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アズラーン村の攻防3 覚醒
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勝利の勝鬨を上げる兵士達、忌み嫌っていた亡者どもを一掃できたのだから喜びもひとしおだ。
やっと追いついたオクティビアもカサンドラを見つけて合流する。
カサンドラも微笑み、オクティビアを迎える。
誰もが油断していた。
それは、カサンドラも例外ではなかった。
次の瞬間、雷鳴が轟きカサンドラを撃ち抜く!
▼
不気味な笑い声が木霊し、ゆらり、ゆらりと敵が姿を現す。大鎌を携えた死霊。
崩れ落ちるカサンドラ。
オクティビアが、言葉にならない声を上げた。
先程まで咲き誇っていた美しい花が、今、目の前で散る。
あゝ、、、。
許せない。
許せない。
自分が許せない。
なんと言う不甲斐なさ。
なんと言う後悔。
戦闘に彼女を巻き込み、あまつさえ自分は戦闘にすら参加していない。
彼女ならなんとかしてくれると心の何処かで思っていた。これは甘えだ。
公爵家に生まれ、能力、容姿にも恵まれた。
だから慢心して増長した時もあった。
そして、上には上が居る事も知り、ならばと誠実に生きようと思った。
それなのに・・・・、
” ブチン ”
オクティビアの中で何かがブチ切れる音がした。
ブチ切れたオクティビアは、怒りに任せ敵に突っ込んでいく。
敵の大鎌が空を切る。
オクティビアは難なく避け、片手で火炎弾を撃ち込み、片手で剣を切り込んで行く。
二太刀、三太刀、敵に切り込む。
強い。
兵士達もまんじりと戦いの行く末を見守っている。
禍々しい不気味な敵に対して、オクティビアは圧倒的有利に戦っている。
文官の動きではない。いや、訓練された兵士の動きですらない。
魔法戦士・・・それは聖騎士の一人に数えられる者の称号。その言葉が浮かぶ。
しかし、敵が苦し紛れに放った魔法が逸れ、兵士達を襲う。
爆風でなぎ倒される兵士達。
そう、敵は弱くない。弱くないのだ。
「オクティビア様! そいつは不死王だ!」
叫び声の主は、全身は煤け、よろよろと立ち上がった。
ふらふらだが眼光だけは鋭く光っている。
カサンドラ!
爆風で気が付いたのか、カサンドラの意識はしっかりしている。
「そいつに殺されたら、亡者となってしまう。」
「カサンドラ! 生きていたのか! 生きていてくれたのか!」
オクティビアは、不死王と対峙していることも忘れ、カサンドラへ駆け寄る。
「馬鹿! 油断しないで!」
そう言うと、満更でもない笑みを浮かべ、カサンドラは弓を構えた。
”オーラ・アロー” 弓と矢を魔法で作り出し、自身の生命エネルギーを矢に込めて放つ。
カサンドラの放ったオーラ・アローは不死王の半身を吹き飛ばした。
「済まないカサンドラ、今度こそ貴女を守る。」
「良く聞いて! 不死王の弱点は神聖属性しかないわ。
通常の攻撃ではダメージを与えることは出来ても直ぐに復活してしまうの。
消滅させるには生命エネルギーをぶつけるしかないわ。」
肩で息をしているカサンドラは、苦しそうにオクティビアに指示する。
「オクティビア様は、今まで通り動いて敵を引き付けて!隙を見て私がもう一度オーラ・アローを撃ち込むわ。」
「分かった。・・・隊長! カサンドラを頼む!」
「な!」
唖然とするカサンドラを隊長と数人の兵士が囲み避難させる。
引き離されるカサンドラ。
しかし、カサンドラにはもう抵抗するほどの力も無かった。
先ほどのオーラ・アローですら限界を超えていたのだ。
オクティビアの決意は固かった。
あくまで己で倒そうとするカサンドラに見せねばならない。
自分が居ると言うことを、もう、今までの弱いオクティビアでは無い。
「はっ、はっ、はっ、はっ、楽しいな。相手が不死王でも魔王でも怖くない。」
カサンドラが”生きて”、俺を、俺の戦いを見ている。
全身から力が漲る。
これが生命エネルギーか!?
肉体を鍛えるだけでは決して得られないこの力の高ぶり!?
オクティビアは、再び不死王に挑む。
やっと追いついたオクティビアもカサンドラを見つけて合流する。
カサンドラも微笑み、オクティビアを迎える。
誰もが油断していた。
それは、カサンドラも例外ではなかった。
次の瞬間、雷鳴が轟きカサンドラを撃ち抜く!
▼
不気味な笑い声が木霊し、ゆらり、ゆらりと敵が姿を現す。大鎌を携えた死霊。
崩れ落ちるカサンドラ。
オクティビアが、言葉にならない声を上げた。
先程まで咲き誇っていた美しい花が、今、目の前で散る。
あゝ、、、。
許せない。
許せない。
自分が許せない。
なんと言う不甲斐なさ。
なんと言う後悔。
戦闘に彼女を巻き込み、あまつさえ自分は戦闘にすら参加していない。
彼女ならなんとかしてくれると心の何処かで思っていた。これは甘えだ。
公爵家に生まれ、能力、容姿にも恵まれた。
だから慢心して増長した時もあった。
そして、上には上が居る事も知り、ならばと誠実に生きようと思った。
それなのに・・・・、
” ブチン ”
オクティビアの中で何かがブチ切れる音がした。
ブチ切れたオクティビアは、怒りに任せ敵に突っ込んでいく。
敵の大鎌が空を切る。
オクティビアは難なく避け、片手で火炎弾を撃ち込み、片手で剣を切り込んで行く。
二太刀、三太刀、敵に切り込む。
強い。
兵士達もまんじりと戦いの行く末を見守っている。
禍々しい不気味な敵に対して、オクティビアは圧倒的有利に戦っている。
文官の動きではない。いや、訓練された兵士の動きですらない。
魔法戦士・・・それは聖騎士の一人に数えられる者の称号。その言葉が浮かぶ。
しかし、敵が苦し紛れに放った魔法が逸れ、兵士達を襲う。
爆風でなぎ倒される兵士達。
そう、敵は弱くない。弱くないのだ。
「オクティビア様! そいつは不死王だ!」
叫び声の主は、全身は煤け、よろよろと立ち上がった。
ふらふらだが眼光だけは鋭く光っている。
カサンドラ!
爆風で気が付いたのか、カサンドラの意識はしっかりしている。
「そいつに殺されたら、亡者となってしまう。」
「カサンドラ! 生きていたのか! 生きていてくれたのか!」
オクティビアは、不死王と対峙していることも忘れ、カサンドラへ駆け寄る。
「馬鹿! 油断しないで!」
そう言うと、満更でもない笑みを浮かべ、カサンドラは弓を構えた。
”オーラ・アロー” 弓と矢を魔法で作り出し、自身の生命エネルギーを矢に込めて放つ。
カサンドラの放ったオーラ・アローは不死王の半身を吹き飛ばした。
「済まないカサンドラ、今度こそ貴女を守る。」
「良く聞いて! 不死王の弱点は神聖属性しかないわ。
通常の攻撃ではダメージを与えることは出来ても直ぐに復活してしまうの。
消滅させるには生命エネルギーをぶつけるしかないわ。」
肩で息をしているカサンドラは、苦しそうにオクティビアに指示する。
「オクティビア様は、今まで通り動いて敵を引き付けて!隙を見て私がもう一度オーラ・アローを撃ち込むわ。」
「分かった。・・・隊長! カサンドラを頼む!」
「な!」
唖然とするカサンドラを隊長と数人の兵士が囲み避難させる。
引き離されるカサンドラ。
しかし、カサンドラにはもう抵抗するほどの力も無かった。
先ほどのオーラ・アローですら限界を超えていたのだ。
オクティビアの決意は固かった。
あくまで己で倒そうとするカサンドラに見せねばならない。
自分が居ると言うことを、もう、今までの弱いオクティビアでは無い。
「はっ、はっ、はっ、はっ、楽しいな。相手が不死王でも魔王でも怖くない。」
カサンドラが”生きて”、俺を、俺の戦いを見ている。
全身から力が漲る。
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肉体を鍛えるだけでは決して得られないこの力の高ぶり!?
オクティビアは、再び不死王に挑む。
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