神樹のアンバーニオン (3) 絢爛! 思いの丈!

芋多可 石行

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合神!超思重合想!!

導 き

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 集まったギャラリーの後ろをこっそり通り抜け、人垣の薄い場所を縫ってアンバーニオンへと近付く磨瑠香。

 琥珀の巨神が寝そべって動かないのは、何とも場違いなスーパーの駐車場。
 磨瑠香が持つ琥珀に宿る相棒が評するに、曰くボンボン息子の超番長停め。父親の店の駐車スペースを、息子の巨大ロボットがほぼ独占しているというシチュエーションはその通りではあるのだが、なにぶん言い方が悪いのが磨瑠香には不満だった。

「あっちっち、ワキの下」
 磨瑠香の持つ琥珀のペンダントに宿る魂、エスイの声が行き先をナビゲートする。
「詳しいね?」
「ちょっとね?色々?」
 彼女の言葉に従い磨瑠香はアンバーニオンの脇の下を目指す。それを止める者は何故かおらず、周囲の高い建物からも腕の内側は中々に死角になっていた。
「ソレ!ソコ!丸いの!」
 エスイの指示で視線を泳がせる磨瑠香は、アンバーニオンの脇の下の胴体側にあるボタンかビスのようなディテールを発見した。丁度地面から然程さほど高くない位置、目線の少し上にそれはあった。
「そこに手を当てて?あとなんか思い当たる合言葉を!」
「ええ?!合言葉ぁ?」
「早く!人が来るよ!」
「そんな事言われても···」
 脳裏で宇留に関するキーワードをシャッフルする磨瑠香。取り敢えずディテールを掌で包み込み、最初に思い浮かんだ言葉を呟いてみた。
「···ジガ?」
 バチュ!
「!!」
 合言葉が一発でヒットした。
 ディテールは一瞬にしてゼリー状になったかと思うと、急速に宝甲に吸い込まれる。
「わー!まだこの合言葉キューコ使ってるんだ!危機感無いの!」
「えー!?」
 この合言葉は宇留も含め、磨瑠香が師事する緒向一門が使用しているものである。
 何故エスイが合言葉を知っているのか?と驚く磨瑠香の周囲に、煙のような光がムワッと集まり始めた。
 そしてその光が一ヶ所に凝集したかと思うと、その中心に閃光が迸る。
 磨瑠香とエスイが反射的に目を閉じて再び開けた次の瞬間にはもう、パイロットスーツの宇留が横たわっていた。宇留は気を失いながらも、胸元のレリーフに嵌まったロルトノクの琥珀アンバーに手を添えていた。
「は!はー!!」
 驚き過ぎて息を飲む磨瑠香。そんな磨瑠香の肩を誰かが掴んだ。
「!!」
 驚き振り返った磨瑠香の顔に不敵な笑顔を向けていたのは、護ノ森諸店の男性スタッフを数人引き連れた女性エージェント二人組、わんちィとパニぃであった。
 


 


 非常召集の命を受けた藍罠ヨキト強山しいやまは、互いに合流すべくユーラティス内のショッピングモールをまだ駆け巡っていた。

 やがて高すぎる売棚が並ぶ十字通路で丁度左右から合流した彼らは、走りながら真剣な表情で互いの籠手に嵌まった琥珀をガチンとかち合わせる。
 するとオレンジ色の閃光がその合間でスパークし、彼らは姿を消した。

「···?アッれ~?!」
 売り場の角を曲がって彼らに追い付いて来た重拳隊の隊員は、目が点になっていた。
 角を曲がれば完全に追い付けると思っていた藍罠らしき人物の背中はもう無い。やがて全ての隊員が途方に暮れたように、息を整えながら追い付いて来る。
「えー?居ない?何処行ったんだろ?」
 呆れたように言葉が上ずる西和の後ろに、茂坂がヤレヤレと立ち止まる。
 そんな彼らの頭上で、艦内放送のアナウンスが響き渡る。因みにアナウンスの声はハグスファンである。
〔♪~、本日は、ユーラティスモールにお越し頂き、ありがとうございます。国防隊からお越しの、重拳隊の皆様、重拳隊の皆様、当艦長からご挨拶がございますので、吹き抜けホールB、イベントステージ前まで、お越し下さいませ···〕

「男?」
「ユーラティス?モール?」
「館長?艦長?と言ったな?ではやはりここは!例の琥珀戦艦の中か?!」


 改めて周囲を見渡す茂坂。
 周囲の売り場の棚の高さは、明らかに人間の身長に合わせた作りでは無かった。





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