神樹のアンバーニオン

芋多可 石行

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異なる変わり

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「本日正午、太平洋領海北部にて極秘任務に当たっていた索敵擬装艦が例の未確認潜航物体に遭遇、“また„海中から岩塊を打ち上げられ、洋上に出たものが甲板に落着し船体が損傷炎上した」

 I県、徳盛市某所。
 国防隊隊員募集事務所の倉庫の隅で、二人の男性隊員がそれぞれに割り当てられた作業机に座っている。
 国隊隊の対特殊事象対応分隊の一角、重拳隊の隊長である茂坂しげさかのグループ伝令を、気だるそうな目をした男と、目付きの悪い男がそれぞれモニターに向かって聞き耳を立てていた。

「周辺のポイントからして、あの三角パタパタですかねぇ?」
 目付きの悪い男、藍罠あいわな ヨキトが、気だるそうな目をした同僚の男、椎山しいやま  伊佐久いさくに聞いた。

 「藍罠、前回の事件から二十八年、操縦者が“また生まれ„あれに戻ったという事になるな」
護森ごもりさんの話にあったアノ帝国の戦士は転生しても記憶を引き継ぎ戦うってヤツですか?」
 藍罠は僅かにニヤついた。
 一息ついて二人は、倉庫の書類棚から資料を引っ張り出しながら話を纏めていく。通称三角パタパタに接触した“戦士„が誰だったのか、どうやってその兵器にアプローチしたのか、協力者は人間か敵側か、推測を共有していった。
「あれは積み重なった三角柱の形態で海底に横たわっていたはずだ。監視はされていただろうから、動いていたならすぐにでも裏付けの報告が上がるだろう」
 そう言い終わる頃、椎山のスマホにメッセージが届く。それを見た椎山はため息を鼻から通し抜いた。

「護森さんの代理人達も対策本部に入る」
「げ······」

 思う所あって彼らは忙しくなりそうである。













 
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