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~野営地~
一方、マリアは一人野営地に残され不安を感じていた。
胸騒ぎと言うのだろうか。
禍々しい気配が徐々に大きくなっている気がする。
単なる気のせいかもしれないと抵抗する自分がいる。
自分が戦場に行くなど考えたことも無かったのだから・・・。
一女学生の自分に出来ることは何もない。
しかし、カサンドラ様は文字通り飛んで行ってしまった。
文官であるオクティビア様も追いかけて行ってしまった。
二人に何かあったら・・・。
「良し、私も行こう。」
隣で騎士団長が目を丸くしている。やれやれ、この人もかと・・・。
□□□□
防衛線に着いたマリアはボロボロのカサンドラを見つけ、血相を変えて駆け寄った。
やはり、予感は当たっていたのだ。
「カサンドラ様、どうしてこの様な姿に・・・。」
カサンドラは生きているのが不思議なぐらいのダメージを受けていた。
全身は煤け、両手はケロイド状に爛れ、息をするのも苦しそうだ。
それでも、眼光は鋭さを保ち、オクティビアと不死王の戦いを見据えていた。
今にも飛び出して行きそうに・・・。
なぜ?
なぜ彼女はここまで戦うのか。
来たことも無い村のため?
見ず知らずの兵士達のため?
「マリアさん、どうしてここに? 貴女はこんなところには来ては駄目よ。」
「私も、先ほどまでそのように思っていました。
けれど、今、カサンドラ様のお姿を見て確信しました。」
そう言うとマリアは涙を流し、カサンドラを抱きしめた。
それは、女の子同士の友情の範囲を超えているようにも見受けられた。
「私にも何かできることがあるはず。私は、貴女を・・・。」
煤けたカサンドラの頬にマリアの涙が零れ落ち、流れていく。
すると、涙は光に変わりカサンドラを柔らかく包んでいく。
「暖かい・・・。」
優しいマリアの魔力がカサンドラを癒していく。
「これが聖女の力ね。マリア、ありがとう。」
微笑みを返すマリア。
「ふふっ、実感は無いのですが、お役に立てたのなら嬉しいです。」
マリアは、感じていた。
自分の中で確実に何かが変わった。
スイッチが入ったとでも言うのだろうか。
この無鉄砲な人を放ってはいけない。
一人の少女が村を助けようとした。
大勢いる男どもは役に立たない。隊長や団長と呼ばれる者でもだ。
”私がカサンドラ様を護るのだ”
「マリア、これは、”ライト・ヒーリング~聖なる回復魔法~”だわ。」
「え、あ、はい。そのようですね。」
「良い? これをもう一度、今度はあの化け物に向かって放って。できる?」
「やってみせますわ。」
と得意げに答えるマリア。
マリアは、両手を掲げ、魔力を集中する。
” ライト・ヒーリング ”
マリアが放った聖なる魔法は、さながら大砲のように不死王へ突進した。
咄嗟に避けるオクティビア。
”あ、あ、あ、あ、あ、。。。”と不死王の断末魔が聞こえる。
やがて、霧散して不死王は消滅した。
唖然とするオクティビア。
やったー!と楽しそうにカサンドラに抱きつくマリア。
対照的な二人に戸惑うカサンドラ。
「うん。まぁ、良いか。」
□□□□
数時間後
アレンの部隊がアズラーン村に到着した。
今朝から出発していた部隊がやっと到着したのだ。
村に被害は無く、避難していた村民も帰ってきていた。
損害は、兵士の負傷者が数十人と言うところだ。
英雄アレンにとってはとんだ拍子抜けだ。
しかも、亡者を討伐したのはカサンドラ達だと言うのだ。
カサンドラには黙って出陣したので気まずさしかない。
強敵C級モンスターと言われる不死王を倒したのは、聖女マリアンヌ。
そして、オクティビアも魔法戦士の如く活躍したのだと言う。
二人の覚醒を目の当たりにした兵士達は、その感動を大いに語った。
しかし、兵士達が最も饒舌に語ったのは、カサンドラの活躍であった。
天から舞い降りた天使があっという間に亡者を焼き尽くし、スケルトンを木っ端微塵に粉砕したのだと言う。
また、不死王の雷撃に1度は倒れたものの、天使の矢で不死王の半身を吹き飛ばし勝利に導いた…。
「はぁ~! カサンドラが雷撃で倒れた!」
アレンの顔が怒りで"ひくひく"と痙攣する。
そして、なぜかマリアがカサンドラにべったりとかしずいている。
これは、オクティビアに聞いても良く分からないことであった。
オクティビアは、「本来なら自分がその位置にいるはずだった。」と、さらに訳の分からないことを言っている。
楽しそうな二人の美少女を見ていると心が和むが、アレンには別のものも見えていた。
一方、マリアは一人野営地に残され不安を感じていた。
胸騒ぎと言うのだろうか。
禍々しい気配が徐々に大きくなっている気がする。
単なる気のせいかもしれないと抵抗する自分がいる。
自分が戦場に行くなど考えたことも無かったのだから・・・。
一女学生の自分に出来ることは何もない。
しかし、カサンドラ様は文字通り飛んで行ってしまった。
文官であるオクティビア様も追いかけて行ってしまった。
二人に何かあったら・・・。
「良し、私も行こう。」
隣で騎士団長が目を丸くしている。やれやれ、この人もかと・・・。
□□□□
防衛線に着いたマリアはボロボロのカサンドラを見つけ、血相を変えて駆け寄った。
やはり、予感は当たっていたのだ。
「カサンドラ様、どうしてこの様な姿に・・・。」
カサンドラは生きているのが不思議なぐらいのダメージを受けていた。
全身は煤け、両手はケロイド状に爛れ、息をするのも苦しそうだ。
それでも、眼光は鋭さを保ち、オクティビアと不死王の戦いを見据えていた。
今にも飛び出して行きそうに・・・。
なぜ?
なぜ彼女はここまで戦うのか。
来たことも無い村のため?
見ず知らずの兵士達のため?
「マリアさん、どうしてここに? 貴女はこんなところには来ては駄目よ。」
「私も、先ほどまでそのように思っていました。
けれど、今、カサンドラ様のお姿を見て確信しました。」
そう言うとマリアは涙を流し、カサンドラを抱きしめた。
それは、女の子同士の友情の範囲を超えているようにも見受けられた。
「私にも何かできることがあるはず。私は、貴女を・・・。」
煤けたカサンドラの頬にマリアの涙が零れ落ち、流れていく。
すると、涙は光に変わりカサンドラを柔らかく包んでいく。
「暖かい・・・。」
優しいマリアの魔力がカサンドラを癒していく。
「これが聖女の力ね。マリア、ありがとう。」
微笑みを返すマリア。
「ふふっ、実感は無いのですが、お役に立てたのなら嬉しいです。」
マリアは、感じていた。
自分の中で確実に何かが変わった。
スイッチが入ったとでも言うのだろうか。
この無鉄砲な人を放ってはいけない。
一人の少女が村を助けようとした。
大勢いる男どもは役に立たない。隊長や団長と呼ばれる者でもだ。
”私がカサンドラ様を護るのだ”
「マリア、これは、”ライト・ヒーリング~聖なる回復魔法~”だわ。」
「え、あ、はい。そのようですね。」
「良い? これをもう一度、今度はあの化け物に向かって放って。できる?」
「やってみせますわ。」
と得意げに答えるマリア。
マリアは、両手を掲げ、魔力を集中する。
” ライト・ヒーリング ”
マリアが放った聖なる魔法は、さながら大砲のように不死王へ突進した。
咄嗟に避けるオクティビア。
”あ、あ、あ、あ、あ、。。。”と不死王の断末魔が聞こえる。
やがて、霧散して不死王は消滅した。
唖然とするオクティビア。
やったー!と楽しそうにカサンドラに抱きつくマリア。
対照的な二人に戸惑うカサンドラ。
「うん。まぁ、良いか。」
□□□□
数時間後
アレンの部隊がアズラーン村に到着した。
今朝から出発していた部隊がやっと到着したのだ。
村に被害は無く、避難していた村民も帰ってきていた。
損害は、兵士の負傷者が数十人と言うところだ。
英雄アレンにとってはとんだ拍子抜けだ。
しかも、亡者を討伐したのはカサンドラ達だと言うのだ。
カサンドラには黙って出陣したので気まずさしかない。
強敵C級モンスターと言われる不死王を倒したのは、聖女マリアンヌ。
そして、オクティビアも魔法戦士の如く活躍したのだと言う。
二人の覚醒を目の当たりにした兵士達は、その感動を大いに語った。
しかし、兵士達が最も饒舌に語ったのは、カサンドラの活躍であった。
天から舞い降りた天使があっという間に亡者を焼き尽くし、スケルトンを木っ端微塵に粉砕したのだと言う。
また、不死王の雷撃に1度は倒れたものの、天使の矢で不死王の半身を吹き飛ばし勝利に導いた…。
「はぁ~! カサンドラが雷撃で倒れた!」
アレンの顔が怒りで"ひくひく"と痙攣する。
そして、なぜかマリアがカサンドラにべったりとかしずいている。
これは、オクティビアに聞いても良く分からないことであった。
オクティビアは、「本来なら自分がその位置にいるはずだった。」と、さらに訳の分からないことを言っている。
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