神樹のアンバーニオン (3) 絢爛! 思いの丈!

芋多可 石行

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発(掘)進(行)!超琥珀神艦!

怪 獣 艦 長

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 太平洋超震災震源地直上。

 空中で連結する事で長大なエネルギー落下砲と化した無数のバドキャプタンは、かつて地球ほしを揺るがした巨大地震の古傷をその王手でえぐり、第二の震災とも呼べる災害を太平洋沿岸エリアに引き起こそうとした。
 広範囲に及ぶであろうこの作戦による混乱は、アルオスゴロノ帝国にとって大きな足掛かりとなる筈だった。
 だがその目論見はガルンシュタエン ティアザ、そしてゼレクトロンといった琥珀の巨神達によって阻まれ、間髪入れずに放った次弾でさえ、謎の“狙撃„の為に失敗に終わった。

「な!なんだ?!今のは!!」

 暗い宇宙の天蓋が迫る蒼空に漂い、動揺を隠せていない巨大ロボット、クイスラン専用滅却機 エネスジュイガ。
 連結したバドキャプタンズを見下ろす場所に滞空しているエネスジュイガを駆るクイスランは、早速体勢を整え始めているバドキャプタンズの様子よりも、“謎の狙撃手„の場所を掴めず焦っていた。
〔クイスラン様!〕
 エネスジュイガに届いた女性オペレーターの通信こえ。クイスランは動揺を圧し殺しながら彼女に応える。
「なに?どうしたの?」
〔取り急ぎご報告が!先程の南太平洋での地殻変動の一報ですが!〕
「···ああ···巨獣達が何かしようとしているみたいだけど?もう遅いわ?始めちゃってるもの?」
〔それが!情報操作のようです!実際には4時間前の情報だという事が判明しました!〕
「なっっっ!こ、この私がそんなフェイクを!み!見抜けなかった??!!ぅぐぐ!ロぉーケン博士ぇっ!!」

 弧を描く遥か南の水平線に視線を放り投げるエネスジュイガ。
 そしてその視線の中には偶然、【それ】が浮かんでいた。








「···オーバード雷電轟レイデン、バドキャプタンズに命中!アンバーニオンチーム!次弾チャージ中!」

 白地にオレンジ色のポイントが入った真新しい制服に身を包んだハグスファンが、琥珀のインカムを片手で押さえながら報告する。

「······艦表、第一印象光珀迷彩解除、認識障害フィールドのサーキットをバトルモードへ!全艦!第一次戦闘形態へ移行!目標!すぐソコに隠れとるヴェスフィンプの艦隊、及びあのバドキャプタン柱!」

「両方!?そんな無茶苦茶な···」

「ハグスファン!そんな事言って!どうせお主も無茶苦茶が好きなんだろうに?」

「まぁそうですけどね?」



 超琥珀神艦、ユーラティスのブリッジ。
 メインオペレーションルーム。

 豪華絢爛な琥珀の艦橋内でのオペレーション任務に就いているのは、ハグスファンら人間や中型怪獣、怪獣の人型中枢活動体達、多数のコハクルーなど種族、所属は様々。
 そして巨大な艦長席でどっしりと構えているのは、ゴライゴの戦闘中枢活動体、ゴライゴ·リパレギレムだった。
「光珀迷彩、完全解除まで20···」
「敵部隊、体勢を整え直しつつ展開中!こちらにようやく気付きはじめたようです!ヴィブァ?舵は大丈夫か?」

 オゥロウ!

〔ブリッジ!ゴライゴ艦長!お色直し完了!操珀、入ります!〕

「おう!間におうたな?」

 ハグスファン達の報告を遮り、レミレタの通信がブリッジに響く。
 ゴライゴ·リパレギレム改め、ゴライゴ艦長は、満足そうにメインオペレーションルームの中心にある噴水のような設備に注目した。

 琥珀の噴水設備がやや変形し、下部から四メートル程の楕円形琥珀が輝きながら迫り上がって来る。
 それに合わせメインオペレーションルームに駆け付けた環巣 束瀬も、全クルー達と同様に黙ってその琥珀を見つめる。

 輝きが治まったその巨大な琥珀の中には、この戦艦の操珀ブレインである一人の美少女が目を閉じて漂っていた。
 メインオペレーションルームを最後に飾った巨大な琥珀。それはアンバーニオンのロルトノクの琥珀アンバー、ヒメナを彷彿とさせる。

 かみさま、こはくのかみさま
 えがおのかがやきをまもるため
 すさぶなみのいをおかしください
 
 あいのなみをこえ
 きんいろのなぎにいたるまで
 さいわいのひを
 すばらしきまもりを
 ききゅうして···

 巨大な琥珀クラウクレスの中の少女、マーティア ユラ コティアーシュは、柔和な笑顔を湛えながら目を見開き、この戦場で今も尽力しているであろう想い人の安寧を願った。
 
「···皆の衆!用意はいいか?超琥珀神艦!ユーラティス!出陣じゃ!突っ込むぞぃ!!」

 クルー全員が一度ゴライゴ艦長に注目し、そしてメインモニターに映り始めた艦首の方を向く、そこには二つの勾玉の牙が開いている。クルー達はその牙に誓うようにゴライゴ艦長と操珀のコティアーシュへ返答した。


「「「「了解!アィムアムッ!」」」」






 

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