするぞ」
五狸がクンクンクンクンと匂いを嗅いでいると、狐利も「堪らないよ。飲んでみましょう」と長い口を桶に突っ込みました。
「ああズルいぞ。オラも飲んでやろう」
五狸も顔を桶に突っ込んで、ガブガブと酒を飲みます。
その水はとても甘く、二匹は驚きました。
ああ、なんて甘くて美味しいのだろう!
それはもう夢中でガブガブガブガブ飲みました。
ところがどうしたことでしょう。
やがて世界がぐるぐる回りだしました。
「なあ狐利よい。なあ狐利よい。オラぁなんだか世界がぐるぐる回って来たぞ」
「まあ、奇遇ね。あたしもぐるぐる回ってとても楽しいのよ」
「そうかいそうかい。オラもなんだか愉快だ。愉快だ」
ワハハと大笑いしながら、二匹は桶の上からズデンと落ちてしまいます。
そのままガアガアといびきを立てて寝入ってしまったのでした。
——それから夜も明けて、村人たちは朝日に照らされる空の桶と一緒に狐と狸を見つけます。
「おお、こいつら二匹でよく飲んだものだなぁ」
村人達は狐利と五狸のみごとな鯨飲(げいいん)ぶりに関心しました。
「さて、これでアイツらを見送ってやれば良いのだな」
茂兵衛が呟くと村人達も頷いて、二匹がどうなるか見守ります。
やがて五狸が目を覚ましました。
そして、人間達が村から自分たちを見ていることに気付くと「おい、狐利、狐利。はよう起きろ」と狐利を揺らします。
「うぅん。もう少し寝させておくれよ」
狐利ときたら寝ぼけているのでしょうか。
いつもはしっかり者だというのに、呑気にアクビなんぞしているのです。
「人間どもが見ているぞ! このままじゃ狸鍋にされて食われちまうよ!」
五狸に急かされて狐利はゆっくりと立ち上がりました。
「そんなに押さないでおくれよ。ああ、とても気持ちが悪いわ」
ふらふらと歩く狐利を、やっぱりふらふらとしている五狸が支えながら「早く逃げよう。早く逃げよう」と山に向かいます。
ふらふら帰っていく二匹を見ると、村人達はわっと笑いました。
「狐と狸で『もう狐狸狐狸(こりごり)』とな!」
誰かの言葉にワハハともっと笑い声が上がるのでした。
そんな笑い声を背に狐利と五狸は山を登っていきます。
仲間の狐と狸が、「どうだった?」と姿を見せました。
狐利はたらふく飲んだ酒をゲェゲェ吐き出して「気持ち悪いわ。まるで地震が起こってるみたい」と答えて突っ伏します。
五狸も気持ち悪そうに呻くと「人間どもは恐ろしい。アレは毒だ。毒をぐいぐい飲んどるのだ」、ぶるりと身震いさせて近くの木にもたれるのです。
これは危険じゃないか。
仲間たちは土地神様に助けを乞おうと急いで洞穴に行きました。
そこで狐利と五狸を助けて欲しいとお願いすると『では川に連れていき、うんと水を飲ませなされ』と答えが帰ってきました。
狐と狸は狐利と五狸を川に連れていきました。
五狸はガブガブと水を飲むと「土地神様の言う通りだった。人間なんぞに関わるものじゃない」と言います。
狐利もまた「あんな毒をぐいぐい飲める人間の食べ物なんて怖くて食べられたもんじゃないさね」と言うのです。
そんな二匹の様子を見た仲間たちはすっかり肝を冷やしました。
土地神様の言う通りにしよう。
大人しく生きていこう。
狐と狸はそう思ったのでした。
だから人間達は狐や狸にもう畑を荒らされる心配はありません。
それから翌日になっても、翌々日になっても、狐や狸にもう畑を荒らされないので「あの童子は神様だったに相違あるまい」と村の人たちは思いました。
「俺たちゃ神様に護って貰えてるんだ。だから約束通り、うんとたくさんの作物を作らにゃならねぇぞ」
村の人達は畑を耕し、一生懸命に作物を育てます。
そうして夏の終わりには冬越しに必要か作物よりもずっとたくさんの作物が採れたのです。
村人達は土地神のお陰だと、約束通り余計に採れた作物を山の洞(うろ)に運びました。
それから洞(うろ)に鳥居を建てて、心の底から感謝を捧げたのです。
「これからもどうぞ俺たちを護ってくだせえ。おっかぁを護ってくだせえ」
茂兵衛はそうお願いすると村人達と一緒に山を降りました。
そこにはたくさんの作物だけが残ります。
『うんうん。山の者と里の者、両方から信仰されるとはとてもありがたし』
洞穴の神様は喜んでいました。
神様には信仰が一番大事なのかもしれません。
この土地神は狐や狸から信仰を受けて、オマケに人間からも信仰されました。
神様はとても満足です。
全部、神様の思い描いた通りなのでした。
ふふふと思わず笑っていると、神様は茂みから洞穴を見る者に気づきます。
『そこで見ておらんでちこう寄るが良い。どうせワシは物を食べる口が無いのじゃて。だからこれはお主らの物なのじゃよ』
神様がそういうと、茂みの中から次々と狐と狸が現れます。
狐利が不安げに「人間の食べ物でしょう。きっと毒かも知れませんよ」と聞きました。
すると神様は優しげな声で答えます。
『大丈夫じゃ。大丈夫。この捧げ物はな、大丈夫なんじゃよ』
神様が言うのならばと、狐と狸は人間の捧げ物を腹いっぱいに食べました。
冬の前にたっぷりと脂肪を蓄えるのです。
これからは人間達が毎年、山に捧げ物をたくさん添えるから、きっと狐と狸は争わないで済むでしょう。
きっとそうなるでしょう。
「良かったな。狐利」
五狸が言うと狐利も頷きました。
「良かったね。五狸」
きっとこの山の狐と狸はずっと仲睦まじく生きていくことでしょう。
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