神樹のアンバーニオン (3) 絢爛! 思いの丈!

芋多可 石行

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発(掘)進(行)!超琥珀神艦!

燦然、過る

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 詰所までやって来たバコナの背後。
 部屋の入口で何かが動いた気がして、宇留は視線を彼女から移した。

「?」
 そこには、この発掘現場に来たばかりの時に出会った怪獣の子供が居て、こちらを見ていた。
 宇留の中で膨らむ些細な違和感。だがそのままバコナを無視する訳にはいかないので、宇留は挨拶を続けようと身構えた。
 しかしその間、ボーッとしたままロルトノクの琥珀アンバーにエアブロアーを向け過ぎていた宇留。
 ヒメナはここぞお約束とばかりに、風で前髪をオールバックになびかせたり、食い縛った歯茎の隙間に風が入るフリなどのリアクションを披露していたが、肝心の宇留はそれに気付かなかったので、今度はヒメナの頬が膨れる。
「···むぅ!」
「···あ!ごめん!」
 ようやくヒメナの不機嫌に気付き謝る宇留を見て、バコナはフフフと余裕たっぷりに微笑む。すると入口にはいつの間にか、現ともう一人の女性の姿があった。
「···彼女はバコナ、彼女は我々の中でも、中枢活動体のパイオニアにして優秀なサポーターよ?よかったわねバコナ?今の活動体、坊やが見とれるくらいキレイだって?」
「!!!」
 
 少し茶化すようにバコナを紹介したのは、レミレタ中枢活動体だった。
 レミレタの言っていた事は事実とは異なっていたので、宇留は否定したいような否定したら失礼なような、絶妙に複雑な気持ちになった。そして何故か火に油を注いでしまったような気もして、ヒメナの方に顔が向かなかった。そんな宇留を察してか、レミレタは話題を引き延ばさず、淡々と雑談を続ける。
「私はレミレタ。この間はどうもスマイウルくん。NOI Zゲルナイドと一緒に私の部下達をだいぶ絞ってくれたそうじゃない?」
「!?」
「須舞 宇留!、このヒトは、あのガーファル達の隊長なんだ」
 現は、目を細めながら宇留に告げた。宇留の中でも一瞬にして心当たりが弾けた。
「えー!あ!そ、そうなんですか···そ、そのセツは···な、なんというか···」
 レミレタの軽めな皮肉にも耐えきれず恐縮する宇留に、今度はバコナが話し掛ける。
「スマイウルくん?今日はね?お姫様ヒメナさんにご足労をお願いしに来たの」
「「え?」」
「コティアーシュが話をしたいって言ってるのよ···」
「コティアーシュが···?」
「訳あってまだここには来れないんだけどね?それに今、あのコのいるエリアはこれも訳あって現在女性オンリーなの。だからスマイウルくん?もし良ければ彼女のその琥珀ペンダント、決して悪いようにはしないから、今、預からせてもらえないかしら?」
「?、うーん、えっと···」
 宇留はヒメナと打ち合わせをしようとした。しかしロルトノクの琥珀アンバーは宇留の判断を待たず手の中でピョンと跳ね翔び、ツーバウンドしてバコナの掌の中に収まった。

 あ、ヤバい、怒ってる??

 宇留の首筋が冷え、表情が切な気に曇る。そしてその表情を見た中枢活動体達も察して恐縮した。

「わかりました。コティアーシュと会います」

「あ···はい、ありがとう···じゃ、また、またあとでね···」
「バイバーイ!」
 やや苦笑いを湛えながらロルトノクの琥珀アンバーを優しく両手で包み込んだバコナは宇留に目配せをすると、同じく宇留に手を振って去るレミレタと共に詰所を去った。

 残された宇留と現の間に、暫しの沈黙が流れる。

「アラワルくん、A弁当とB弁当どっちが良い?」
「!」
 少々意気消沈していた宇留がその沈黙をやぶる。
「···ま、まかせる!」
「わかった···今日は俺が貰ってくる番だから、シャワー浴びといてね?」
「あ、ああ、すまん···」
 何かを振り切るように詰所を後にした宇留から感じた哀愁。
 現は、それが予想よりも深刻なものであるような気がして、何故か作業靴を脱ぐのに手間取ってしまっていた。

 













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