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発(掘)進(行)!超琥珀神艦!
黎きを明かす
しおりを挟む室温が僅かに高まる。
それは、暁光が皮膚に触れた時の暖かさと似た感覚であったのだが、彼らが示す興味の前には、そんな尊い既知感すら花より団子であった。
アルオスゴロノ帝国のエンジニア達は、本拠地が展開している防御フィールドを微塵刹那の間にか貫いたファイナルレイデンの超高熱に浮かされていた。
「かあ!脳筋めら!」
「ほほぉ!あまりの焼け詰まりに怯えて生き鉱脈自らゲートを閉じましたぞ?これはキネイアニマ運用に際して貴重なデータとなります事でしょう!」
「これでまだ山一個分···残りもまだまだぁ···このくらいでぇ?」
「しかしこんなにもいともかんたんにあの錫 杖 が潰されるとは?一体いつの間に···?」
『クイスランの本体は今頃、シヅメの後方支援で数多の海電神どもを欺いているのだ。仕方あるまい···』
皇帝エグジガンの左瞼は、若干上から押し潰れるように半開きになっている。何らかのストレスに耐えているようだ。
『エガルカノルとキネイニウムエリアの状況を確認、カサハラガからは全部隊を一時撤退させろ。陽動作戦を終了する。キネイアニマズはモニターが回復次第システム復旧に移れ』
「「ゥエノラ、ウィトリル···」」
エグジガンの指示にテンションの火を消火されたエンジニア達は、元の老いた口調でブツブツと返答すると、只静かに自身に割り当てられたモニターとのにらめっこを再開した。
「や、やった!?」
ユーラティス艦首付近、天獣像前広場。
白無貌の気配は消え、周辺に満ちていた重苦しく異様な雰囲気も同時に失せている。
仲間達に背中側から支えられたアンバーニオンは胸部宝甲を展開し、その内部は凄まじい輝きに満ちていた。
眩しく良く見えないが、光の中には何かが浮かんでいる。
胎児のような形の神体像を内部に宿した巨大な琥珀。
やがてそれはアンバーニオンの胸部宝甲が閉じると共に呆気なく輝きを失い、世界にはまた元の色が戻った。
今のが、ヒモロギング ドライヴ···?
共上はロウズレオウの中で、神妙な面持ちをアンバーニオンの後頭部に向けた。ファイナルレイデンを放ったのはアンバーニオンの新型エンジン。新神寄発動機そのものだった。
〔?、撤退している···〕
海中で青白く明滅するゲートシード発動の輝き。アンバーニオンに触れるだけのジョイントを解いたガルンシュタエン ティアザが重深艦隊の戦場を観察する。
〔手応えはあった!でももう化けて出ないよな?···!!、というか!須舞 宇留!!琥珀柱が両方共無いぞ?!〕
NOI Zがアンバーニオンの両肩を交互に見て驚く。
〔え!!ウソ!?ってって!?熱!!熱ァ暑ゥアチャぁ!!〕
前傾し、ファイナルレイデンの圧縮銃身と化したアンバーニオンの両肩にある琥珀柱。琥珀柱は両方共に衝撃で蒸発し、それがあった根元付近の宝甲と胸元の操玉付近は陽炎が立ち上る程加熱していた。
「ああ!ウリュ!」
ヴァシュー!!
ヒメナの一存の元に、たちまちアンバーニオンの操玉を満たす白い冷却ガス。
〔あーあ!大丈夫か?宇留!〕
ゼレクトロンに至っては、パタパタと手団扇でアンバーニオンの操玉を仰いでいる。
「は!」
琥珀の巨神達が緊張感も忘れてワチャワチャと騒ぐ中、ヒメナは天獣像広場に左右から向かい合わせで着艦するカミイソメとカミカマスに気付いた。
〔みんな!静粛に!〕
「!」「!」
「···」
カミカマスの口元からゆっくりと歩いて来る晶叉。ワイシャツの襟は風で暴れ、ネクタイは程好く解れている。
「···アキサ───────!!!」
一方、カミイソメの口元からは、笑顔のコティアーシュが元気いっぱいに駆け出して来た。
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