神樹のアンバーニオン (3) 絢爛! 思いの丈!

芋多可 石行

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発(掘)進(行)!超琥珀神艦!

女神が手に取りて

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 純白の爆煙を掻い潜りながら洋上を進撃する巨大な琥珀虫ユーラティスを観察している三角パタパタアクプタン達は、【それ】を見てしまった。

 ユーラティスの艦体表面を流れて滑ると思われた煙が、あり得ない方向へと逸れる。
 その流煙は上昇気流に捕まって上へ伸びるように見えて、その実何かを伝い昇っている。
 その見えない何か。
 例えるのならば無色透明の巨大な腕。しかもそのしなやかなスタイルは女性の腕のようである。
 ただでさえ巨大なユーラティスを、まるで玩具で遊ぶように持つ更に巨大な女神の力場うで

 ユーラティスの主自重制御能力メインフローティングシステム
 ゴッデス ブンドド クラフト。

 ユーラティスに宿る複数の土地神によって編み上げられた力の領域は、腕のようにその艦体を掴んで持ち上げている。その為、殆ど艦体下方へ掛かるストレスや被害は少ない。
 アルオスゴロノ帝国がこのデータを理解するのは、この戦いから暫く後の事である。




 グガィイイイン!!
〔うっおおおお!〕
 ゲッッッイイン!
〔ごおおお!〕
 キギャキィイインッ!!
〔どわああォ!〕
〔はしゃぐな!絶叫マシンじゃないぞ!うおぉ!〕


 昆虫怪獣のような動きでヴェスフィンプの一隻に肉薄したユーラティスは、その角、艦首衝角バウスプリットをフェンシングのように前方へ何度も突き出し、次々とヴェスフィンプの土手っ腹に風穴を開けていた。

 ドドン!ドン!

 ヴェスフィンプが至近距離から乱発する艦砲もなんのその。ユーラティスへの効果は少ない。
 その度に何処かから聞こえてくる宇留と現の声。
 しかし、声はすれども姿は見えず。
 やがてユーラティスは艦首衝角バウスプリット下部の下顎にヴェスフィンプの艦体を押し込み食い込ませた。

「ヴェスフィンプイチバン!ホールド!ネーサン!今です!」
「アィムアム!アムアムしてあげます!」
「「「アィムアム!アムアム始めェ!」」」
 ハグスファンのオペレートラリーを受け取るコティアーシュ。そしてメインブリッジのクルー全てがコティアーシュの号令を復唱する。

 ガブッッ!シュギャィンン!!

 そしてその大きさに見合わぬスピードで閉じる巨大な勾玉の牙、オクイゾメ。

 ボグァアアアンンン!!

 その艦体は三つに食い破られ分断された。それからの大爆発。そして後退する残り二隻のヴェスフィンプを庇うように、巨大アクプタンが整列し壁を作る。だがその巨大アクプタンでさえユーラティスの艦首衝角バウスプリットに暖簾押しされ、熱湯にくぐらせたワンタンの皮のように難なく跳ね除けられてしまう。



「大丈夫よゲルナイド、ユーラティスとの宝甲接続は現在癒着レベル。剥がれたりはしないわ?」
 ヒメナの声。そして不満さと礼節の間で揺らぐような現の声。
「琥珀の姫、別に今更怖いという訳ではないんだ?それより目標は?」
 現の声に応えるNOI Z統合AIの声。
〔推定再構築段階まで50秒以内!ユーラティスより拝領の弾頭用エネルギーをアンバーニオン本体から両琥珀柱へ分配!疑似黒宝甲超圧縮加速銃身ジェッティオンフルバレルローテーション完了済みです!〕
「うわ!敵いっぱい張り付いてる···何もしなくていいの?」
「まぁ見ていろ須舞 宇留、艦表の防衛は····」


 相変わらず宇留達の声だけが聞こえる艦首衝角バウスプリット付近。そこから見えるユーラティスの艦表には、多数の敵機が取り付いていた。

 ガシュ!ガション!ガシュ!ガシュ!···

 広大な琥珀の表層から、三基入りのミサイルポッドのようなものが多数せりあがった。
 だがそのユニットに装填されているのは、ロケット弾頭などではないようで···?

 ボシュボシュ!ボシュン!

 ヴグォォンッ!グゴララ···

 ユニットから“発車„したのは、弾丸の形をした複数の12輪巨大戦闘装甲車両だった。

 その琥珀宝甲製の車体の最後部には、巨大な拳が印象的に造形されていた。
 
 







 
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