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閑話休題
皇太子 ウィンストン・マース・ヴァルマ 終
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ブライトルが男性を選んだのは偶然だろうけど、どこかでホッとした部分があったかもしれない。これで私と対立しなくてもいいのだ、と。
我が国は同性同士での婚姻を許可している。移民が多く、他国との貿易を主な産業にしている以上、柔軟な対応を必要とする場面が多々あるからだ。海外には我が国以上に同性同士の婚姻に前向きな国もあるくらいだ。
ニュドニア国などからやってきて、我が国で婚姻する者もいて、それくらいトーカシア国での同性同士の婚姻は日常になってきている。
しかし、それはあくまで市井での話だ。彼は、第一人者になろうとしているのだ。
ブライトルがトーカシアの大使としてニュドニア国に戻ることが決まった日、彼をお茶に誘った。喜んで、なんて答えていたけれど、当然こちらの目論見は分かっていて乗ってくれたのだろう。
私の私室の近くの庭に冷えたティーセットを用意させる。茶葉はあえてニュドニア国産の物を選んだ。
お互いに一口ずつ飲んで、私たちは見事に正反対の反応をする。
「なるほど……」
「兄上ありがとうざいます。ニュドニア国産のものですね。……彼を思い出します」
「お前通好みだとは知らなかったな」
「仕方ないでしょう。五年近くも話す機会がありませんでしたからね……」
「そうだな」
独特の苦みに表情を崩すことはしなかったけれど、私には合わない味だ。喉を通った冷たさに、ほんのりと渇きが癒えただけだった。
話せずにいた期間を覚えていたんだな、と言うのは野暮と言うものだろう。もう一口喉へ流すと、グラスをテーブルへ戻す。
「ブライトル。前置きは止めておこう。――今回のこと、何がお前をここまでさせた?」
「兄上。何? とは?」
「私にまでその顔は止めなさい。気付いていないはずがないだろう」
丁寧で爽やかさを感じる笑みは、あっという間に消え失せる。「それは残念」と肩を竦める様子がとても大げさで、ニュドニア国での一年半ほどの生活がどれだけ彼にとって大きかったのかを知る。
「理由、は上げればきりがないんです」
「きりがない、か。長くなりそうだな?」
「全部は言いませんよ。勿体ないでしょう?」
「私にはサマンサがいるが……」
「そういう問題ではないです。私が嫌なので」
やけに子供っぽい言い分に、間をおいて笑いがこみ上げてくる。ふ、ふはは、と笑い出したのをブライトルが困ったように見てきた。口元を軽く押さえて弟を見る。
「兄上?」
「お前は、そんな人間だったんだなぁ」
「……そうですね。こんな人間だったようです」
「後悔はしないか? とても難しい選択をした自分を」
「するかもしれませんね」
「そうか」
「兄上は否定しないのですか?」
「いっそ後悔したいようにすら見えるからな」
表情の変化を表に出した途端に、性格も素直に出してくれた。
やはりどこか楽しそうな様子に、欠けていたブライトルの欠片が塞がっていくようだった。
「そうかもしれません。安全な道ばかり進んできたのに。あいつは、本当に思い通りにならなくて楽しいのですよ」
「困難が欲しいのか?」
ブライトルの私よりも柔らかい印象を与える目が少し遠くを見て、紅茶へ落ちる。瞳に熱がこもった。先ほどよりも丁寧な所作でグラスを運ぶ。
「いえ、そうではありません。彼が隣にいるだけで様々なことが彩られるという意味です。例えば、無難にできていたことはそれ以上に、困難ならば超えてみせようと、そう思えるのですよ。ただ私には、どうしてもエドマンドが必要だった、それだけの話です」
「女神に出会えたわけ、か」
「エドマンドは男性ですが、そうかもしれませんね。……父上や兄上のように」
ブライトルが小さく笑う。
女神、と言うのはこの国の伝承に出てくる女神トゥクワのことだ。トーカシア国を創った初代の王が愛したとされる美しい神で、初代は女神に出会ったことで国を興すことができたという内容だ。
そこから転じて、この国の男は素晴らしい伴侶を得たときに「自分の女神だ」と褒め称えることがある。
「珍しいですね。兄上がそんな例えを出すなんて」
「私もこの国の男の一人だ。エドマンドと言ったか。――会うのを楽しみにしている」
「はい、必ず。女神もかくやの美しさなので、お覚悟ください」
「自慢されてしまったな。でも私にはもう素晴らしい婚約者殿がいるからな」
「確かに、サマンサ様は全てが揃った方だ」
「そうだろう? 実はな。……一目惚れなんだ」
「はい?」
トーカシアのブルーと称される、父上譲りの兄弟揃いの青が丸く見開かれる。
「彼女は美しいだろう? それにユーモアがある。すぐに恋に落ちてしまってな。実は多少、無理を言って婚約者になってもらった」
「そうだったのですか……」
「うちの男性陣はどうやら一途な性格なようだ」
「その、ようですね」
「彼女の才覚や出自を視野に入れはしたが、結局のところ自分の心に従った。私へ臆せず物を言ってくれる、貴重な人だ」
はは! とブライトルが笑う。それは、初めて見る十六歳の少年の顔だった。きっと、これもかのご令孫のお陰なのだろう。
「張り合ってくれたのですか?」
「少し羨ましくなっただけさ」
「それは、自慢されてしまいましたね」
私は紅茶を飲み干す。初夏の清々しい風が首筋を撫でる。
「ブライトル」
「はい」
「私は、お前が苦手だった」
「存じております」
「そして、お前も私が苦手だったな」
「はい」
「何が苦手だったのだ?」
「そうですね……。最も理解に苦しんだのは、お膳立てされた道を歩むことを厭っていないように見えたことです」
「お前は嫌だったか」
「嫌、というほどでは。でも、自分で選ぶ道はどういうものなのか、と考えることはありました」
「難儀だな」
「本当に。――兄上、私は国王の器ではありません。人に支えられることに対して警戒心が強すぎるのです。だから、あの五年間はいかにうまく立ち回るかばかりを考えていたように思います。ニュドニア国に行って、初めて自分を手に入れた」
「お前は、自分をそのように考えていたのか……」
ブライトルは五年間苦しんでいたのだ。本人の能力が高いゆえに深刻なことにはならなかったとしても、彼はあの生活に苦痛を感じる瞬間があったということだ。
これもまた正反対だった。私は公務も政務も勉強も訓練も何もかも全く疑問に思わなかった。それが当然であったし、仮に他の選択肢を選べたとしても迷うことなくこの道を進んでいたと断言できる。私にはそのために必要な全てが備わってもいた。
比べようもないから断言はできないけれど、ブライトルの方が国王になるための能力は高いかもしれない。でもこれは突き詰めればこの道が好きなのかどうか、という王族にあるまじき実に恵まれた答えに行きつくのかと思った。
「はい。確かに私は能力があるのでしょう。でも、それを使うことに疑問を持ってしまうのです」
「私はお前がよく分からなかった。だから苦手だったよ。でも、そうか。生まれた順番のせいなのか、性質のせいなのか」
「どちらもでしょう。私はこれが正しい形だと思っています」
「そうか。正直、安心した。話してくれてありがとう、ブライトル」
「兄上……はは!」
ブライトルが笑う。今度は少しガサツだった。
「そういうところですよ。俺……失礼しました。私は、貴方を尊敬しています。私は貴方にはなれませんし、逆もきっと。だから私はエドマンドを愛したのだと思います」
「ほぅ? お前の本来の一人称はそれ、か。いいことを知った。かのご令孫は知っているのか?」
「さぁ? どうでしょうね」
「ふっ。勿体ない、か?」
「ふふ、そうしておきます」
「――私たちは、たまたまではなく、なるべくしてなった、ということか」
「はい、恐らく」
「そうか……」
肩から力が抜ける。この国を愛している自分に胸を張れると分かった。弟を正面から見ることができた。彼の知らなかった部分を知ることができた。
お互いのグラスはすでに空っぽで、さっきまではなかった日差しを受けてテーブルクロスに影を落とす。飾りと化したテーブル中央の菓子に乗ったクリームが気温で少し溶けている。
私は遠くに控えていた侍女を視線で呼び寄せた。
「今日は話ができて良かった」
「私もです。ありがとうございます、兄上」
兄弟の時間が終わる。いや、始まったのかもしれない。五年の空白は、これからゆっくり埋めていけるだろう。彼の女神を含めて、新しい毎日を。
ブライトルが立ち上がり、礼を取る。一拍置いて私も席を立ち、近づいてきた侍女へ言った。
「政務へ戻る。紅茶はいつもの物を入れてくれ」
私の注文にブライトルがクスッと親し気に笑った。
我が国は同性同士での婚姻を許可している。移民が多く、他国との貿易を主な産業にしている以上、柔軟な対応を必要とする場面が多々あるからだ。海外には我が国以上に同性同士の婚姻に前向きな国もあるくらいだ。
ニュドニア国などからやってきて、我が国で婚姻する者もいて、それくらいトーカシア国での同性同士の婚姻は日常になってきている。
しかし、それはあくまで市井での話だ。彼は、第一人者になろうとしているのだ。
ブライトルがトーカシアの大使としてニュドニア国に戻ることが決まった日、彼をお茶に誘った。喜んで、なんて答えていたけれど、当然こちらの目論見は分かっていて乗ってくれたのだろう。
私の私室の近くの庭に冷えたティーセットを用意させる。茶葉はあえてニュドニア国産の物を選んだ。
お互いに一口ずつ飲んで、私たちは見事に正反対の反応をする。
「なるほど……」
「兄上ありがとうざいます。ニュドニア国産のものですね。……彼を思い出します」
「お前通好みだとは知らなかったな」
「仕方ないでしょう。五年近くも話す機会がありませんでしたからね……」
「そうだな」
独特の苦みに表情を崩すことはしなかったけれど、私には合わない味だ。喉を通った冷たさに、ほんのりと渇きが癒えただけだった。
話せずにいた期間を覚えていたんだな、と言うのは野暮と言うものだろう。もう一口喉へ流すと、グラスをテーブルへ戻す。
「ブライトル。前置きは止めておこう。――今回のこと、何がお前をここまでさせた?」
「兄上。何? とは?」
「私にまでその顔は止めなさい。気付いていないはずがないだろう」
丁寧で爽やかさを感じる笑みは、あっという間に消え失せる。「それは残念」と肩を竦める様子がとても大げさで、ニュドニア国での一年半ほどの生活がどれだけ彼にとって大きかったのかを知る。
「理由、は上げればきりがないんです」
「きりがない、か。長くなりそうだな?」
「全部は言いませんよ。勿体ないでしょう?」
「私にはサマンサがいるが……」
「そういう問題ではないです。私が嫌なので」
やけに子供っぽい言い分に、間をおいて笑いがこみ上げてくる。ふ、ふはは、と笑い出したのをブライトルが困ったように見てきた。口元を軽く押さえて弟を見る。
「兄上?」
「お前は、そんな人間だったんだなぁ」
「……そうですね。こんな人間だったようです」
「後悔はしないか? とても難しい選択をした自分を」
「するかもしれませんね」
「そうか」
「兄上は否定しないのですか?」
「いっそ後悔したいようにすら見えるからな」
表情の変化を表に出した途端に、性格も素直に出してくれた。
やはりどこか楽しそうな様子に、欠けていたブライトルの欠片が塞がっていくようだった。
「そうかもしれません。安全な道ばかり進んできたのに。あいつは、本当に思い通りにならなくて楽しいのですよ」
「困難が欲しいのか?」
ブライトルの私よりも柔らかい印象を与える目が少し遠くを見て、紅茶へ落ちる。瞳に熱がこもった。先ほどよりも丁寧な所作でグラスを運ぶ。
「いえ、そうではありません。彼が隣にいるだけで様々なことが彩られるという意味です。例えば、無難にできていたことはそれ以上に、困難ならば超えてみせようと、そう思えるのですよ。ただ私には、どうしてもエドマンドが必要だった、それだけの話です」
「女神に出会えたわけ、か」
「エドマンドは男性ですが、そうかもしれませんね。……父上や兄上のように」
ブライトルが小さく笑う。
女神、と言うのはこの国の伝承に出てくる女神トゥクワのことだ。トーカシア国を創った初代の王が愛したとされる美しい神で、初代は女神に出会ったことで国を興すことができたという内容だ。
そこから転じて、この国の男は素晴らしい伴侶を得たときに「自分の女神だ」と褒め称えることがある。
「珍しいですね。兄上がそんな例えを出すなんて」
「私もこの国の男の一人だ。エドマンドと言ったか。――会うのを楽しみにしている」
「はい、必ず。女神もかくやの美しさなので、お覚悟ください」
「自慢されてしまったな。でも私にはもう素晴らしい婚約者殿がいるからな」
「確かに、サマンサ様は全てが揃った方だ」
「そうだろう? 実はな。……一目惚れなんだ」
「はい?」
トーカシアのブルーと称される、父上譲りの兄弟揃いの青が丸く見開かれる。
「彼女は美しいだろう? それにユーモアがある。すぐに恋に落ちてしまってな。実は多少、無理を言って婚約者になってもらった」
「そうだったのですか……」
「うちの男性陣はどうやら一途な性格なようだ」
「その、ようですね」
「彼女の才覚や出自を視野に入れはしたが、結局のところ自分の心に従った。私へ臆せず物を言ってくれる、貴重な人だ」
はは! とブライトルが笑う。それは、初めて見る十六歳の少年の顔だった。きっと、これもかのご令孫のお陰なのだろう。
「張り合ってくれたのですか?」
「少し羨ましくなっただけさ」
「それは、自慢されてしまいましたね」
私は紅茶を飲み干す。初夏の清々しい風が首筋を撫でる。
「ブライトル」
「はい」
「私は、お前が苦手だった」
「存じております」
「そして、お前も私が苦手だったな」
「はい」
「何が苦手だったのだ?」
「そうですね……。最も理解に苦しんだのは、お膳立てされた道を歩むことを厭っていないように見えたことです」
「お前は嫌だったか」
「嫌、というほどでは。でも、自分で選ぶ道はどういうものなのか、と考えることはありました」
「難儀だな」
「本当に。――兄上、私は国王の器ではありません。人に支えられることに対して警戒心が強すぎるのです。だから、あの五年間はいかにうまく立ち回るかばかりを考えていたように思います。ニュドニア国に行って、初めて自分を手に入れた」
「お前は、自分をそのように考えていたのか……」
ブライトルは五年間苦しんでいたのだ。本人の能力が高いゆえに深刻なことにはならなかったとしても、彼はあの生活に苦痛を感じる瞬間があったということだ。
これもまた正反対だった。私は公務も政務も勉強も訓練も何もかも全く疑問に思わなかった。それが当然であったし、仮に他の選択肢を選べたとしても迷うことなくこの道を進んでいたと断言できる。私にはそのために必要な全てが備わってもいた。
比べようもないから断言はできないけれど、ブライトルの方が国王になるための能力は高いかもしれない。でもこれは突き詰めればこの道が好きなのかどうか、という王族にあるまじき実に恵まれた答えに行きつくのかと思った。
「はい。確かに私は能力があるのでしょう。でも、それを使うことに疑問を持ってしまうのです」
「私はお前がよく分からなかった。だから苦手だったよ。でも、そうか。生まれた順番のせいなのか、性質のせいなのか」
「どちらもでしょう。私はこれが正しい形だと思っています」
「そうか。正直、安心した。話してくれてありがとう、ブライトル」
「兄上……はは!」
ブライトルが笑う。今度は少しガサツだった。
「そういうところですよ。俺……失礼しました。私は、貴方を尊敬しています。私は貴方にはなれませんし、逆もきっと。だから私はエドマンドを愛したのだと思います」
「ほぅ? お前の本来の一人称はそれ、か。いいことを知った。かのご令孫は知っているのか?」
「さぁ? どうでしょうね」
「ふっ。勿体ない、か?」
「ふふ、そうしておきます」
「――私たちは、たまたまではなく、なるべくしてなった、ということか」
「はい、恐らく」
「そうか……」
肩から力が抜ける。この国を愛している自分に胸を張れると分かった。弟を正面から見ることができた。彼の知らなかった部分を知ることができた。
お互いのグラスはすでに空っぽで、さっきまではなかった日差しを受けてテーブルクロスに影を落とす。飾りと化したテーブル中央の菓子に乗ったクリームが気温で少し溶けている。
私は遠くに控えていた侍女を視線で呼び寄せた。
「今日は話ができて良かった」
「私もです。ありがとうございます、兄上」
兄弟の時間が終わる。いや、始まったのかもしれない。五年の空白は、これからゆっくり埋めていけるだろう。彼の女神を含めて、新しい毎日を。
ブライトルが立ち上がり、礼を取る。一拍置いて私も席を立ち、近づいてきた侍女へ言った。
「政務へ戻る。紅茶はいつもの物を入れてくれ」
私の注文にブライトルがクスッと親し気に笑った。
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