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埋 設
しおりを挟むある湾内は八十数年前まで、さほど平均水深は深くありませんでした。
ところがそのある時期を境に、湾内の海底地形を切土して湾の南方沖出口にある某海溝に土砂を集約、流入して埋め立てる計画が極秘裏にスタートしたそうです。
あらかじめ、海溝方面に向けて切り出され、掘り込まれた溝に切土掘削した土砂を流し込み、海溝の底まで土砂を押し流して落とす。といった言葉だけで言えば簡単な作業内容なのだそうです。
特殊潜水ドーザーをメインに、多数の特殊掘削運搬機械や船舶を用いた地味で静かで確実な作業は、現在でも行われているといいます。
極秘裏と言っても、数十年に及ぶ事業の中で箝口令に綻びが生じる事もしばしばなので、こうしてここでこのお話をする事ができるのではありますが、計画自体がバレる事はあっても、何故か誰も計画の目的や真髄に触れる事は出来ませんでした。
いつの時代もフッと燃えては、まぁいいか?とフェードアウトするのを繰り返して来たのは言うまでもありません。
その間にも秘密を守る為、様々な思惑、謀略があった事でしょう。
ですが作業に携わった作業員の方々は、総じて薄々感じていたといいます。
何かヤバいもの、恐ろしいものを土砂で埋めて封じているのでは?と······
結果、現在では潜水艦も作戦航行出来る程の水深を得たその湾ですが、つい先日、アノ事件が起きた事でも有名になりましたね?
全くこのご時世、平和を願わずには居られません。
フフ···フフフ······
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