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十三章 決意
一
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「くそっ……」
街頭の明かりだけがぽつりぽつりと灯り、漆黒の闇に包まれた住宅街の片隅に佇むとある一軒家。今日もこの家の二階の一室の明かりは消されていた。
暗闇に染まった部屋の中にカーテンの隙間から月明かりがぼんやりと差し込んでいる。見ると床に布団を敷き、一人の少女が眠りにつこうとしている。しかし何度も寝返りを打っている。なかなか寝付けないのかもしれない。
「ちくしょう!」
我慢の限界がきたようだ。高まる鼓動を抑えながら布団から飛び起きると、少女は窓越しに置いてある机に向かい勉強机へゆっくりとした足取りで向かった。
暗い部屋で一人、勉強机の前に立つ。彼女の顔が机の上に置かれたスマートフォンの画面からの光でぼんやりと浮かび上がる。しかしその顔はどこか不吉な笑みを浮かべていた。
ガタッ、スーッ……。ゴトッ……。スーッ……、ガタン。
気づけばその少女は机の引き出しの中から何かを取り出すと、それを右手で強く握りしめていた。握りしめられたその手にはかすかに震えが走っている。
「まあいい、二つ手に入れれば……。慌てることはない……。あとはもう一つ。私が……この手で」
シュッ!
コトン……。
暗闇で何かを振ったかと思うと、彼女は手に持っていたそれを机の上に置き、ゆっくりとした足取りで布団の中へ戻った。
机の上に置かれたそれは月明かりに照らされ、冷たく銀白色の光沢を放っていた。
街頭の明かりだけがぽつりぽつりと灯り、漆黒の闇に包まれた住宅街の片隅に佇むとある一軒家。今日もこの家の二階の一室の明かりは消されていた。
暗闇に染まった部屋の中にカーテンの隙間から月明かりがぼんやりと差し込んでいる。見ると床に布団を敷き、一人の少女が眠りにつこうとしている。しかし何度も寝返りを打っている。なかなか寝付けないのかもしれない。
「ちくしょう!」
我慢の限界がきたようだ。高まる鼓動を抑えながら布団から飛び起きると、少女は窓越しに置いてある机に向かい勉強机へゆっくりとした足取りで向かった。
暗い部屋で一人、勉強机の前に立つ。彼女の顔が机の上に置かれたスマートフォンの画面からの光でぼんやりと浮かび上がる。しかしその顔はどこか不吉な笑みを浮かべていた。
ガタッ、スーッ……。ゴトッ……。スーッ……、ガタン。
気づけばその少女は机の引き出しの中から何かを取り出すと、それを右手で強く握りしめていた。握りしめられたその手にはかすかに震えが走っている。
「まあいい、二つ手に入れれば……。慌てることはない……。あとはもう一つ。私が……この手で」
シュッ!
コトン……。
暗闇で何かを振ったかと思うと、彼女は手に持っていたそれを机の上に置き、ゆっくりとした足取りで布団の中へ戻った。
机の上に置かれたそれは月明かりに照らされ、冷たく銀白色の光沢を放っていた。
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