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第三章 運命なんて言葉じゃちょっと無理がある
三十、ブライトルの猛攻
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王女殿下に促されるままにソファーに座って正面に座った男を見る。間違いない。本人だ。
「お二人とも、ありがとうございます。本日来ていただいたのは、初陣を飾られるお二人にブライトル殿下をご紹介するためです」
「紹介? ですか?」
イアンの声には疑問が浮かんでいる。それもそうだろう。今さら紹介してもらう関係でもない。
「今回、私は使者としてニュドニア国を訪問させていただいている身だ。前回と違って余り自由がなくてね。――まずは、初陣おめでとう。健闘を祈っているよ」
「ありがとうございます」
僕とイアンは頭を下げた。
「それで本題だ。今回の私の任務はニュドニア国の総司令部にトーカシア代表として参加することだ」
僕は米神がピクリと動いたのを自覚した。それはつまり……。
「やっと議会で承認された。我がトーカシアは、今回の二国間の戦争においてニュドニア国を支援することが決定した」
曖昧な立場を貫いていたトーカシアが動いた……? どういうことだ? 『トイメトアの驚喜』の時点では、ブライトルはいなかったはずだ。ましてやトーカシアが参戦した描写は一切なかった。
内心で驚いている僕の目を見て、ブライトルが笑う。
「急なことで驚いているかと思うが、共にニュドニア国の勝利のために戦おう」
「心強いです。是非、共に戦わせてください」
「よろしくお願いします、ブライトル王子殿下」
僕らの方が立場が低いので、当然イアンと二人立ち上がって敬礼する。
「ああ、よろしく頼む」
ブライトルが王族の顔で僕らに座るよう促したとき、フルーリア王女がそっと声を上げた。
「あの……。こんなときにすみません。イアン、実は私、見ていただきたいものがあるのです。これから、一緒に来てくださいますか?」
「フルーリア王女?」
イアンが不思議そうな顔をする。僕も王女の顔を見る。
このまま四人で話でもするのかと、多分彼女以外の全員が思っていた。
「お二人とも、急な私の我が儘を聞いてくださいますか?」
王女が僕とブライトルを見ながら両手を組んでお願いポーズを取る。
僕への効果はバツグンだ……。
白旗を上げたまま、ブライトルに判断を仰ぐ。この場で決定権を持っているのは彼だ。
「勿論ですよ、フルーリア王女殿下。イアン、行っておいで」
「ブライトル殿下がそう仰るなら。イアン、王女殿下に失礼のないようにしてくれよ」
「え、あ、うん。それじゃあ、失礼します」
「ブライトル殿下、エド、ありがとうございます。さあ、イアン、行きましょう?」
どこか楽しそうなフルーリア王女は狼狽えるイアンを連れて出て行ってしまった。
彼女たちが出て行くと同時に何故か控えていた侍女も全て引き上げてしまって、完全にブライトルと二人きりになった。
「気を遣わせてしまったかな」
「ブライトル……?」
「久しぶりだな、エドマンド」
「あ、ああ……。いや、それよりどういうことだ」
「ん? 何がだ?」
「全部だ、全部。トーカシア国が我が国に付いてもほとんどメリットはないだろう……?」
僕は眉をひそめた。トーカシアはニュドニアよりは大きいものの、セイダルに比べたら小国の部類だ。
そもそも、三方が海に面したトーカシアは貿易を主な産業としている国で、ニュドニアよりも戦力的には低いくらいなんだ。
セイダルとしてはニュドニアでモカトを仕入れ、トーカシアで諸外国と取引をするのが最大の目的なはず。
表立ってニュドニアの味方などしては、セイダルにトーカシアへ攻め入るための大義名分を与えてしまう。
「せっかく中立を貫いていたのに、どうしていきなり?」
「まあ、色々あるんだよ。理由の一つは分かっているだろ?」
「イアンとグロリアスか? そうは言っても……」
「現状を打破出来た暁には、イアンのトーカシアへの留学が予定されている」
「ぁ……」
そういう事か! 頭の中でピースが繋がった。
実は、僕は原作を途中までしか読んでいない。二期の中盤までだ。
そして、イアンは二期で一時期だけトーカシアに行く。名目上は勉強のためだけど、本当は彼の安全のためだ。
どういうことかと言うと『トイメトアの驚喜』で武功を立てた若き英雄を狙う者が余りにも多かったと言う話だった。
取り入ろうとする者、利用しようとする者、もっと酷いと誘拐しようとする者もいた。これが国外だけならまだしも、むしろ内側に敵が多かったから厄介だった。
だからセイダルとの膠着状態の間、そして国内のイアンフィーバーが収まるまでの間、トーカシアに身を隠すのだ。
そこでまたブライトルが出てくるのだろうけど、僕は道中の戦闘シーンくらいまでしか読めなかった。
つまり、あのときイアンがトーカシアに行ったのはこの時点で決定事項だったということだ。
トーカシアには、何かしらニュドニアが勝つ確信でもあるのだろうか? だとしても、まるっきり描写がなかったのはどういう――。
「エドマンド、色々と考えているところ悪いんだが、そろそろいいかい?」
「あ、ああ。悪い。とりあえず、分かった。そっちにもメリットがあるのなら、納得がいく」
「俺も戦地に行きたかったけどな、さすがにそれはできそうにない」
「当たり前だろ? 王子殿下が何言っているんだ」
ブライトルが心底残念そうに言う。こんな情勢下だ。きっとここに来るまでもそれなりに大変だったはずなのに全く見せない。
「あんた、結構カッコつけたがるよな」
僕は苦笑した。そういうところが……。いや、何でもない、と心の中の自分に首を振る。
何と返してくるだろうかと待っても返事が無い。
改めて顔を見ると、彼は強張った顔でソファーの背もたれに深く背中を預けた。
「なるほど……」
「ブライトル……?」
「エドマンド」
「なんだ?」
「気付いているよな? 今、ここには俺とお前しかいない」
「ああ、そうだな? それがどうかしたか?」
全員下がってしまったのだから当然だ。
僕はともかくブライトルを一人にするのはどうかと思ったけど、信用されているのならそれは悪い気分じゃない。
彼がゆっくりと立ち上がって僕らの間に設置されていたローテーブルを回ってくる。
僕もソファーから立ち上がろうとしたのを手で制される。
「つまり俺は、ある程度は自分に戻れるんだ」
「何が言いたい?」
「どうした? か……」
「おい?」
僕の斜め前に立つとブライトルは上体を屈めた。右手が僕の左側の背もたれに置かれる。
ドッと心音が巨大な音を立てた。――ダメだ。
これはダメだ。予定外に顔が近い。
必死に無表情を作っているせいか、頭じゃなくて背中が熱い。
どうしよう。こんなことで指一本動かせなくなってしまった。下手に動いたらボロを出しそうだ。
「どうしたはこっちの言葉だな、エドマンド」
どんどん心音が酷くなる。呼吸を整えるのに必死でブライトルが何を言いたいのか全く分からない。
おかしい。前までならこんな距離、なんともなかった。
目を逸らすこともできずに、ジッと彼を見上げる。
「どうしてそんな顔で俺を見るんだ? 何がお前を変えた? ……まあ、大方イアンのせいなんだろうけどな」
「なん、の話だ」
「……俺は今機嫌が悪い」
「お、い……?」
「お前がそんな顔を簡単に見せるようになった原因がいるのが腹立たしい」
そんな顔……? 一体何の話をしているんだ? どんな顔をしていると言うんだ。怖くなって体が微かに震える。
「でも」
ブライトルが右手に体重をかける。距離が一層近くなった。左の親指が僕の唇に触れるか触れないかの位置をスッとなぞっていった。
唇を引き結んでしまった。ダメだ、もう……!
「喜んでもいる。――なあ? エドマンド? あまり無防備にそんな顔をするのは止めた方がいい。順番を間違えそうになる」
ブライトルはゆっくりと体を起こすと、さっき触れそうになった左の親指で自分の唇をなぞった。
僕はとうとう顔に熱が上ってしまったことを自覚した。
きっと僕は今、ものすごく情けない顔をしているに違いない。それだけは分かった。
「お二人とも、ありがとうございます。本日来ていただいたのは、初陣を飾られるお二人にブライトル殿下をご紹介するためです」
「紹介? ですか?」
イアンの声には疑問が浮かんでいる。それもそうだろう。今さら紹介してもらう関係でもない。
「今回、私は使者としてニュドニア国を訪問させていただいている身だ。前回と違って余り自由がなくてね。――まずは、初陣おめでとう。健闘を祈っているよ」
「ありがとうございます」
僕とイアンは頭を下げた。
「それで本題だ。今回の私の任務はニュドニア国の総司令部にトーカシア代表として参加することだ」
僕は米神がピクリと動いたのを自覚した。それはつまり……。
「やっと議会で承認された。我がトーカシアは、今回の二国間の戦争においてニュドニア国を支援することが決定した」
曖昧な立場を貫いていたトーカシアが動いた……? どういうことだ? 『トイメトアの驚喜』の時点では、ブライトルはいなかったはずだ。ましてやトーカシアが参戦した描写は一切なかった。
内心で驚いている僕の目を見て、ブライトルが笑う。
「急なことで驚いているかと思うが、共にニュドニア国の勝利のために戦おう」
「心強いです。是非、共に戦わせてください」
「よろしくお願いします、ブライトル王子殿下」
僕らの方が立場が低いので、当然イアンと二人立ち上がって敬礼する。
「ああ、よろしく頼む」
ブライトルが王族の顔で僕らに座るよう促したとき、フルーリア王女がそっと声を上げた。
「あの……。こんなときにすみません。イアン、実は私、見ていただきたいものがあるのです。これから、一緒に来てくださいますか?」
「フルーリア王女?」
イアンが不思議そうな顔をする。僕も王女の顔を見る。
このまま四人で話でもするのかと、多分彼女以外の全員が思っていた。
「お二人とも、急な私の我が儘を聞いてくださいますか?」
王女が僕とブライトルを見ながら両手を組んでお願いポーズを取る。
僕への効果はバツグンだ……。
白旗を上げたまま、ブライトルに判断を仰ぐ。この場で決定権を持っているのは彼だ。
「勿論ですよ、フルーリア王女殿下。イアン、行っておいで」
「ブライトル殿下がそう仰るなら。イアン、王女殿下に失礼のないようにしてくれよ」
「え、あ、うん。それじゃあ、失礼します」
「ブライトル殿下、エド、ありがとうございます。さあ、イアン、行きましょう?」
どこか楽しそうなフルーリア王女は狼狽えるイアンを連れて出て行ってしまった。
彼女たちが出て行くと同時に何故か控えていた侍女も全て引き上げてしまって、完全にブライトルと二人きりになった。
「気を遣わせてしまったかな」
「ブライトル……?」
「久しぶりだな、エドマンド」
「あ、ああ……。いや、それよりどういうことだ」
「ん? 何がだ?」
「全部だ、全部。トーカシア国が我が国に付いてもほとんどメリットはないだろう……?」
僕は眉をひそめた。トーカシアはニュドニアよりは大きいものの、セイダルに比べたら小国の部類だ。
そもそも、三方が海に面したトーカシアは貿易を主な産業としている国で、ニュドニアよりも戦力的には低いくらいなんだ。
セイダルとしてはニュドニアでモカトを仕入れ、トーカシアで諸外国と取引をするのが最大の目的なはず。
表立ってニュドニアの味方などしては、セイダルにトーカシアへ攻め入るための大義名分を与えてしまう。
「せっかく中立を貫いていたのに、どうしていきなり?」
「まあ、色々あるんだよ。理由の一つは分かっているだろ?」
「イアンとグロリアスか? そうは言っても……」
「現状を打破出来た暁には、イアンのトーカシアへの留学が予定されている」
「ぁ……」
そういう事か! 頭の中でピースが繋がった。
実は、僕は原作を途中までしか読んでいない。二期の中盤までだ。
そして、イアンは二期で一時期だけトーカシアに行く。名目上は勉強のためだけど、本当は彼の安全のためだ。
どういうことかと言うと『トイメトアの驚喜』で武功を立てた若き英雄を狙う者が余りにも多かったと言う話だった。
取り入ろうとする者、利用しようとする者、もっと酷いと誘拐しようとする者もいた。これが国外だけならまだしも、むしろ内側に敵が多かったから厄介だった。
だからセイダルとの膠着状態の間、そして国内のイアンフィーバーが収まるまでの間、トーカシアに身を隠すのだ。
そこでまたブライトルが出てくるのだろうけど、僕は道中の戦闘シーンくらいまでしか読めなかった。
つまり、あのときイアンがトーカシアに行ったのはこの時点で決定事項だったということだ。
トーカシアには、何かしらニュドニアが勝つ確信でもあるのだろうか? だとしても、まるっきり描写がなかったのはどういう――。
「エドマンド、色々と考えているところ悪いんだが、そろそろいいかい?」
「あ、ああ。悪い。とりあえず、分かった。そっちにもメリットがあるのなら、納得がいく」
「俺も戦地に行きたかったけどな、さすがにそれはできそうにない」
「当たり前だろ? 王子殿下が何言っているんだ」
ブライトルが心底残念そうに言う。こんな情勢下だ。きっとここに来るまでもそれなりに大変だったはずなのに全く見せない。
「あんた、結構カッコつけたがるよな」
僕は苦笑した。そういうところが……。いや、何でもない、と心の中の自分に首を振る。
何と返してくるだろうかと待っても返事が無い。
改めて顔を見ると、彼は強張った顔でソファーの背もたれに深く背中を預けた。
「なるほど……」
「ブライトル……?」
「エドマンド」
「なんだ?」
「気付いているよな? 今、ここには俺とお前しかいない」
「ああ、そうだな? それがどうかしたか?」
全員下がってしまったのだから当然だ。
僕はともかくブライトルを一人にするのはどうかと思ったけど、信用されているのならそれは悪い気分じゃない。
彼がゆっくりと立ち上がって僕らの間に設置されていたローテーブルを回ってくる。
僕もソファーから立ち上がろうとしたのを手で制される。
「つまり俺は、ある程度は自分に戻れるんだ」
「何が言いたい?」
「どうした? か……」
「おい?」
僕の斜め前に立つとブライトルは上体を屈めた。右手が僕の左側の背もたれに置かれる。
ドッと心音が巨大な音を立てた。――ダメだ。
これはダメだ。予定外に顔が近い。
必死に無表情を作っているせいか、頭じゃなくて背中が熱い。
どうしよう。こんなことで指一本動かせなくなってしまった。下手に動いたらボロを出しそうだ。
「どうしたはこっちの言葉だな、エドマンド」
どんどん心音が酷くなる。呼吸を整えるのに必死でブライトルが何を言いたいのか全く分からない。
おかしい。前までならこんな距離、なんともなかった。
目を逸らすこともできずに、ジッと彼を見上げる。
「どうしてそんな顔で俺を見るんだ? 何がお前を変えた? ……まあ、大方イアンのせいなんだろうけどな」
「なん、の話だ」
「……俺は今機嫌が悪い」
「お、い……?」
「お前がそんな顔を簡単に見せるようになった原因がいるのが腹立たしい」
そんな顔……? 一体何の話をしているんだ? どんな顔をしていると言うんだ。怖くなって体が微かに震える。
「でも」
ブライトルが右手に体重をかける。距離が一層近くなった。左の親指が僕の唇に触れるか触れないかの位置をスッとなぞっていった。
唇を引き結んでしまった。ダメだ、もう……!
「喜んでもいる。――なあ? エドマンド? あまり無防備にそんな顔をするのは止めた方がいい。順番を間違えそうになる」
ブライトルはゆっくりと体を起こすと、さっき触れそうになった左の親指で自分の唇をなぞった。
僕はとうとう顔に熱が上ってしまったことを自覚した。
きっと僕は今、ものすごく情けない顔をしているに違いない。それだけは分かった。
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